上げて下げるとはこの事か

朝起きて、顔を洗い、歯磨きをする。

さぁ、鞄を背負って今日も一日がんばるゾイ。

「いってきまーす。」

元気よく玄関の扉を開けた。

春の暖かさを感じながら、見慣れた町並みを眺めて行く。

十分ぐらい歩くと、ようやく学校が見えてきた。

「やっとついた…」

まだ、慣れない教室へ向かう。

教室に入ると友人と会話をすることなく、真っ先に自席に座る。

「やっほー君、独りで楽しい?」

後ろから話しかけてきたのは山村だった

「はぁ…別に?さんこそ俺に絡んできて楽しい?」

「え?あ、うん!楽しいよー、君の反応面白いんだもん」

天真爛漫な笑顔を見せられ少し赤面する。

照れたと勘違いされたくなくて、慌てて目をそらす。

「あー!照れてる可愛い~」

彼女はそう言って俺をおちょくってくる。

「照れてねーし」

慌てて否定する。

「あのさ、」

彼女は手をモジモジさせながら言う。

「な、なに?」

少し期待している自分が居た。

「私の名前“山村”だからね?」

人差し指を此方こっちに向けて言う。

そして、「んー」と口を膨らませながら近づいてくる。

顔が近い、彼女ら鼻息が当たってる気がする、いい匂いまでしてきた。

(よく見ると可愛い顔だなぁ)

怒られながらもそんな事思ってしまった。

「ねぇ?聞いてるの?」

彼女の問いかけで正気に戻る。

「え?、ああ、ごめん…」

手を合わせて身を低くして謝る。

「いいよー、もう間違えないでね」

俺はこの時、彼女の顔と名前それから性格まではっきりと覚えた。

チャイムがなり朝の会の始まりを告げた。














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