俺と狼男さん
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「お主様ぁ!」
タルサは見慣れた女神丸出しの白いローブ姿ではなく、昨日買った民族風衣装を着ている。それは赤と黒を基調にしたドレスで、腰の部分をリボンで
「この服、似合っておるかっ!?」
笑顔いっぱいのタルサが、くるりと回転する。
スカートの
なぜなら、タルサは顔はいつもの不敵な笑みでなく、素直な満面の笑みだったからだ。
「……すごく、似合ってるぞ?」
照れて反らしてしまう俺の顔を、タルサが覗き込んでくる。
「お主様も素敵じゃぞっ!」
俺はその
「あざと可愛い!」
俺もタルサと同じ様に、昨日買った民族風の衣装だった。
俺がタルサと
「まったく、お前たちは本当に幸せそうだよなぁ?」
そんな俺たちに向けて、小さなため息が聞こえてくる。
その声に視線を向けると、そこには狼男さんが立っていた。
「おはようございます!」
俺の挨拶に、狼男さんは片手をあげて応えてくれる。
「今日はよろしくな」
狼男さんは珍しく酒の瓶を持っておらず、代わりに刃渡り五十センチほどの剣を腰に付けていた。これが普段のスタイルなのだろうけれど、
タルサは狼男さんを値踏みするように見て、俺の右腕に抱き着く。
……タルサのたわわな胸の柔らかさを、肘で感じた。
「妾とシュウ様のラヴラヴを魅せつけてやっておるというのに
礼を口にしているとは思えない偉そうな態度だが、狼男さんは軽く笑い返してくれる。
「俺も悠久の魔女様に借りが作れるなら助かるからな。そこは持ちつ持たれつってことで。荷物とかあるか?」
狼男さんの後ろには馬車が
俺たちは現世で着ていた服とノートパソコンを
目的地は、エターナル国の首都ミッヘルンにある、悠久の魔女のお屋敷だ。
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