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「……俺が? タルサの?」
言われても、まるでピンとこない言葉だった。
しかし、ロウの目には疑いがない。
「シュウは不可能を可能にする力をもってやがるんだろ? しかも、その性格は馬鹿正直ってのが相応しいぐらいの甘ちゃんだ。その性格が儀式の枷になると考えたらしい」
……それは誉め言葉なのだろうか?
俺は思わず眉を寄せるが、ロウは薄く笑った。
「話は最後まで聞けよ?」
ロウは俺を見据えて、改めて口を開く。
「だからこそ、俺はお前がタルサに勝つ方に賭ける」
ロウの言葉に、力を貰った気がした。
「あ、ありがとうございます!」
俺の礼にロウが笑みを漏らすが、
「……二人でカッコつけてるところ悪いんだけど」
アリシアが眉を寄せ、牢の中から俺たちを見ていた。
「私の腕輪も壊してくれない?」
そんなアリシアに苦笑しながら、ロウが鍵を開ける。
「こいつは返すぞ」
ロウが俺に〝異国の魔剣〟を手渡してくれた。
俺は受け取った魔剣を握り、アリシアへ向ける。
「動くなよ?」
俺はそのまま魔剣を振り、アリシアの腕輪を斬った。
「……助けてくれて、ありがとね」
アリシアが控えめに笑うが、ロウは真剣な眼差しに戻っていた。
「俺たちに残された時間は少ない。シュウが何をしようとしてるかわからねぇが、まずは俺の計画に乗れ。ミーナが儀式を始めちまえば、何もかも間に合わなくなる」
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