act3二つの危険因子、注がれる悪意
鬼堂辻はメールアドレスに試しに送った後、それが活用できると知ったが彼女への疑心暗鬼は収まらず二名専用のチャットルームを運営している情報屋に情報をもらいに行った。
ーチャットルームには一人しかいませんー
ーチャットルームには一人しかいませんー
鬼堂辻が入室しました。
ニャーガス「久しぶりだニャ!」
鬼堂辻「久しぶりだな」
ニャーガス「ニャンのようかニャ?」
鬼堂辻「ハッカーの情報屋に頼むことは一つだけだ」
ーファイルが添付されましたー
ニャーガス「このアドレスを調べろとニャ?」
鬼堂辻「そうだ」
ニャーガス「このアドレス使えるのかニャ?」
鬼堂辻「試しに送ったら届いたよ」
ニャーガス「『試しに送りました、貴女のことは信頼しています』うーん、スパイかニャ?」
鬼堂辻「公安だよ」
ニャーガス「なるほどニャー、それは調べておくとして『あの男』の個人情報をまたもや赤裸々に語りたいけどお金よこせだニャ!」
鬼堂辻「分かったよ」
ーニャーガスにお金が振り込まれましたー
ニャーガス「ありがとニャーン♥️」
ニャーガス「では話すニャ、『あの男』の母親は学歴が低かったから子供には高学歴にしたいと迫り過剰に勉強を強いる毒親だったニャ、『あの男』は天才過ぎて勉強するのが億劫だったが母親は質より量理論で問題集を山積みにしていたらしいニャ、つまり無駄な時間って事ニャ、鳶が鷹を生んだってヤツでニャ」
鬼堂辻「それで?」
ニャーガス「だから問題集を機械的に解いていく中で何かを考えるというリソースは別の方に向いたんだニャ」
鬼堂辻「それは何だ?」
ニャーガス「
鬼堂辻「勉強強いられ過ぎて普通の友達と遊ぶ時間はなかったんだな」
ニャーガス「そうなるかニャ~」
鬼堂辻「それがどうした?」
ニャーガス「パソコンは買い与えていたらしいニャ、アメリカの
鬼堂辻「チンピラ殺人鬼の
ニャーガス「その通りだニャーン」
鬼堂辻「……どうやって知ったんだ?」
ニャーガス「催眠療法の時に知ったらしいニャ、催眠療法は人工的な自白剤らしいニャ」
鬼堂辻「催眠療法ねぇ」
ニャーガス「で、『あの男』はそんな物騒なヤツのアナグラムで物騒な感じの女友達にこんな事を話してたんだ、自由になりたいな、自由になりたいな、とか三文オペラの話とかオペラ座の怪人の話とかセラブルの話とか」
鬼堂辻「自由になりたい、それはきっとヤンキーになりたいとかそんな感じなのだろうな、オペラの話は分からんが小学生でイマジナリーフレンドとしてもセラブルで盛り上がるなんて健全な人間に育てられるのか?」
ニャーガス「無理だから催眠療法されたんニャけど、ヤンキーに憧れた、しかし、そもそも悪とは何か?から頭の良い『あの男』はそこから考えてしまってしまったんだニャ」
鬼堂辻「哲学にのめり込むってわけね」
ニャーガス「脳科学とか心理学に興味を持ったニャ、量子物理学をやりたかったから脳のマクロスケールでの振舞い、または意識の問題に系の持つ量子力学的な性質が深く関わっているとする考え方の総称、量子脳理論の方面からアプローチをしていったらしいニャ」
鬼堂辻「量子脳理論ねぇ………」
ニャーガス「そこにマルチバース理論を組み込んでシュレディンガーの箱のように人間は善と悪が兼ね備えられていて『犯行』をしたという時、箱が開けられた状態になり人間は悪と断じられるのであると結論づけたニャ」
鬼堂辻「そして『救済』をしたら善だと?」
ニャーガス「そうだニャ、平行世界は同じ人間ごとに二つあるとも言いたいようだニャ」
鬼堂辻「なら中庸は?『犯行』も『救済』をしていない状態のことは?」
ニャーガス「それは箱が開けられていない状態、中庸というより凡庸と言うべきだニャ」
鬼堂辻「なるほどな」
ニャーガス「問題はここからだニャ、自分が凡庸だと分かっているならば『犯行』をするだけで悪になる、ヤンキーなら暴力だニャ」
鬼堂辻「………なんかやったのか?」
ニャーガス「僕みたいな語尾にニャをつけてるほどの猫愛好家には吐き気のするような行為である猫の虐待だったり猫を殺す事ニャ」
鬼堂辻「あぁ、それはテンプレだな」
ニャーガス「呪われて死ねばいいニャ!」
鬼堂辻「?もう死んだんじゃないのか?」
ニャーガス「生きてるニャよ!?」
鬼堂辻「猫さん達、もっと頑張れ」
鬼堂辻「お前の呪詛ももっと大きくしろよ」
ニャーガス「その通りだニャ!」
鬼堂辻「それプラス、秘密の共有をイマジナリーフレンドとやっていたのか?」
ニャーガス「ご名答だニャ……、ロゼリカと仲良く共同作業ってヤツだニャ、現実と虚構の区別は曖昧になりつつあったニャ………」
鬼堂辻「それで?」
ニャーガス「猫の変死体は多かったから通報とか町内で噂になったり警察が犯人を捜索したら『あの男』にたどり着いてしまったニャ」
鬼堂辻「それで催眠療法と」
ニャーガス「当然そんな狂ったイマジナリーフレンドは危険だから消す方向になるニャ」
鬼堂辻「それをやって彼女を殺したと絶望と憎悪を放つようになっていくんだな」
ニャーガス「狂った初恋は狂った考え方を生んでしまったニャ、ついでに猫をそんな事をしてたとクラスメイトにバレて虐められるようになったニャ、猫派の多い女達、中心にね、そうなれば狂いは歪みを生んでいくニャ」
鬼堂辻「そして女性恐怖症に?」
ニャーガス「ついでに
鬼堂辻「そうか、なるほどありがとう、話はこれで終わりか?」
ニャーガス「そうニャ、これで終わりだニャ、『あの男』の幼少気の話だったニャ」
鬼堂辻「じゃ、アドレス調べておいてくれ」
ニャーガス「あぁ、もう終わったニャ、公安なのは本物だけど二重国籍らしいニャよ」
鬼堂辻「二重国籍?」
ニャーガス「日本とアメリカだニャ」
鬼堂辻「FBIかCIAも混ざりそうだな」
ニャーガス「FBIと公安の二重スパイだニャ」
鬼堂辻「分かった、
ー画像が添付されましたー
鬼堂辻「この黒い石ころは?」
ニャーガス「それが
鬼堂辻「お前がただで教えるとはな」
ニャーガス「もう広まりすぎてただ同然の情報の価値だニャ、お前が知らない方がおかしいんだニャ、それでよく『あの男』を追っているとか言い切ることが出来るのかニャ?」
鬼堂辻「………いや、むしろ意図的に情報を避けられさせていたのかもしれないな……」
ニャーガス「そっちの事情は知らないニャ」
鬼堂辻「認識阻害系の能力者か?いや記憶操作系による記憶喪失をされたのか?」
ニャーガス「だから、そっちの事情は知らないし心理学の記憶の分野は管轄外だニャ」
鬼堂辻「そうだな、すまんな」
鬼堂辻「また来るよ」
ニャーガス「乙ですニャ」
ー鬼堂辻が退室しましたー
ーチャットルームには一人しかいませんー
ニャーガス「感情バイアスだろうニャー」
ーチャットルームには一人しかいませんー
ーチャットルームには一人しかいませんー
ーチャットルームの履歴が消されましたー
ーチャットルームには一人しかいませんー
ーチャットルームには一人しかいませんー
ーチャットルームには一人しかいませんー
◆
「相席よろしいですかぁ?」
語尾が腹立つ、技名に蛇か牙をいれないと気がすまない格ゲーの中二病キャラを思い出す、しかし、鬼堂辻はそれを度外視して。
「どうぞ」
と相席を許可した。
鬼堂辻がスターバックスでパソコンを開きながらコーヒーを飲んでいると目の前にマフィアが被るようなシルクハットに白のスーツ、それに黒手袋をしている男が座った。
「私の名前は朧と申します、初めまして『殲滅探偵』鬼堂辻さん」
「初めまして、俺になんか用か?」
「
「どんな協力だ?」
「『魔人』は『魔神』が自由に作れるんですよ、脳内に
「……どうやって送り込むんだ?」
「『魔神』が自分の邪気を送り込むこと」
グワシッ!
朧が立って、鬼堂辻の頭を鷲掴みにする。
「こ の よ う に ね 」
「グワァァァアアアアアアアアアアア」
脳内が悪意で悪意で悪意で悪意で悪意で悪意で害意で害意で害意で害意で害意で害意で殺意で殺意で殺意で殺意で殺意で満たされる。
「魔人にしてあげますよ、魔人を倒すには魔人を倒すしかない、その前提を貴方は逸脱していますがこの奇縁を大切にしましょうや」
「てめぇ!」
ボギリ
手を払いのけようとしたら腕を折ってしまった。
「おや、もう覚醒ですか」
「ん?」
「どうやら重力操作のようですねぇ、重力波を手のひらから放ち、自分を攻撃した、もし自分じゃなかったら衝撃波が広がってましたよ、いやいやまさに奇縁ならではの事です」
「そうか」
朧の体が宙に浮いた。
そのままスターバックスのガラスを突き破り、店外へと彼を飛ばした。
どうやら無重力にしたらしい。
鬼堂辻も自分も無重力になり空中浮遊にし、朧を追って、そしてアッパーカットで更に空へ殴り飛ばした。
「アハハ!ドラゴンボールですかねぇ」
「『重力因子』の増減がポイントなんだな、つまり、かめはめ波のようにこうしてこう」
華のようにして突き出された両手から、重力波がエネルギー弾になって飛んでいった。
「これは少々キツいですね、
何かが朧の前に構築される。
しかしそれを突き破った。
「ありゃりゃ」
そのまま朧に長い重力波がエネルギー弾が当たってしまう。
「あれが彼の
『ぱ』と言ったのは彼が全方位から重力を強められて、空間に押し潰されたからである。
「本当に死ぬかと思いましたよ鬼堂辻さん」
しかし『魔神』の持つ『零次元』の能力で即座に零から自己再生を果たしてしまった。
鬼堂辻はと言えば重力因子の増減を自分の肉体と回りの空間の比率を同時にあげていたので彼は重力の影響を強く受けていた、水圧で押し潰されるということがあるがあれも深海で重力が大きくなる所にあるからである。
なので鬼堂辻は肉体破裂寸前であった。
「自分そのものは無重力で固定して他の重力因子を増減すれば自分には影響ないのかな」
そのようにやったら実際良かった。
「やはりか、ならば」
右腕を天に向けた。
重力因子を集める、それと玉の形にして。
「『崩魔天轟玉』!!!」
それを朧に放った。
朧にはそれを手で受け止めた。
そしてそれを霧散させてしまった。
それも『零次元』なのであろう。
しかし鬼堂辻は『零次元』をまだ知らない、なので何が起こったか分からなかった。
「何をした?」
「重力波の塊を消したまでですよ」
「『魔人』と『魔神』の差か……」
「格の違いを実感なされましたかぁ?」
煽るように見下すように朧は言った。
鬼堂辻は空中から地面に降りていく、朧と同じことにして鬼堂辻が着地した後、遅れて着地した。
ビルを壊した更地の部分であった。
「お前、俺を魔人にしてどうする気だ?」
「何も求めていませんよ、『あの男』を殺すまでは成長しろ、とはいきませんし、今まで貴方の戦ってきた魔人は単にマイナスをプラスに反転しただけに過ぎない悪意を活性化させたに過ぎない養殖物ですからね、やっぱり、魔人は魔人でなければ戦えませんよ」
「そうかい」
「ではまた、『魔神』の駒である『魔人』としての働き、期待してますよ」
朧はその場から消えた、空間転移のようだった。
鬼堂辻はため息をついて一言言った。
「『魔人』としての働きを求められてるな」
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