act5池袋の屍乱れ!死神二重奏!!
『死神怪盗』ソウル・バッカーは池袋60階通りの雑踏に変装して紛れていた、しかし、そこは歪な爆音が支配していた、音は位相がおかしいとかなり違和感のある音になるあまり大きな音で大きな位相のズレを聴くと人によっては吐き気なども催す場合もありえる。
ストリートミュージシャンとしてその音を鳴らしていたのはスカルヘッドのシルバーアクセサリー、バックル、ネックレス、指輪をして、スカルヘッドのシャツをしているギターを持ったラテン系の男であった。
「おや、この自分の
「それは脱退した、今は『死神怪盗』だ」
「であるか、鈍器型デスサイスも持っていないようだが何故、お前が『あの男』の魂を持っている、普通の死神に鞍替えしたか?」
魂が壊れる音階は誰よりも狂っていてそして異端なる音楽家だからこそ聞く事ができる。
それを彼は愛し、それを自分のギターに合わせながら、弾きかたりのように話を続ける。
「いや、『死神怪盗』と言ったな、裏の世界では有名だ、なんで魂なぞ欲しがるのだ?」
「ブラックダイヤモンドのように漆黒の塊、魔霊の魂、それを綺麗と思うのは当然だ」
「そうか、なら、それはカッティング前から悪質で粗悪品だなら捨てた方がいいぞ?『あの男』には悪の美学などない、手を汚さないのが黒幕の道理だとしても『あの男』のはそういう潔癖症の類いではなく『特別』な悪行を求めるサイコパス気取りだ、おぞましくはあれ、恐ろしくはないよ、それを弁えろよ」
「そうか?私の審美眼には叶ったがな」
「それなら眼科にいけよ、腐ってるぞ?」
「腐乱が豊穣なほど鈍く輝くことが出来るようになる、固形物を愛するか、非物質的なモノを愛するか、芸術家としての差異だな」
「どうだかな、貴様のはスカトロマニアと変わらんよ、『あの男』は社会の汚物そのものだよ、自分のまだグロテスク趣味で留まっている、貴様のは本当に芸術性を疑うよ」
「…そんなに酷評しなくても良いのでは?」
「ベッドの上ですら
そして、彼はそれを思い返し、不愉快になったので演奏をやめた、しかし話はやめない。
「『あの男』を美化するヤツが多いな、ロキキャラはなんでもありとかフリーダムとか言われるが『あの男』の道化師的な側面は悪質極まるだけ、混沌を撒き散らし、そして自分がしたいことはなにもせず、誰かが何かしたかった明日を奪い去る、滑稽極まる存在だ」
「
「悪の極点ね、どちらかといえば『あの男』のは飽和点だろう、成長の限界、やたらレベル低いうちは活躍するがレベルが高くなるにつれて周りのパーティーの方が強くなって使われなくなるような序盤に心強い雑魚だよ」
「雑魚?『あの男』が?」
「幽遊白書は仙水忍よりも戸愚呂弟が好きなヤツが多いだろう?悪役は葛藤してはならない、それはヒーローの特権だ、躊躇いを忘れ、躊躇いを忘れた事すら忘れ、やがて自分の目的に矛盾が浮かび上がり、それでも躊躇わず続け、そのまま破綻する滅びの美学、だがしかし、『あの男』は葛藤もあったし躊躇いもあったし、目的に矛盾がないように整合性を常に求めていた、だらしないと思うよ」
「真の悪にこそ慎重さは必要だろ」
その『死神怪盗』の言葉にーーー
「そうとは思わんな、それは気に入らんな」
ラテン系のギタリストは苛立ちを隠せず、そのままギターを再度、鳴らし始め、攻撃を開始する、爆音を攻撃性を高め、音による衝撃波で波状攻撃をする、
魂が砕け壊れ、死体畑になった池袋60階通りに暴風のような勢いが周囲を蹂躙した。
「ウオッハ!」
『死神怪盗』ソウル・バッカーはそのままサンシャイン60階通りにあったビルの壁に浮かびながら当たり、そこを陥没させていく。
「あぁ、なんで『あの男』をカリスマ性があると求めたがる、目立ちたがり屋なだけの馬鹿、それでいて、周囲は彼を理解せず、彼に理想像と偶像を押しつける、下らないな、魂という剥き出しという部分を渇望しているくせに魂に付着物を勝手に塗りつけたがる!」
音量が上がり、衝撃波の威力も増していく。
池袋60階通りはいまや半壊しようとしていた、しかし、彼はやめない、騒音で暗殺という矛盾した殺人術を持っている彼にはそんな単なる物質が壊れ落ちるのはどうでもよい。
「その浅はかな理解、苛立つな、誰よりも『あの男』を一番理解しているのはこのブラウド・ゼロードだけだと言うのにな!」
「おいおい、ゲイだったのか、残念!この自分はバイセクシャルなんだぜ?」
『死神怪盗』ソウル・バッカーは気力で衝撃波を受け止めて、壁の陥没から無理矢理剥離して、そのまま走り始めて、魂を砕け壊された死体全てに偽りの魂を植え付けていく。
そして死体畑がなんとゾンビ果樹園と化してしまう、ここに、イケブクロ・オブ・ザ・デッドが始まりを告げてしまったのである。
「さぁ!お前の魂も盗ませてもらおう!」
新たな変装を『死神怪盗』ソウル・バッカーはする、黒い漢服にカンフーシューズ、即ち、中国拳法をしたいがゆえの服装、『死神怪盗』ソウル・バッカーは臨戦態勢になる。
「………言っておくが自分の魂もまた虫けら以下だ、貴様にやっても笑えるほどにな」
そして、彼は衝撃波を耐えられるとしったがゆえに、演奏をやめ、ギターを振り下ろす構えをした、すわ、島津の示現流を起草する。
「ウオオオオ!」
『死神怪盗』ソウル・バッカーの掌低。
「チェストォオオオ!」
振り下ろされるギター。
それらはぶつかり合い、ギターが壊れた。
「掌低は内側に衝撃を伝える方法か、さてはお前、喰らった者の能力を得ることが出来る幽遊白書の巻原定男みたいな能力持っているな、魂を弄び、自分と相手の魂を重ね合わせられる、それが愛ならば良かったな、もちろんそれは愛ではないし、自分は武器を壊されたがまだ敗北は認めていない、
「ガボバ、ガハーッ!ガババ!ババッガ!」
両眼、鼻、口、両耳、六つの穴から吐血。
「僕は毒使い、しかも広範囲に毒ガスを噴出できる、それが僕の
「「「「グヲヲヲヲ!グワワワワ!」」」」
辺りいっぺんのゾンビ達も苦しんでいる。
「毒の種明かしは貴様にはしないよ、伏線は大切だからな、縁があったら教えてやるよ」
そのまま壊れたギターを置いてあったギターケースにしまい、それを片手で持ち、去っていくブラウド・ゼロードは無口であった。
「………………」
「オボァァア!!ヒギェギゲェェエエ!!」
『死神怪盗』ソウル・バッカーは苦しみもがく、彼は臨死の中へと突入して、昏睡した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます