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「今、この異世界でパパの取引を無効にすることのできる転生者はたったの二人だけ。あなたの〝創造の力〟と、コロナの〝解放の力〟を使うことよね?」
俺がうなずくと、少女は笑って、
「少し話が変わるんだけれど、あなたは昨日の昼にこの世界を創ったんでしょ?」
俺は少女の言葉に、
「そして、これがノートパソコンね?」
少女は俺のノートパソコンを指さして続ける。
「でも、あなたが転生してから、もう丸二日も
改めて小首をかしげる少女の姿を見て、なぜか嫌な予感がした。
「そろそろ充電しなくて、大丈夫なの?」
その声を聞いた瞬間だった。
画面の右下に充電表示が現れ、そこが赤く点滅している。
「そんな!?」
パソコンの残り容量は、すでに三パーセントしか残っていない。
これは――あの白い空間で、タルサに〝腹が減っていないか?〟と聞かれて腹が減った時と同じだ。俺がそれに気付いてしまったから、その現象が現実に起きてしまった。
未確定な物理法則は、俺の無意識から生まれる。
これが、タルサの言っていた〝俺の気づいてはいけない弱点〟か。
俺が
真っ暗な画面を見て、ようやく思い知らされる。
俺にはこのノートパソコンがあるにも関わらず、俺のことを誰もが無能力者と呼んでいた。その理由がこれだったんだ。俺の『異世界で俺は神になる!』をノートパソコン越しに読める力とは、たった一言で壊れてしまう
「これであなたは、本当に無能力者」
にこりと笑う少女は、俺に背を向けて走り出した。
こいつ!
最初からこれが目的で、俺に話しかけてきたのか!?
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