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 メイド服では気づかなかったが、今のミーナさんは体のラインも強調されていて、その流線形のシルエットはなまめかしく、あらわにされている太ももは魅惑の魔力に満ちていて、その白くまぶしい肌に自然と視線が吸い寄せられて――って、俺は何を考えてるんだ。


「……あの、ここって混浴だったりします?」


 聞きながらも、目のやり場に困る。


 無理やり視線を引きはがすと、ミーナさんは笑っていた。


「今日は慣れない稽古で大変だったでしょう? お背中をお流ししようと思いまして」


 なんとなく、タルサの顔が頭に浮かんだ。


 断るべき、なんだろうか?


「そこに座ってくださいね?」


 ミーナさんに笑顔で言われ、俺の思考が止まる。


 ……これはメイドの仕事として許される行為なのだろうか? 純粋に文化の違いか? それともミーナさんが、果てしなく天然なだけか?


「ひ、一人で洗えますんで、お気遣いは嬉しいんですが……そ、その、大丈夫ですよ?」


 やんわり断ろうとしたが、ミーナさんは俺の手を握る。


「なかなか一人では洗いづらいところもありますし、遠慮は無用です! 私は体を洗うことも得意でして――このメイドに是非ともお任せくださいっ!」


 ミーナさんが、自慢気な表情で俺を見上げていた。


 タオルに包まれた胸の谷間が、すぐそこにある。


 俺の思考は混乱を極めたが、お、俺は、誘惑には負けない。


 お、俺は――タルサ一筋だぞっ!?

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