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 俺は叫ぶが、メリッサさんは背負った大剣を構えてニヤリと笑う。


「面白い冗談だけど、それは聞けないね」


「こ、こんな化け物に勝てるハズがないでしょう!?」


 このゴーレムは俺を傷つける気がない様だったが、俺以外の相手に容赦するとは限らない。


 俺の不安が的中したのか、ゴーレムはメリッサさんへ目にもとまらぬ速さで襲い掛かった。


 俺を掴んでいない左腕が轟音と共に地面に叩きつけられ、砂ぼこりを巻き起こす。


「メ、メリッサさん!?」


 俺は思わず叫び声を上げたが、砂埃の中から戻ってきたのは、


「手本を見せてやるから、よーく見ときな?」


 振り下ろされたゴーレムの拳の上に、メリッサさんが乗っていた。


 メリッサさんはそのままゴーレムの左腕を駆け上がり、ゴーレムの左肩まで進むと――剣を構えて飛んだ。


「いただきっ!」


 メリッサさんは、その言葉と共に一閃。


 ゴーレムの首を、水平に切り裂いてしまった。


 首の断面から泥が吹き出し、頭を失ったゴーレムの体が崩れていく。


「うわっ!?」


 俺はそのままゴーレムの残骸と一緒に落ちていくが、ゴーレムの体内は泥でできていたらしい。俺は地面に広がる泥の沼に落下してしまったけれど、それがクッションになって怪我だけはしなかった。


「泥遊びしてる場合じゃねぇぞ?」


 無様なことこの上ないと思っていると、メリッサさんが戻ってきて口を開いている。


「外殻が丈夫な魔物は、関節が無防備なことが多い。私たち剣士はそこを突く必要があるから、ちゃんと覚えときな?」


 言われながら手を差し出され、俺はそれを借りて立ち上がる。


「……た、助けてもらってありがとうございます」


「あれぐらい自分で倒せよな? シュウなら行けるって」


「……本気ですか?」


「あぁ? 本気だけど?」


 不思議そうに眉を寄せるメリッサさんの価値観についていけない。


 俺がメリッサさんに習ったことといえば、基本的な体の動かし方や剣の正しい振り方などの基礎がほとんどで、実戦なんて経験したことは無かった。


 それにしても、メリッサさんが、これほど強いとは知らなかった――と思うのも束の間。


 また、新たな地響きが生まれる。


 俺たちの背後に、先ほど倒れたハズのゴーレムが立ち上がっていた。


「さ、再生したのか!?」


「そりゃ、トドメさしてないからねぇ?」


「な、なんでですかっ!?」

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