act2殺人鬼捕獲!拷問と傲慢!


パシュッパシュッ


「え?」


セーラー服のギャルに武器を媒介にして憑依した『あの男』はそれのデメリットを一つ忘れていた、それは一般人は毒への耐性を持っていないと言うこと、暗殺一家の家庭の事情でない限りそれは遥か遠いファンタシーだ。


麻酔銃、的確に未成年の女を即座に眠らせる量、麻酔もあまり多すぎると死ぬのだ。


「目標沈黙」


モシンナガンのスナイパーライフル式麻酔銃を使ったスナイパーがそう通信相手に告げる。


「はい、どうも、ご苦労様ですぅ、やはりSATは優秀ですねぇ」


通信相手、マフィアが被るようなシルクハットに白のスーツ、それに黒手袋をしている。


「えぇ、依頼された場所に連れてきて下さいよ、はぁ、警察に突き出す?我々は国家権力より立場は上なのでそれはやめて下さいな」


それで通信は無理矢理終わった。


「んーん、さて何を聞こう?」



剥き出しの廃墟が目の前にあった。


自分は拘束椅子に座らされていた、拘束手段は革のバンドではなく透明な糸であった。


「なにこれ?」


「お目覚めですか、えっとどちら様で?」


柊夕美ひいらぎゆみです」


「あー、元々の人格ですか」


目の前の男はかなり見覚えがある、ゴッドファーザーとかイタリアマフィアのイメージそっくりで更にインテリヤクザの面影がある。


「どうしましょうか、えーとその鋏」


彼が指を指した先には今は手を何かでグルグル巻きされていてジャキンジャキン出来ない部分に持たれた鋏。


「それ拾ったらどうなりました?」


設問された。


「恋人を殺してしまった後、出てきた後、暴力的な天使に裁かれました………」


「あれは悪魔の類いなのですがね、まぁ良いです、最初から最後まで自分の意思でしたか?途中で意識が途切れたりしてません?」


「何度か殴られた後に意識が途切れました」


「じゃあ、あの男を殺したのは別の人格、自分の恋人を殺したのは自分だと?」


「何かに囁かれました、殺そ?殺そ?って、なんか外国人の訛りがあった感じです」


「………それは女?男?」


「………女です」


「そうか」



「最低な男ね」


スターバックスで白人の女と日本人の男が口論をしていた、日本人の男はどこふく風でコーヒーを飲む男。


「ねぇ聞いてる?」


「歴史上には美形の方が残りやすい、ジャック・ザ・リッパーだって美形化されてるだろ、娼婦を殺したのはクリスチャンの潔癖と女性嫌悪ミソジニーが混ざってる、ここから導かれる答えはジャック・ザ・リッパーは醜男ぶおとこの可能性があるってことさ」


「それが何が関係あるの?」


「そうか、女で例えるべきだったか、ジャンヌダルクも男装の令嬢だが綺麗だったからジルドレの凶行に繋がった、ナイチンゲールが白衣の天使と呼ばれるからには天使のような風貌だっただろう、ヘレン・アダムス・ケラーもブスだったら見捨てられてたと思うな」


「………そう、つまり私は歴史に顔を残すべきではないブスって言ってるわけ?」


「僕のようなナイスガイなら完璧だろうな」


「ナルシズムじゃないわね、あなたはジャック・ザ・リッパーの気持ちが分かると仮定上でも答えてるって事はジャック・ザ・リッパーに自己投影してるんじゃないかしら?」


「答えはYESだ」


「私はブスよ、貴方もそう思うかしら?」


「だろうな」


「ちっ」


彼女は舌打ちして、自分のコーヒーを浴びせた。ホットなのアツアツをぶっかけた。


「今は整形技術もあるからそこら辺の心配はしなくていいわ」


「そうかい」


「というか君の求める女性の美しさが高すぎるから駄目なのよ、私も一般的には綺麗よ」


アメリカの中学校ジュニア・ハイスクールの頃、顔のそばかすが汚いから皆から小便を浴びせられてイエロー・シャワー・ショーと虐められた君が?」


「な、なんでそのことを!」


虐めは特徴的た部分を指摘された後、その部分への罵りから加速する事がある、そばかすでさえ似合う、似合わないはスクールカーストに直結するのである。最もそばかすを媒介して虐めたいのもある、今はそれに加えて。


「君、整形途中なんだろ?本当の事をさらっと吐露するなよ、笑えてきてしょうがない」


整形中だと言うのもバレていた。


「~~~!!!」


それを聞いて顔を真っ赤にする白人の女。


「だ、誰から聞いたの?」


「普通にすればバレるからって裏社会の闇医者に頼んじゃダメだよ、あいつら、最終的には自分の命より大切なモノはないとか言うからねー☆」


「………あの人を凶器で脅したってことね」


「ねぇ整形だとバラされたくないでしょ?」


「バラしたら私もバラすからね」


「誰が信じるの?」


「卒業論文手伝ってくれた人がいるの、セックスフレンドよ、貴方のパンチカットみたいな包茎チェリーボーイ・ぺニスじゃなくて葉巻のように太くて香ばしいモノを持っていてね、私は体を引き換えに教えて貰ったのよ」


「とんだ、尻軽女だ、なんでパンチカットみたいな包茎チェリーボーイ・ぺニスだって知っているかはどうしてかは知らないけどね」


「教えてほしいの?セックスフレンドが横からトイレでチラリと見たらそうだって言ってたからね~、どう?センズリだけしてあげる?それとも寝とられマゾになりたい?」


「どっちもお断りだね」


「そう、私はね、正直に謝ってくれるなら彼から貴方に情けを貰ってもいいの、私は彼の助言があったとと言うつもりだった、貴方、彼にも恥をかかせるつもりなのかしら?日本ならコーガンムチって事ね、厚顔無恥こうがんむちの厚顔、睾丸ナッツと同音異義があるから睾丸鞭こうがんむちって当て字した方がいいよね、そう思わない?」


「どうかな」


「そう思えよ、てめぇに選択肢なんてねぇんだよ、ジャップ・イエローモンキー野郎」


それを言った彼女の視界の半分が赤く染まる、すわ何事かと思い、顔に手を当てる。


生暖かく、ぬるぬるし、その付着物を見てしまうと一目みて分かる、血だ。


「オアアアアアアアアアアアアア!!」


白人の女が絶望と憤怒で絶叫した。


「どうした?間抜けな声だして」


「私の顔によくも傷を!クソヤロウ!」


「おいお前なにやってんだ!!」


近くにいた黒人の男が立ち上がり日本人の胸ぐらを掴んだ。


「鎌鼬、鎌風ともいう。道などを歩いているとき,突然鎌で切られたような傷を受ける日本の怪異現象の一つ、それを再現したんだ」


「あぁ、『零次元』の力なのね………」


手の付着物も切られたと分かった時からあった痛みも傷も消えていった。


「なら、私には効かないわよ」


「お、脅かせやがって」


黒人がほっと一息ついた。


「視線をちらちら向けてたと思ったらコイツがセックスフレンドのニグロなのカーン?」


「てめぇ!いや!俺がボーイフレンドだ!」


怒声と同時に彼女の言葉を利己的に訂正した黒人の男が日本人の男性に襲いかかる。


ガンガ!!


黒人の男が何か重い音に殴られて死んだ。


黒人の横に立っていたのはスカルヘッドのシルバーアクセサリー、バックル、ネックレス、指輪をして、スカルヘッドのシャツをしているギターを持ったラテン系の男だった。


そのギターの上部分を握り、下部分で殴りつけたのだろう、


「………」


彼は無言である。


「ニンジャ!?」


そのような突然現れようだった。


「…私は死神だ、今までやっていたのは雑踏に逆位相の音を弾いて自分の気配を消していた、つまり、透明人間になれるのさ……」


その男がまた、目の前から消えた。


知られざる殺し屋アンノウン・キラー死の季節ミキストリ君だ」


「貴方、殺し屋を雇っていたのね……」


「西海岸は物騒だな、色恋沙汰にこんなにも簡単に殺し屋が派遣される、メキシコとの国境に近いアリゾナ州なら当然のことだな」


「でも『零次元』の力を使えば死者蘇生も可能だわ!!!あれ?なんで?なんでなの?」


彼の頭に直接触れて『零次元』の力で死者蘇生させようとする。


「あのギター、鈍器式デスサイスだよ」


「ど、鈍器式デスサイス?」


それは文字通り鈍器式デスサイス、殺されれば魂は砕け散ってしまうとされている、『完璧な成人男性の最盛期の肉体を備えていた』と言われたエジプトを侮蔑するようにファラオの衣装を身に纏うNyarlatophisニャルラトフィスはピラミッドの材料である日干し煉瓦を量産型鈍器式デスサイスに変えて古代エジプトを滅ぼしたとされている、やがて、西洋ではフレイル、メイス、ハンマー、東洋では硬鞭、狼牙棒、槌が鈍器式デスサイスになる、実は石ころに鈍器式デスサイスになり得て、戦国時代は死神が沢山いたり南蛮から死神がやって来たりしていたのである、これらを使う死神は『悪質死神ジェノサイダー』と呼ばれ、冥界勢力の中では外道と扱われるのである。


「つまり、もう生き返らないということ?」


「…Exactlyその通り


ラテン系の男がまた現れて、彼女に告げた。


「…アステカ神話の神々は宇宙からやって来た宇宙神なんだがミクラトンテクートリ率いる『悪質死神ジェノサイダー』は単なる人の形をした悪魔さ、一方的な殺戮、量産型殺人鬼ブラッド・シザーズなんだ」


「許さない!!!この悪魔」


ラテン系の男に罵声を浴びせる白人の女。


「僕はね、君の要件を全て飲んでも構わないけど間男を挟まずストレートにやろうね?」


「あーはん、それならそうしてあげるわ!」


「………悪趣味な事をする」


ラテン系の男はギュイイイインとギターを鳴らして自分の気分の調律をした。



「これはどの女?」


「どの女の記憶ですか?」


「論文を盗まれて『零次元』の力が使えて黒人のセックスフレンドがいる元ソバカスの整形をしていて『あの男』に言い寄ってたわ」


「そうですか」


全身がブチブチ言い始める。


「なるほど、貴女の残留思念もそこにありましたか、やはり、と言うべきでしょうか」


透明な糸が全身を強く締め上げる。


「これは当て付けなんですよ、すいませんねぇ、よりにもよって私の理論がシンクロニシティのように知っている三人もいるとは思いもよらずなんですよねぇ、ちっ、これだから百匹目の猿は証明されたら困るんだよなぁ」


「貴方、何を言って?」


「私こそ『零次元』を見つけた新たなる原初神にならざるを得ない存在という事ですよ」


それに余裕の態度を見せる柊夕美。


「そうですか、ならやめてくださる?もう三人じゃなくて、


それにインテリヤクザのような姿をしながら天才としての傲慢さを見せつける男。


「そう仰られても、この透明な糸は一次元の線を物質化したのしてで『零次元』の力は無効化されてしまいます、『上次元有利性』ってヤツです、次元が一つ上だと次元が一つ下のは無効化される、三次元も四次元に無効化されて、以後、これが同じように続きます」


「『上次元有利性』???」


「『零次元』だけ把握って遅れてますねぇ、具体的に私より七ヶ月遅れていますねぇ」


全身がハムのようになっていくのを感じる。


「お願いです、その残留思念で記憶回想した日本人の『あの男』か白人の『あの女』、どっちかの人格を表に出して下さいよぉ」


「お望みなら……」


空間転移、それに近い背後のとられ方。


「しちゃったわよ♥️」


「『あの女』の方かな?」


手を後ろを振り回し『一次元糸』を後ろに張り巡らせようとする。


「『上次元有利性』知ってるわよ………」


『一次元糸』を張り巡らせようとした男は全身が細切れにされるのを感じた。


しかし、すぐに『零次元』の力で再生する。


「『三次元多角同時斬撃』ですか………これは一本とられた、という形になりますかな」


「えぇ、斬撃を刃の土砂降りを浴びたようなモノよね、でもあまり形成時間長持ちしないのが玉に傷なのよね」


「そうですか、それはそれは、良い事です、『次元掌握者』同士の戦闘は得てしてこうなる、しかし、私は貴女と話し合いたい、『あの男』に復讐したいなら私も協力しますよ、『あの男』は私も憎しみを持ってますからね」


「ならなんで貴方は『次世界推進委員会』の副会長かしら?寝首をかこうとしてるの?」


「そりゃあもちろんですとも、いつだって寝首をかこうとしていますから」


「なら、貴方は『あの男』から裏切られると信頼されてるってことね、使えないわね」


「そう評価されるとは心外ですなぁ」


「彼が一番堪えるのは予想外の離反とか背反よ、想定内の裏切りなんて屁でもないわよ」


「想定内の裏切りでも許容範囲があると思いますけどね、メンヘラクソビッチの貴女の尻軽っぷりは許容範囲を越えた想定内の裏切り者反ではないんですか?」


「それは分からないし、そうであって欲しいわ、だって『あの男』は絶倫野郎だから」


「サイコパスは飽き性で性的奔放とされてます、きっとそれだけの話だったのでしょう」


「えぇ、『あの男』はサイコパスだったわ」

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