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 サバサバとした性格のタルサと過ごすのは心地よく、私はタルサとすぐに仲良くなった。


 完全個室での勤務ということもあり、仕事中には担当職員としか話をわさないことが多いが、タルサとは昼休憩を一緒に取ったり、勤務後に夕飯を食べに行ったりしていた。


 一年ほど精神エネルギー発電所に勤めた頃には、休日にショッピングに行き、ケーキが美味しいと評判のお店で喋ることも多くなった。


 その会話をしたのも、そんな日常の一コマだ。


 それは一番人気のモンブランを注文し終えて二人で待っている時のことだった。


 私が幼い頃〝交通事故で身代わりになってくれた人がいる〟と話すと、タルサはそれを興味深そうに聞いていた。


「それこそが、お主様に魔法使いとしての才能がある原因じゃろうな」


「どういうこと?」


 私が聞き返すと、タルサは続ける。


「我々の精神エネルギーという奴は、魂の欠片なのじゃ」


「魂の、欠片?」


「例えば、お主様の腕はお主様そのものではないが、お主様を形成する存在の一部じゃろ? それと同じで、わらわ達の精神エネルギーとは、妾達の魂の一部分である。大半の人間は肉体を基本概念としておのれを捉えるが、妾達は魂がより自己の基本概念として定着しておるのじゃ。ゆえに一般人と比べて精神エネルギーを取り出すことが容易というわけじゃな」


 話が難しくて、正直に言うとピンとこない。


「……それと私の過去に関係があるの?」


推測すいそくにはなるが、お主様はそこで死を実感したのじゃ」


「私が死ぬべきだったってこと?」


 私の言葉に、タルサは首を振る。


「お主様の魂は、その時点で転生の準備に入っておったのじゃ。しかし、その機会はおとずれず、お主様の魂は現世に留まった。その経験が魂から精神エネルギーを取り出しやすい体質として現れておるわけじゃ。他の魔法使いにも聞いてみたことがあるのじゃが、面白いことに全員が臨死体験りんしたいけんをしておる」

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