act9暗黒次元からの帰還、戦いの再開



隣次元、平行世界論を語る上で語らざるを得ない要素の一つ、『あの男』がシュレディンガーの箱を語る前にまず、箱とは何ぞや?を語った結果、生まれた、箱とは天面フタ、正面、裏面、側面二つ、底面によって空洞を囲う物質である、つまり、実験器具や猫をいれる前に囲うモノがある、段ボールを思い出せばそれがよく分かるだろう、空洞を囲う物質という事は空気で圧力をかけたりや念動力の四方八方を囲うのではない、量子が非物質に近いがそれを囲う物質は単なる物質である。


その囲った中身を『真なる現実の世界』と言い、囲っている物質を隣次元、或いは現実世界と平行世界との境界線と言えるだろう。


内情を知る者からは時空を超越した暗黒次元、『魔神』の住みかとも言われている。


『あの男』が自らの無の力、黒き球体ガンツである全身を消し飛ばされたが、『あの男』は今ではもう五体満足である、原理的には『現実世界』の三次元から自らを強制削除したが、隣次元になんとバックアップがあったのだ。


それにより『あの男』は隣次元で復活した。


「危ないところだった、自殺行為は自分にとってはルール外の行いなはずだったからな」


「そうでしょうかねぇ?」


両目の中に星型があるようなキラキラした二つの眼光、蛇のようなスプリット・タン、服装は左耳にダイスのピアス、逆十字のペンダント、両肩の部分が切り出された髑髏柄の白いシャツに猫耳のついた赤いフードに黒いジーンズにそしてスパイク付き安全靴、ピンク色の唇には棒付きキャンディーが加えられていた、背丈はかなり小さく成長期応援飲料を飲んでいないのが伺えるほどに小さかった。


その美少年が『あの男』に声をかけた。


「久しぶりですねぇ、ぼく


どうやら、この美少年は『あの男』のもう一人の自分らしい。


「はっ、自分の本体様とまた巡り合う羽目になるとはな、なんの因果応報なんだかなぁ」


「そりゃあ、、それは仕方ないよ」


もう一人の『あの男』はアメリカ人のように両肩をすくめて、やれやれと頭をふった。


「自分にとっての青少年の過ちの一つだぜ」


『あの男』はそれにため息をついた。


「過ちこそ罪だよ、多罪たつみだね」


もう一人の『あの男』がそう言った。


「本名の別の読むかたに変な当て字するな」


『あの男』が怒りを孕んだ口調で言う。


「なぁに?今の自分は冤罪と濡れ衣のオンパレードしかなくって、罪をした感触がないのかなぁ、罪悪感の問題ですらなく罪の意識の実感ではなくそもそも犯罪行為そのものへの感慨が足りないってことかなぁ、笑えるね」


もう一人の『あの男』がケラケラ笑った。


「もういい、さっさと元の次元に帰らせてもらう、お前と話すと本当に嫌になるんだよ」


「それはぼくが君の求めてる本当の姿なんだよ、残忍で悪の美学を持ったサディストではなく小便ピス白濁液スメルまみれのマゾヒストにね、あ!ぼくの願望だったね、ごめんごめん、性癖開示は自分からすべきだよね」


もう一人の『あの男』がおちょくった。


「そんなの自分は求めてないんだが?」


『あの男』がそれにキレかけていた。


「いいじゃん、君みたいな小悪党がとてつもない大犯罪にするなら大悪党の付属品でない、悪の美学も節制もないし知識はあっても知性もない君にとってはそれが最善の策だ」


もう一人の『あの男』が皮肉げに指摘した、それに『あの男』はそれを受け入れた上でもう一人の『あの男』にこう言ったのだった。


「そんなの否認し続けてやるよ」


「自称サイコパスはだめだよ?ぼくはこんな一人称だけど魔神達の中では最弱なんだからね、最弱には最弱のやり方があるんだよ?」


もう一人の『あの男』が警告しながら自分語りをしながら自らを自戒していたのだった。


「もういい」


『あの男』は隣次元に『穴』を消滅系の無の力によって、無理矢理貫通させてしまった。


もう一人の『あの男』は呆れながら別れの言葉を『あの男』の本質の一つと共に言った。


ぼくが魔神の中で最弱なのは、それでも死なずにここにいる、だから無限大の重力に滅茶苦茶にされてしまい泥々の有耶無耶うやむやになってしまったぼくも君もその残骸の末路の黒き不定形の黒い粘液を固形化しただけの存在で、そのあり方は外宇宙の存在、這い寄る混沌ニャルラトホテプに近い、、それを忘れないでくれよ、■■■■■■君?」



ブジュグアッ!


奇怪な音と共に五人の目の前の空間に黒い泥のような液体が噴水のように吹き出した。


それが地面に広がり、その世界に平がった暗い染みから人間の姿が形どられていく。


そうして『あの男』は現実世界の数秒後にはにそのようにして復活を果たしたのだった。


「ほら、やっぱり」


甘ロリ姿のロシア人少女はそう言った。


「君は『西海岸』のではなく『東海岸』の自分を愛したのか、これはめんどくさくなる」


『あの男』は漸く彼女を『認識』していた。


「え?」


「こっちの話だ」


『あの男』がそう言い、その話は終わった。


そして、鬼堂辻、山峰獅子騎、アル=ダジャール三十三世、そして爆炎を浴びて瀕死の状態になっている華蒼院ガブリエラは彼を見据えて、鬼堂辻が『あの男』の回りに重力因子をばらまいた後にそれを収斂させて現実世界の空間ごと押し潰そうとする。


「おいおい、小型ブラックホールを発生させる気かよ………」


『あの男』はそう言いながらも、打開策を練っていた、そうして思いついた打開策は魔人として覚醒する事だった、魔神と出会い、話したことで脳内に魔神の邪気が侵蝕してしまい、そのまま脳内に魔人因子殻片クリフォ・チップを形成していたのだった。


よって、『あの男』は自分そのものに付与される能力を新たに増やすことに成功をした。


『あの男』の肉体が破裂し、そこから小型ブラックホールが創造されたがそれはすぐに霧散した、何故ならばブラックホールのエネルギー源そのものを『吸収』したのだった。


多き罪の中の八邪エイト・エビル・ソート・オブ・メニー・ギルティ暴食の大罪グラトニー・シン


「……八つの枢要罪 に呼応した無数の技があるというのか!危険!あまりに危険!すさまじく危険、真剣に危険!危険極まれり!」


華蒼院ガブリエラがそう推測して叫んだ。


「ドレイン技か、なら、能力を使わずにそのままぶん殴ればいいだけだなぁ!オイィ!」


山峰獅子騎、『撲殺探偵』としての真骨頂。


撲殺のためのシンプルに殴打。


テレフォンパンチにしては無数の喧嘩で熟練された勢いとフォームを『あの男』に放つ。


「………何かしたか?」


『あの男』はどうもしていないように見えたが、唇を切っていた、生意気な態度である。


「なんだてめぇ、強がってんじゃねぇよ!」


更に山峰獅子騎は殴り続け、そして気づく、殴ることそのものに性的に興奮している事に、彼は殴ることは好きだが殴って興奮は得ないタイプだ、あくまで撲殺されてぼこぼこになった姿をみて、その傷跡に射精をする。


そういう事を沢山してきた男である。

おぞましい感覚に襲われてしまった。


多き罪の中の八邪エイト・エビル・ソート・オブ・メニー・ギルティ色欲の大罪ラスト・シン


『あの男』がそう言い、そして金的をした。


「はぅ!」


勃起状態のちんこがキックで折れ曲がった、二度と勃起した時に直立はしないであろう、その痛みのあまり泡を吹きそのまま倒れた。


山峰獅子騎再起不能。


多き罪の中の八邪エイト・エビル・ソート・オブ・メニー・ギルティ強欲の大罪グリード・シン


その能力により再起不能になった山峰獅子騎から電気を発せられる体質を奪い取った。


山峰獅子騎は生体電流を放てなくなり、ゾンビ化が無くなってしまい、そのまま死んだ。


山峰獅子騎死亡。


「いいぞ!いい感じだ!」


『あの男』が全身に電気をまとい、全神経にさえ電気をまとっていき、そして高速移動。


「何度も言うが!まずは貴様だ!『天災の魔神』アァル=ダジャァァァァアアアルゥ!」


『あの男』によるアル=ダジャール三十三世への執拗な執着がまだ持続させていた。


アル=ダジャール三十三世はこう返答した。


「さっきと似通った攻撃パターンだな、若者のスラングでこういうのを天丼と言うゴッ」


延髄蹴り、その場でジャンプして、相手の後頭部めがけて自らの片足を伸ばしながら回してキックを繰る、技名は相手の後頭部を蹴る動きが後頭部にある延髄を切り裂くように見えることが由来、それを高速移動して、アル=ダジャール三十三世の背後に回ってから、その場でジャンプして後頭部めがけて自らの片足を伸ばしながら回してキックを繰った。


それにより、アル=ダジャール三十三世はあまりの衝撃いたさにより気絶してしまいそうにならがそのキックした足のくるぶしを掴み、そのまま地面に思い切り叩きつけたのだった。


『あの男』は衝撃いたさに快感を覚えた。


「ンギモヂイィ!!」




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魔人事件簿リテイク版 飛瀬川吉三郎 @hisekawa

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