act7六つのエレメントが集結する!!



『紅蓮阿修羅蟷螂』が街を怖し、池袋の中心街へて向かっていく、道は火の海というより、火の道であった。火の獣道にしたかったが、虫なのでむしろ火の虫道と言うだろう。


その火の虫道を遮る褐色肌の男がいた。彼は


إِبْتَعِد عَنِّي, اُغْرُب عَن وَجْهِي


アラビア語で消えてなくなれ!と叫ばれた。


荒ぶるアラブ人、という親父ギャグがある、それは文字通りアラブ人が荒ぶるのだが、そのアラブ人の荒ぶり方は森羅万象を揺るがした、大気が乱れ、風が狂い唸り、そうして獰猛なる嵐、巨大な竜巻がそこに生まれた。


びょうーーーーーー


そうして『紅蓮阿修羅蟷螂』は竜巻に飲まれた、四方八方風に飲まれれば、火が風を与えられて更に燃え上がる事も無くなってしまう、そして『紅蓮阿修羅蟷螂』は消えた。



「………何者だウォイ!俺様の業火をこうも簡単に遮り、粉砕し、消し飛ばすとはな!」


『あの男』はその褐色肌の男の元に向かう。


斜め下に放たれる火柱が地面に接着した瞬間、辺り一面を火の海へと変えた。


あれはアル=ダジャール三十三世、『邪眼王』にして『天災の魔神』であるのだ」


そう褐色肌の男は言う。


彼の両脇を小規模な竜巻が二つ螺旋した。


それを見せながら更に言う。


「『火の魔神』イフリートと見間違えてしまった、うっかり、死を与えるところだった」


アル=ダジャール三十三世は傲慢なるままに言う。


「おいおい、俺様を殺せられるとでも?」


「万人が命ある限り、誰だろうと死ぬ」


「ざぁぁあんねぇん!もう死んでまぁす!」


しゃくに障る返答だった。


「……そうか、死霊使いネクロマンサーでもあるのだな」


死霊使いネクロマンサーには言及せず『あの男』は新たな技を展開する。


「まぁいい、火のディテールに拘なかったから『紅蓮阿修羅蟷螂』は消えてしまったがちゃんと火のディテールをコントロールしたらどうだろうな、『地獄具現・七樽現出』!」


空中に七つの樽が火で形成される、それが一つずつ投下されていき地面で割れる、その樽の中身は七つの大罪を象徴する七つの獣、傲慢は獅子、憤怒は猿、嫉妬は蛇、怠惰は熊、強欲は針ネズミ、暴食は虎、色欲は山羊。


それらが現出してしまった。


「それでは、これらによる全方位攻撃オールレンジ・アタックだ、貴様は避けられるかな?」



余裕満々で彼は腕を組み、仁王立ちした。


獅子が火炎放射し、猿が炎の両拳で殴りかかり、蛇が絡むつこうとして、熊が飛び上がり、ヒップドロップをしようとして、針ネズミが火の針を掃射して、虎が炎の爪で裂きにいき、山羊が突っ込んでいき、そして爆発。


「……やったか?いいや、やったね、だ」



アル=ダジャール三十三世の体の周りを二つの小規模な竜巻が彼を中心に回転して、それにより風のバリアを構築していた。


「なんだと?」


そこに雨が降り、火で形成された七つの獣は消化されるがまま消えてなくなってしまう。


「困りますねぇ………」


神父華蒼院ガブリエラが彼の背後に立った。


「聖職者は嫌いだよ」


新たに、火を生み出そうとするが消えた。


「貴様には残念なお知らせだ、この雨の雫、一つ一つが魔人の異能ダーク・スキルを能力無効化する聖人の異能ホーリー・スキルだよ、本当に残念だったなぁ」


「しかし、雫が触れない部分に魔人の異能ダーク・スキルを展開すれば問題ないだろう?」


鬼堂辻が重力操作で発火能力者パイロネシスになっている『あの男』の体内に重力因子を発生させて地面に這いつくばさせた。


「………その通りだ」


神父華蒼院ガブリエラは悔しさで唇をつい噛んでしまった。


「なら同じ事をすればいいだガバラ!」


神父の体内に炎を生み出そうとしたが、それをする前にバイクによって轢かれてしまう。


「誰だ畜生」


地面にうまく着地した『あの男』。

しかし全身が痺れてる。


「おっひっさー」


バイクに騎乗していたのは放電している『撲殺探偵』山峰獅子騎だった。


「火、水、風、土が揃ったのに雷までもか」


「氷もよ」



日本人論とは、日本人(大和民族)について論じる論、著作、報告のこと。


彼女は留学先のシェアハウスのルームメイトの『あの男』が日本人だったのを幸運に思い、日本人論を構築するために彼に取材をした、彼の部屋に入り、紅茶を二つ入れてダイニングテーブルに起き、二つの椅子に座る。


『あの男』は語る。


「和の心をあまり素晴らしいと思ってはいけない、個人主義の対となる集団主義どころかあれはファシズムとか全体主義の雛型だ」


「………足蹴に言うのね」


彼女は戸惑いを見せた、自国ロシアでもここまで国家精神を悪く言う人はいないだろう。


「群れれば安心する、それでは弱い、弱者の論理だ、シルバーバックみたいな群れを統率するヤツですら愚物だからな、笑えてきてしょうがないが、まぁ愚物は愚物だからこそ傀儡政権のしがいがある、摂政になりたいね」


彼は呆れているように見えた。


「日本人は野蛮で自分は突然変異種の天才だから管理する権限があると言うのかしら?」


彼女はその卑屈な傲慢さを指摘した。


「概ねその通りだよ、日本はアメリカナイズされても文化的表面だけだ、多民族とか特にワスプとかいうのも分からんだろう、反米的には今後もならないだろう、ロシア大統領が好きなのは野蛮人の脳ミソだからだよ?」


そして、彼女は確信をついた質問をふる。


「………じゃあ野蛮人日本人をどう思う?」


それに『あの男』は同情の面を見せる。


「哀れむよ、とても哀れむ、、とても哀れな生き物だよ、中韓ですらCIAの影響なく勝手に罵り見下す、野蛮人は立場関係、階級に固執する、だから下だと思った奴は虐げるしかないよ」


「有色人種の白人崇拝者か、マゾヒストね」


「ブラックメタルにはそういう要素が多い、人種差別はデフォ、ネオナチ思想だってやる、日本人でナチスマニアはきっとブラックメタルマニアでもある、皆して体色白化ホワイトニシャスされて奴隷スレイヴになればいいさ、そう思うよ」


いつの間にか彼女の嗜虐心サディズムが疼いていた。


彼女はそんな彼を愛そうとした虐げようとした



それは白いゴスロリ、甘々で可愛らしい甘ロリと呼ばれる服で彼女は雪の妖精に見えた。


彼女の周りのみ雨ではなく雪が降っていた。


「久しぶりね、『あの男』こと『K』、さぁ、私の奴隷になりなさい、跪きなさい」


「あぁ、いいっすよ~」


『あの男』は軽薄な態度でそれを受け入れた、どうや、心の準備はできていたらしい。


それに『撲殺探偵』山峰獅子騎は褐色肌の男に近づき、耳打ちした。


「リア充ぶち殺さない?」


過大解釈していたらしい。


「………もちろん賛成だ」


アル=ダジャール三十三世はそれに頷く。


その後、その二人による雷と風の即興合わせ技がバカップルに向けて放たれようとした。


それを氷の壁を形成して彼女は防いだ。


「邪魔しないでよ……死にたいのかしら?」


「貴様がな!」


雨の一部が槍のように研ぎ澄まされる。


それを氷の傘を形成して受け止める。


「なっ、聖人の異能ホーリー・スキルの方か?」


「えぇそうよ、これは聖人の異能ホーリー・スキルの氷技」


なので聖人の異能ホーリー・スキル聖人の異能ホーリー・スキルを無効化出来ない。


「んー、もっと大きいの創ってくれます?」


「お願いかしら?」


「お願いですよ」


巨大な氷の傘が空に形成された。


それで、雨は止んだ。


「では、炎を、生み出せる、と」


『あの男』から火がまとわりつく。


「『地獄具現・厄災火人』!!!」


そのまま『あの男』はまず、アル=ダジャール三十三世の方に飛びかかる。


「重力問題はどうした?」


増やしたはず、鬼堂辻はその疑問を言う。


「それはもう慣れたさ」


「は?」


鬼堂辻がそういうのも無理もない、生物には環境適応というダーウィニズムの言葉があるのだが、『あの男』は既にその体内の重力を増やされた環境に慣れたというのだ。


「次はお前、まずはあの『天災の魔神』だ」




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