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「――たとえ不死身でも、動かす筋肉が無けりゃ意味がないだろ?」
「……はぁーあ」
不意に、緊張感のない
目をやれば、天使に抱かれた少女が
「……私、もう眠くなってきちゃった」
少女の言葉に、黒い腕が笑った。
「――そうだな? ――すでに目的は達成した。――これ以上の
「ケーキ嬉しい! パパありがとう! ……って、まだ、あなたがいたんだったね」
血だまりを前に喜ぶ少女と黒い腕を前に、俺はただ立ち尽くしていた。
恐ろしさから足が
「――ひひひひひひ。――創造神よ。――お前の役目はもう終わった。――お前の力はもう消してやった。――お前はもう無価値だ。――お前はもう無意味だ。――お前には何もできない。――あの女と同じように、
最後の言葉に、理性が戻ってくる。
「タルサに、何をしやがったっ!?」
「――ひひひひひひ。――望み通りにしてやっただけだ。――俺に取引を持ち掛けるなんて大馬鹿だ。――俺と同等だと勘違いしやがって! ――だから創造神の力も消した! ――後はお前が死ぬのを待てば俺の勝ちだ! ――
「これで、タルサのお姉ちゃんを助ける方法は存在しなくなったね?」
少女が俺に笑顔を向け、俺はそれを
「やっぱり、タルサを助けたいって言ったのは嘘だったのか」
俺の言葉に、少女は首を横に振る。
「私はタルサお姉ちゃんを助けたんだよ?」
「どういう意味だよ!?」
俺の叫び声に、黒い腕が笑っていた。
「――馬鹿なお前にも教えてやるよっ! ――あの女は本気で死にたがっている。――それは、俺の取引によって、お前を助けられると信じているからだ! ――この子は優しい子だ。――あの女の目的を果たすために。――あの女の死を確実にするために。――この世から〝創造の力〟と〝解放の力〟を消してやった!」
「本人が選んだ願いを叶えてあげるのが、正しいに決まっているでしょ?」
黒い腕の影が広がり、三人の天使と少女、横たわるコロナを包んでいく。
「無能力者のあなたに、最後のプレゼントをあげる」
黒い腕と少女、そして三人の天使とコロナの姿が、影に飲み込まれる。
そして、彼らと入れ替わるようにして、一人分の人影が現れた。
残された血だまり中心で、タルサが倒れていた。
「……タ、タルサッ!」
「あとは二人で楽しんでね!」
少女の声が消え、夜の道は一転して
俺はタルサに駆け寄った。
タルサに外傷はなさそうだが、顔色は真っ青だし、その吐息は細い。
体を抱くと、タルサは薄く目を開く。
「お主様には心配をかけずに逝くつもりじゃったが……すまぬ」
それでも笑顔になるタルサに、なんて声をかければいいのか分からなかった。
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