act8尋常ではない四色VS無色



『地獄具現・厄災火人』で火だるまになった『あの男』が『天災の魔神』アル=ダジャールが三十三代目、アル=ダジャール三十三世に突っ込んでいく。


「うおおおおおおおお!」


アル=ダジャール三十三世は自分の周囲にある風のバリアを更に大きくして風のバリアを風のドームにした、『紅蓮阿修羅蟷螂』を吹き飛ばしたような火が触れれば勢いが増すのではなく、火そのものが消えてしまう風圧。


「どうした?貴様そのものは蝋燭なのか?」


火だるまそのものの火の勢いは足りていない、それが何か、誰もまだ気づいてない。


「そこの神父、宗教戦争は後回しにして手を組まないか?」


アル=ダジャール三十三世は余裕綽々で防御を続けながら華蒼院ガブリエラにそう言う。


言われた華蒼院ガブリエラはため息をつく。


「魔人と一時的な同盟を結ぶのはしゃくですが、彼ならばイフリートの名前を知っているため、今の『あの男』の攻略に最適なため、せざるを得ませんね………」


魔霊は中東の方ではジンと呼ぶ、その中でもイブリースの名前は元々多くの人達に知られてるだろう、それは小瓶に封印されたという伝承以外の全てはで暴力的で狂っていた。



その華蒼院ガブリエラの真名看破にアル=ダジャール三十三世は反応する。


「ヤツが死霊使いネクロマンサーなら沢山の大悪党の魂、イスラム教でいう地獄、ジャハンナムから現世に呼び出し、それらを収斂させて『魔霊』にして憑依させるのも簡単だろう、『地獄具現』の技名から察するに仏教の奈落、キリスト教のインフェルノ、北欧神話のヘルヘイム、ギリシア神話のプルートニオンの他の地獄からもさっきやっていた事と同じことが出来るだろうな、『全文明オールド』使いって事だ」


アル=ダジャール三十三世が『あの男』の『地獄具現』に関する能力をそう推測した。


「『全文明オールド』使いか、それは厄介だなぁ、俺のダチがデュエル・マイスターズやってるけど緑属性のドラゴニック・ウェポンシリーズの黒幕の五色レインボーデッキがバカ強いんだよな、俺はバカだから赤属性単体しか出来ないっていうのに複雑だってーの」


山峰獅子騎がそれを聞いて辟易する。


「んーん?いつもならこの程度の風圧で消えたいのに、おかしいなー、おかしいなー」


『あの男』が自分『地獄具現・厄災火人』の出力が上がらないことを疑問視して、風のドームに突っ込むのもやめて火だるまもやめた、鬼堂辻はその隙を逃さずに、重力因子を思いきり、放出して、『あの男』の周りにそれをまとめさせ、そのまま、重力をあげた。


そして、地面にクレーターが出来た。


「なるほど、これはまだ環境適応ダーウィニズムしていない、しかしブラックホールの中の無限大の重力を浴びて死ななかった俺だ、耐えられる」


『あの男』は余裕そうだった。


しかし、『あの男』は大切なことを忘れていた。


「ありゃりゃ、もしかして、自分そのものが本来持っている『魔霊』を持ってない?あぁそれでさっきから並行世界を重ね合わせられないから火力が弱かったり、ブラックホールの無限大の重力を浴びたセーブデータも無いからこんな重力の垂れ流しですらすぐに適応できないのか、こりゃ、時間がかかるなぁ」


『あの男』はそう言いながら片ひざをつく。


殺戮暇潰し時間キル・キルタイム・タイム、リリーブフラストレーション・エレメント・ルーレットは、赤の火、青の水、黄色の雷、緑色の風、茶色の土の五色の属性を操れる、この中で『火宴竜型ディアボロス・タイプ』」は凄まじい火力を誇る技である。


その火力に『あの男』は不満げだった。


「平行世界を重ね合わせられない、現在いま殺戮暇潰し時間キル・キルタイム・タイム、リリーブフラストレーション・エレメント・ルーレットではこいつらは倒せないか、単なる暇潰し感覚じゃぁこの五人に勝てないような気がしてきたな……」


そうして『あの男』は片手を突きだして。


「『地獄具現・火塊抽出』!!!!」


自らの『魔霊イブリース』を体外に解き放ってしまった、そうして、そのようにして飛び出した火の塊他の五人の間の線を結んで丁度中心になる部分で大爆発が起こした。


「ちっ!」


鬼堂辻は自分を無重力にして空中に浮遊しながら逃げて爆炎から逃れた。


「うぉっ!?あぶねぇ!」


山峰獅子騎は全身に放電させて、体中の全神経に電気をまとった事による高速移動で爆炎から離れた。


「ふん!」


風のドームを風のバリアに圧縮してアル=ダジャール三十三世は爆炎を防いだのだった。


「ちょっと危ないじゃないの!」


白いゴスロリ、甘々で可愛らしい甘ロリと呼ばれる服をしたロシア人の少女は自分の前に氷の壁をつくって爆炎を防いだのだった。


「うおぉわーーーー!」


華蒼院ガブリエラは雨を操る能力でそれを操っても氷の傘があるので自分の周囲に自分の能力の力を発揮できず爆炎を浴びてしまう。


「まずは一人、そして、自らに『魔霊』もなく、聖人の異能ホーリー・スキルを使うための『聖霊の分離体』、『天使核』も無い今、本来これでは無能力者だが自分に限っては違う、自分は、この条件下で発動できる能力がある、それは『零次元』!無の力!それがこれだぁ!」


『あの男』が突きだしたままの片手からまた何か放った、それは大きな黒き球体ガンツだ。


「ふはははははははは!PSYREN -サイレン-の夜科アゲハの暴王の月メルゼズ・ドアみたいだろう?」


山峰獅子騎は自分に地面を削りながら向かってくる黒き球体ガンツに驚愕する。


「タッチアンドデス!触ったら死ぬな!?」


山峰獅子騎はそう叫んで、更に全身に放電させて、文字通り神経を張り詰めて高速移動を始めた、それもかなり明後日の方向である。


「逃げたまえよ!自動追尾オートマチック・トラッキングだがな!」


そうして『あの男』は多対一の基本、一人になった者は多い方を一つずつ潰していくをこなしていき、五人から三人にまで減らした。


「さて、次はどうするか」


『あの男』は上空を仰ぎ見て鬼堂辻を見た。


「次はアイツかな、では、先ほどの技の改良型を放とうか、『無明顕現・黒乱死狂』!」


先ほどの消滅系無の力の塊である黒き球体ガンツの小型化した物を沢山出した、この玉でジャグリングするにしては多すぎるし、そもそも触れることさえ出来ないだろう。


鬼堂辻はその無数の黒き球体ガンツに襲われて、空中で素早く右往左往することになった。


「では、宣言通り、まずは貴様からだ、『天災の魔神』アル=ダジャール三十三世よ!」


同時に『零次元』の能力ーー聖人の異能ホーリー・スキル魔人の異能ダーク・スキルではないその『零次元』を使った無属性にして無の力を神人の異能プロビデンス・スキルと言うが、それは聖人の異能ホーリー・スキル魔人の異能ダーク・スキルよりも負荷がかかり制御も難しいーーを二つ解放しながらも、どうやら『あの男』にはまだ能力を解放できるキャパシティがあるらしい。


「負荷を許容できる不死身さはいいよなぁ」


それでも、ドロリと両目や鼻、耳から血を吹き出していく『あの男』なのであったのだ。


「脳味噌が普通ならもう泥々の半透明のゼリー風スライムになっているが自分は違うぜ」


「悪魔とも取引されてないし冥王の庇護にあっていなくても元々不死だ、原理としてはゾンビ化しながら自我を得た山峰獅子騎と同じ膨大な生体電流で無理矢理魂を戻した、日本の呪術では反魂の術と呼ばれているそれを使い、は死んでるが死んでいないのだよ」


『あの男』の雰囲気が変わり、『あの男』から殺意に近い寒気のするあの世の息吹に近いそれを発した、どうやら死の統率者ミクラトンテクートリとしての『あの男』が表層に出てしまったようだ。



「冥王は沈黙してろ、自分は能力の制御に忙しい、負荷はどうでもいいが制御はせねば」


『あの男』の雰囲気がまた変わる、この『零次元』の力、神人の異能プロビデンス・スキルを扱う神人たる彼はどの『あの男』なのだろうか?


それは『あの女』しか真実こたえは知らないが、その『あの男』は冥王を邪険に扱う前に考えなければならないことが三つある、まず、アル=ダジャール三十三世が大きく息を吸い始めたこと、鬼堂辻が無数の黒き球体ガンツに自分の重力因子を付着させて、コントロールしていたモノを奪取されてしまう、最後は彼らのいた場所からランニングコースのように一周した山峰獅子騎が大きな黒き球体ガンツが『あの男』の背後から帰ってきた事ある。


無数の黒き球体ガンツが『あの男』の石に反して『あの男』に迫り、それに気をとられている間に大きな黒き球体ガンツが当たる直前で山峰獅子騎が更に電力をあげて全神経に与えれる電気を増幅させて、高速移動を超高速移動にし、『あの男』に当てるようにした、『あの男』は上げらていた重力に加え、アル=ダジャール三十三世の吹き出した空気の風圧を耐えきれず後ろに吹っ飛んで、自分の能力であり、山峰獅子騎に向けられた大きな黒き球体ガンツに自ら飲み込まれてしまった。


山峰獅子騎はそれを背後から見て呟いた。


「………やったか?」


「はっ、『あの男』が死ぬわけないじゃない、だって、『あの男』なのよ?」


甘ロリ姿のロシア人の女が山峰獅子騎の言葉を鼻で笑いながら、そう断言した。

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