104
「遅くなって悪いんだが、俺の名はウルフ・ヘッドだ」
馬車で対面するように座り、狼男さんが自己紹介をしてくれた。
「これでもA級の神をやってる。あと自己紹介するなら、神ランキング協会――エターナル支部の飲んべぇ共の
狼男さんは
正直なところA級の神っていうのがどれくらい凄いのかが分からないけれど、DD級の俺より遥かに実力があることは間違いないだろう。……気さくに話しかけてくれているけれど、神様の集うあの場所の〝総元締め〟という肩書きも凄そうだと思った。
ちなみに〝エターナル〟というのは悠久の魔女が名付けた、この国の名だ。
「俺はシュウって名前で、DD級の神です。よろしくお願いします」
俺は狼男さんと握手を交わすが、タルサは腕と足を組んでふんぞり返っている。
「ウルフ・ヘッド――狼の頭、のぅ?」
タルサはニヤリと笑う。
「分かりやすい偽名じゃな?」
「……偽名?」
俺のオウム返しの疑問に、狼男さんは薄く笑う。
「なかなか手厳しいな。
狼男さんは頭をかいて続ける。
「お屋敷に着く前に確認しときたいんだが、タルサさんの願いが〝全てを知ることができる〟ってのは本当らしいな? 俺の
「妾はその全てを知っておるぞ? 何が言いたい?」
タルサが目を細め、狼男さんの言葉を促した。
狼男さんは少し考え、言葉を選びながら続ける。
「取り繕っても仕方ねぇから単刀直入に言うが、俺が偽名ということは隠してくれないか?」
狼男さんを見返しながら、タルサはニヤリと笑った。
「
狼男さんはほっと息を吐くが、タルサの言葉は終わらなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます