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指先に電気が走ったように動けなくなる。
「どうしたんじゃ、お主様?」
俺が顔を
「どうして、そんな悲しそうな顔をする? お主様は、妾に欲情せぬのか? ここまでして、どうして――どうして、手を出さぬ? 妾には、魅力が無いのか?」
まるで泣き出してしまいそうなタルサの言葉に、俺は申し訳なさでいっぱいだった。
「タルサは悪くない」
タルサは手を離し、涙目で俺を
「悪いのは俺だ」
「……どういうことじゃ?」
「タルサは俺が出会った中で、一番魅力的な女性だ。だから、俺はタルサと仲良くなれたら凄く嬉しいし、タルサみたいな彼女ができたら、本当に幸せだと思う」
「……ならば、なぜじゃ!?」
まっすぐ俺を見つめるタルサを、見つめ返す。
「タルサの気持ちは、俺が創り出した
俺は、それが許されることではなかったのだと、ようやく気付いていた。
いや、最初から分かっていたのに、気付いていないフリをしていただけだ。
――俺の背後には、俺のことが大好きな、この世界の全てを知る女神がいた。
あの書き込みで、俺はタルサの心を
そうでなけりゃ、俺なんかを好いてくれる人なんて、生前と同じでいるわけがない。
「何の理由もなく人に愛されるなんてのは、現実で起きちゃいけないことだった。タルサの意志を踏みにじっているこの行為は、許されるものじゃない」
「……そんなことを、
「でも、俺には何の魅力もない。今日だってタルサにおんぶにだっこで、世話になってばかりだった。俺には、タルサに好かれるような資格なんて――」
「それは違うぞ!」
タルサが、声を荒げていた。
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