俺と選ぶべき答え

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 俺は『異世界でエルフはメイドになる!』を最新話まで読み終えた。


「……やっぱり、ミーナさんは優しい人だったんだ」


 俺はつぶやきつつも、スマホの電源を落とした。


 ミーナさんについて調べたが、出てきたのはミーナさんが出した答えについての理由ばかりだった。俺の力を利用すると書いてある部分があったが、その詳細もいまいちわからない。仮に分かったとしても、それはミーナさんを止める方法に繋がるのかも不明だ。


 知ることさえできれば何かが好転するかと思ったが、そう簡単な話ではなかった。


 それどころか、俺は全てを知ってから、少しだけ後悔した。


 ミーナさんを説得するのは、とても難しいことだと気づいたからだ。


 なぜなら、俺は命を懸けて助けられた人間の強さというのを知っている。


 この異世界に来る前、俺に命を助けられたタルサは、その恩返しのために命懸けで俺を助けようとしてくれた。俺がその事実を知ったのはタルサと黒い腕が契約を済ました後だったけれど、もしも、あの気持ちを契約前に知ることができたとしても、俺にはタルサの意思を曲げることはできなかっただろう。


 ミーナさんの想いは、誰が説得しても、恐らく止まらない。


 全てを知っているタルサでも、ミーナさんを説得できなかったのだろう。


 ……それどころか、タルサは、ミーナさんの側についた。


 タルサはいつか〝黒い腕がタルサを死んだと思い込んでいる間に、強力な仲間を作っておきたい〟と言っていた。悠久の魔女を復活させることは、確かに俺たちにとっても得になる部分があるかも知れない。


 タルサは、自分から宣言するほどの効率主義者で、計算高い女だ。


 タルサが今でも悠久の魔女を仲間に引き入れることを諦めていないのであれば、タルサの行動にも矛盾はない。


 ……でも、そんなことを考えるなんて。


 タルサはこの国の人々を犠牲にしてまで、悠久の魔女を仲間にしたいのか?


 そこまでして、タルサは生き返りたいのか?


 ……。


 いや、そうじゃない。


 タルサの考えていることぐらい、聞かなくても分かる。




 タルサは、どんな手段を使ってでも、俺を生き返らせたいんだ。



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