隠キャの俺に陽キャが話しかけてくるだが?

葉月琴葉

ヨウキャはスゴい

 春の日差しを浴びながら、これから始まろうとしている新学期に心を弾ませ、校門をくぐる。

「新学期か」

 少し期待しながら掲示板に向かう

 クラス分けが書いてあるのだ。

 1組から順に見ていると自分の名前を発見した。

 俺は1組になった。

「うわー、マジか、」

「うよー、三組最高かよ」

「小林先生とかめっちゃ優しい先生じゃん、いいなぁ」

 などの声が周りから聞こえて来るが俺には関係ない。

 なぜかって?俺には友達がいないからだよ。


 周りの人達が会話をしている間に、教室に向かう。

 教室に入ると何人かの生徒は席に着いてた。

「えーと…俺の席は…」

どうやら出席番号の順番のようだ。

 自分の席を見つけて席に座る。

 窓際から二列目の良い席だ。

「おはよ…同じクラスだねー」

 左隣の人にいきなり話しかけられた。陽キャ凄い。

「お、おはよ…そうだね…」

 なにか、嫌な予感が脳裏を横切り、後ろを振り返るが、誰も居なくてよかった。

振り返りを誤魔化すため、周りを見渡すと見たことある顔がチラホラ居る。

 そして、最後の一人が入ってきてから数分経ったあとに先生らしき人が入ってきた。

「えー、皆さんの担任になった。川村です。ま、一年のとき一緒の人はわかるでしょ?」

 と軽く自己紹介をして、始業式の為、廊下に整列して、体育館に向かう。

「えー、皆さんはこれにて進級したわけです…」

 校長の長い話が始まった。

「二年生は後輩が入ってき、三年生は最高学年となります…」

 当たり前の事を言ってくる。

「そして、」

 まだあるのかよ!

 結局終わったのは、 二十五分後だった。

 そこから、俺はなんとか耐えたが、寝ている者もいた。

 始業式が終わった時には、皆疲れきっていた。


 教室に戻ると、クラスのほとんどは、グループを作っていた。

 それからすぐに先生が入ってきた。

「はーい!席について~!」

 先生が教卓に着き言う。

 全員が席に座ったとき、先生の口から衝撃の一言が…。

「じゃあ、自己紹介をします」

「えー嘘だろー」

「えー、皆私の名前知ってるよね?」

「腹減ったー」

 不満の声が飛び交う。

「そんなに嘆いても仕方ない、一番の相沢さんから」

 廊下側の一番前の席の相沢が綺麗に起立する。


「えー、相沢あいざわあみです、どうぞお見知りおきを」

 ペコッとお辞儀をして座る。


「どうもー、岩本いわもとですー、よろしくでーす」

 瞳の前でピースをして言う。


  そこからは緊張で記憶がないが、俺の番になっていた。


「えー、あ、どうも、原田はらだ、でふ、うゎ噛んだ…」


 最悪だ噛んでしまった。周りからは俺を嘲笑うかのような笑いがあがる。

そんな事も気にせず自己紹介は進む。

「はい、えー、ども春野はるのでーす。よろしく」

「こんにちはー、山村やまむらでーす。」

 朝絡んできた奴は山村と名乗った。

 順調に進み自己紹介は終わった。

「えーっと、明日の連絡をするから聞いて。明日は…」

「はい、じゃあ終わりにします」

「……」

 誰が挨拶するんだよ!

「きりーつ、れーい、さよーなら」

 誰かが怠そうに挨拶をする。

 たしかあいつは…誰だっけ?

「さよーなら」

 挨拶を終えると、教室を出始めている人もいる。

 俺も荷物を鞄にいれ足早にこの場から去ろうとした。

「一緒にかーえーろっ」

 そう言って肩を叩いて来たのは山村だった。

「…ふへ?」

 思わず変な声が漏れる。

「ごめんごめん、君の反応が面白かったもんだから、ね?」

首を傾げて胸の前で手を合わせて上目遣いで話す彼女。

「ね?って、俺は一人で帰ります」

 そういい放ち鞄を背負い教室をでる。

「なにあいつ…」

 教室からそんな声が聞こえたが構わずに帰る。

 家に帰り自室に行くと、その日の疲れがどっとでた。

 鞄を放り投げ、ベッドに飛び込む。

「なんなんだあいつ…」

 枕に顔を埋めて言った。

 そこからは、風呂に入り、夕飯を食べ、アニメを見る。

いつも道理の生活をしてその日は終わりを迎えた。 山村の事なんか忘れていた。

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