幸せ

 生まれ初めての告白、生まれて初めて人から好かれたこと。

 本当に素晴らしいものだった。


「はーい!じゃあ授業終わり」

 先生は手を叩き授業を終えた。

 まぁ、授業というより話し合い的な感じだったけど。


「ねぇ、原田くん『一緒にかーえーろっ』」

 山村は肩に手を置いてきた。


「うん!わかった」

 俺は微笑んで応えた。


「ありがと!」

 山村はとても嬉しそうな表情を見せた。


 日の光を浴びた廊下を、手を繋いだ二人は歩く。


「うれしぃ、へへ」

 山村は相変わらず溶けている。その表情が可愛くて、俺は目を反らしてしまう。


「おお、俺もだよ」

 母ちゃん以外の異性と手を繋いだなんて、生まれて初めてだ。


「うへへへ」

 彼女の純粋な笑みは俺の心を射ぬいた。


「可愛い…」

 思わず呟いてして待った。やばい引かれる…。


「え?…かわいい?ねぇもう一回言って!」

 山村は目をキラキラさせながらお願いしてくる。


「え、い、嫌だよ」

 恥ずかしいので断った。


「えーいいじゃんケチ~お仕置きだ~」

 そう言うと山村は俺の脇腹をくすぐって来た。


「お、おい、やめろってくすぐったいだろ?」

 なにこれリア充じゃん。


「じゃあもう一回言え~!」


「す、好きだよ」

 思わず本音を言ってしまった。流石に引かれるだろ…。


「え…、待って好き?」

 山村は手で頬を抑えて今にも溶けそうだ。


「え、あ、うん」

 もう否定はできない、自分の気持ちに正直になるんだ。


「ふへへへ、原田くんが私のこと好き…うへへ」

 山村はもう壊れてしまった。


「うへ、帰ろっか、へへ」

 山村はまだとろけている。


(このまま時間が止まればいいのに)

(このまま時間がとまったらなぁ)

そんなことを思っていた


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