いつの日か、必ず!

『荒れ果てた池。その前で俺は立ち上がる。』


「言っておくが、僕は祈祷師でもなんでもない、ただの一般人だからな」

「そうですね。この池を護るのは、俺の仕事です」


 俺の言葉に、Dさんは笑った。今までだって何度も笑ってくれている。けど、今見せてくれた笑顔は、今までの笑顔とはまるで違う。今までの笑顔が作り笑いだったと否定するつもりはない。それはそれで必要な笑顔だったんだと思う。もし、不安に感じている人がいたら、まずはその不安を取り除いてあげることからはじめなければならない。それだけで人は、前へ進めるのだから。今までの笑顔にはそんな効果があったと、肯定するべきだ。そして、今。俺にも優姫にも不安な気持ちはない。Dさんの笑顔は、Dさん自身の不安が消えたことを示しているのだろう。


「水が湧いていたのはこの辺りかな?」

「はい。それと、あっちにも少し湧いていました」


 これまで1万年もこんこんと湧き出ていた水は、光龍様の死とともに止まった。水のない枯れたばかりの池を見ることは、光龍様の死そのものを感じさせる。


「単純に池に水を戻したって意味がない。水脈を辿るのは難しいよ」

「結局、感じるしかないんですよね」


 Dさんがまた笑った。難しくってもやらなければならないという覚悟が今の俺にはあるということを感じてくれたからだと思う。こうやって、人は、ちゃんと感じるものだ。その証拠に、今の俺には、あの金切声の空耳というのは聞こえない。光龍様の死を受け入れたからだ。自分で勝手に作り出した空耳などというものは、自分の殻に閉じこもっている証なんだ。俺はちゃんと光龍様の死に向き合っている。だったら、もう1つ、向き合わなければならないものがある。どんなに嫌いでも、どんなに憎くても、どんなに辛くても、例え実の親子でも、敵としてちゃんと向かい合わなければならない。俺は、もう1度立ち上がった。


「みんなが待ってます」

「うん。急ごう!」


「あーっ、あっそぼー」

「もちろんさ。飛び切りの遊び場を用意するよ」


「ずっと不安だったの……。」

「心配かけたね」


「わたくしは、信じておりましたわ」

「ありがとう! うれしいよ」


「あー、ずーるい、さっきは不安って言ってたよ」

「はは、分かってるよ。でももう大丈夫!」


「良かった。本当に、良かった」

「そうさ。これからさ!」


「随分と人を待たせてくれたわね」

「ははは、人をただ待つような玉じゃないだろう!」


「えぇ、ご安心ください。既に反撃の準備は整えてありますから」

「うん。思いっきり腕を振るってよ!」


 俺は宮司で高校生。発光体質というくだらない性質を持つ男。16人の巫女アイドルのマスター、鱒太一。いつかは絶対に、光龍様と水のない枯れたばかりの池に水とを復活させ、『はねっこ』を世界一のアイドルにして『まねっこ』と親父を討つ! その日まで、みなさん、応援よろしくお願いします!

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俺は宮司で高校生! 魚編に尊ぶと書いて鱒太一、マスターと呼ばれる男 世界三大〇〇 @yuutakunn0031

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