タルサとアリシア

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 俺とタルサ、ヘッドにメリッサさん、あとはロウとアリシア。


 全員で悠久の魔女のお屋敷に入り、大広間の円テーブルを囲んだ。


 シャンデリアを見上げて〝やっぱり高そうだなぁ〟と間抜けなことを考えていると、ミーナさんが全員に紅茶を入れてくれた。


 俺はそんなミーナさんを見て、不意に風呂場での姿を思い出した。


 少しだけ気まずい。


「……先に聞いても良い?」


 ミーナさんが俺の隣に座ったところで、アリシアが口を開いていた。


「悠久の魔女様の姿が見えないんだけど、ご在宅じゃないのかしら?」


 その内容から、アリシアとロウが悠久の魔女のことを聞かされずに集められたのだと知った。


 しかし、タルサはそれも承知の上だろう。


 アリシアをまっすぐ見つめ返し、タルサは口を開く。


「その話をする前に、アリシア殿が信用に足る人物かどうかを、ミーナ殿とシュウ様に認めさせる必要がある。ちなみに、ロウ殿はこのお屋敷の主治医を務めていた経歴もあるし、シュウ様とも顔馴染みじゃから合格じゃ」


「……合格って、俺は何に合格したんだ?」


 ロウが相変わらず煙草を吹かしながら聞くが、タルサはそれにもかぶりをふった。


「それ自体が国家機密並みの話題になるからのぅ? ロウ殿はとりあえず傍観されておるが良い。まずはアリシア殿のことを知りたいのじゃが――自己紹介して下さらぬか?」


 視線を向けられたアリシアは、タルサを睨んで立ち上がる。


「私は悠久の魔女様のためにしか動く気はないわ! 私と交渉したいなら、早く悠久の魔女様を迎えに――」


「それが出来ないとしたら、どうじゃ?」


「……」


 割って入ったタルサの言葉を、アリシアは眉を寄せつつ受け取っている。


「ところで、アリシア殿は悠久の魔女殿を妄信しておられるようじゃな? そんな悠久の魔女殿が創り上げたこのエターナルに、今現在、建国後最大の困難が降りかかっておる。悠久の魔女殿の創り上げたこの国を守るために――その力を貸しては頂けぬか?」


「……訳アリってわけね?」


「ちなみに、この場には嘘を見抜ける転生者がおる故に、発言には気を付けるが良い」


 ちらりとアリシアがヘッドに視線を向けるが、ヘッドはやれやれと首を振るだけだ。


 タルサもヘッドも、回りくどい話は御免したいということだろう。


「親切にどうも。つまり、その情報を聞くために、私は自己紹介をして、その面接とやらに合格しなきゃならないってわけね?」

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