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 振り返れば、酒を飲み合う狼男とドワーフの男が笑っている。


「声援苦しゅうないっ!」


 タルサが水晶に手をかざすと、機械はうなりを上げて一枚の登録カードを排出する。


 コメットさんがそれを取り出して見つめているが、そのカードが金色なのが気になった。


 ただの登録カードなのに豪華だな。


「き、機械の故障です、かね?」


 コメットさんは少しだけ震える声で、ずれた眼鏡を上げている。


「どうしたんだ?」


 さきほどのドワーフの男がコメットさんに近寄り、その目は驚愕きょうがくに開かれる。


「そ、そんな馬鹿な!? SSランクだとぉおおおっ!?」


 その声を皮切りに、たくさんの野次馬が集まってきた。


「順位も161位!? 初登録からこの順位とか信じられねぇ!」


「信者数がゼロなのにこんな順位とか意味わかんねぇぞ!?」


「純粋な実力だけでこの順位って事かよ!?」


「信者さえ集めりゃ1位にだってなれちまうかも知れねぇ!」


「才能の塊じゃねぇか! この街で働いていってくれよっ!!」


 集会所にいた人々が、口々にタルサを褒めていた。


 そんな人垣ひとがきの中心で、タルサは満足そうに笑っている。


「そう褒めるではない! 苦しゅうないがな!」


 ガハハハハハ。


 高笑いするタルサに合わせ、集会所は大盛り上がりだ。


 俺はなんとか人垣から抜け出し、コメットさんを見つけて声をかける。


「よくわからないんですけど……そ、そんなに凄いことなんですか?」


 俺の質問に、コメットさんは目を輝かせて答える。


「す、凄いなんてもんじゃありませんよ! 初登録からSSランクなんて前代未聞です! SSランクは最上位ランクであり、この国にも悠久の魔女様のお一人しかいらっしゃいません! お連れの方は転生前に強力な魔導士だったのでしょうね!?」


 冷静に見えたコメットさんが興奮するぐらいだから、相当凄いらしい。


 なんか悔しいけど、タルサは生前に女神だったらしいし、妥当な評価なのかもな。


「……あの、俺も登録しに来たんですけど」


「あ! ほっぽり出してしまってすみません! こちらです!」


「落ち着くが良い皆の衆!」


 コメットさんに案内される俺の姿を、タルサは目ざとく見つけたらしい。


 タルサは皆の注目を集めると、俺の事を指さした。


わらわの連れであるシュウ様は、妾よりもさらに凄いぞっ!!」

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