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「……この子はなんですか?」


 とりあえず無視して聞いてみると、ヘッドは苦笑した。


「このお方は、アリシア主教様だ。悠久の魔女様を崇拝するエターナル大教会のトップだな」


「こ、こんなガキが、教会のトップ!?」


「ガキはアンタよっ!」


 思わず叫んだ俺に、横からドロップキックが飛んできた。


 意外すぎる不意打ちに、俺は受け身も取れず地面に転がってしまう。


「な、なにすんだ!?」


 思わず口を開くが、俺を蹴り飛ばした少女――アリシアは鬼の様な剣幕で言い返してくる。


「悠久の魔女様のお屋敷にいるというのに、アンタはどんな教育を受けてるのよ!? これほどの無礼を受けても私がここにいるのは、悠久の魔女様に関わる重大なお話があると聞いたからよ! さっさと通さないのであれば、私は帰らせてもらうわっ!」


「くくくくくくく」


 笑い声に顔を向けると、お屋敷の玄関先にはタルサがいた。


「すでに打ち解けているようで、何よりじゃな?」


「……アンタも何者よ?」


 アリシアはタルサも指さして口を開いている。


 まったく、本当に怖いモノ知らずな奴だ。


「妾は女神タルサメシアじゃ」


 俺の思いとは裏腹に、タルサは丁寧に頭を下げた。


「エターナルの行く末について任されている女神――とでも言えば良いじゃろうか?」


「エターナルの……行く末?」


「その話は腰を据えて話そうではないか? それよりも――じゃ」


 眉を寄せるアリシアを手で制し、タルサはヘッドに視線を向けた。


「ロウ殿とアリシア殿を集めるとは素晴らしい選別眼じゃが――妾は最低でも三人は集めるようにと話したハズじゃろ? ヘッド殿は数が数えられぬのか?」


 タルサの嘲るような言葉にも、ヘッドは寛大だった。


「俺を高く買ってくれてるのはありがたいが、俺の情報網にも限界がある。少し確かめたいことがあるから戻ってきただけだ。……まぁ、一応だが切り札もあるぜ?」


 ヘッドの苦笑に、タルサも歯を見せて笑う。


「その切り札とやらを楽しみに取っておくかの。とりあえず、これからが本当の国づくりじゃ。お主様も寝転がっておらずに、さっさと行くぞ?」


「行くって、どこに?」


 俺はタルサに手を借りて立ち上がる。


 そんな俺に、タルサは〝何を今更〟といった顔で答える。


「採用か否かの判断ならば、面接と相場が決まっておる」

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