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「そもそも、この国は悠久の魔女の創り出した国に他ならず、その国民は悠久の魔女の所有物に等しい。この国の民は、今まで――悠久の魔女の生み出した平和を享受きょうじゅしておった。その代償がどれほどのモノかも気づかぬあわれな者共には、相応ふさわしい最期じゃ」


「……それは、本気で言ってるのか?」


 お主様の表情が、さらに険しくなる。


「それこそが最善じゃ。悠久の魔女を仲間に引き込めば――あの黒い腕も攻略できようぞ?」


 わらわの言葉は正しいというのに、お主様は首を縦に振ることはなかった。


「俺はこんな方法は認めない」


 簡単に説得できるとは思っておらなんだが――やはり、根本から考え方が違うようじゃな。


「妾は、お主様を愛しておる」


「俺だって、タルサを愛してるぜ?」


「……相思相愛じゃというのに、道をたがうとはなんたる悲劇よ。いや、これは喜劇か? 結末の分かるいくさほどつまらぬモノはないと思わぬか? 今ならまだ許してやるぞ? もう一度、考え直すのじゃ。お主様が妾に勝つことなどあり得ぬ」


 妾は全てを知っておった。


 お主様の持ち物は全て把握はあくしておるし、妾の用意したアレは、お主様の魔剣を完全に無効化できる最強の武器じゃ。


 お主様に勝ち目など、ありはせぬ。


「タルサが俺のために戦うように、俺だってタルサのために――ここは退けない」


「くくくくくくく」


 妾は一通り笑って、薄くため息をついた。


「まったく仕方のない男じゃ。お主様が妾のために戦っておるのであれば、どちらが正しいかなど答えが出ぬではないか? そうであれば、答えを出す方法は一つしか残らぬ」


 妾は両腕に魔方陣を生み出し、お主様へと向けた。


「どちらの想いが強いのか――勝負じゃ、お主様よ」


 剣を抜いて構えるお主様を見ながら、少しだけ後悔する。


 まったく、なんでこんなことになってしまったんじゃろうか。


「想いの強さなら、タルサにも負けないぜ?」


「妾も同じじゃ! お主様よ、まずは小手こて調べといくぞ!」


 妾は笑って、お主様を止めるために力を振るう。


「精霊術式【炎蛇えんじゃ】ダブルじゃっ!」

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