話をまとめるとこうなる!

 アイリスさんが思い出したもの。それは、15年前の記憶。アイリスさんは金魚だったらしい。擬人化したんだって。


「わたくしは、蘭鋳という金魚でした」

「蘭鋳! 金魚の王様じゃないか!」

「王様? そっ、そうなのですか? 池で普通に飼われてましたよ」


 アイリスさんが王様って言葉に反応したように思えた。けど、俺はやり過ごす。だって、まさかこんなところに世界1の大富豪、ジュスヴァッサー王国の第1王女がいるだなんて、思いもしないから。アイリスさんは日本語がとっても上手なんだもの。


「俺以外にも、金魚を擬人化させる人がいるのかな?」

「それは、よく分かりません。蘭鋳だったこと以外は思い出せません」


 仕方ないよね。でも、相当ショックだったみたい。そのとき、まりえが元気を取り戻す。


「何だー! まりえ達だけが、愛の力で擬人化したのかと思ってたのに」

「愛情は前提条件で、切っ掛けはやはり、不思議な光なのではないでしょうか」


 優姫が俺の考えてたことをそのまま言う。優姫は人間になってもとても優雅。そんな口調でさらに続ける。


「とってもふわふわーって、気持ちイイー! 感覚になりました」

「まりえも!」

「私もです」

「しいかも、気持ちイイー! ってなったよ」

「……。わっ、わたくしも、です……。」


 元金魚達は皆スッキリ顔。アイリスさんだけは、スッキリに照れが加わったような複雑そうな表情。話をまとめると、まず俺が興奮すると、不思議な光が放たれる。魚が不思議な光を浴びると、気持ちイイー! ってなる。そして、気持ちイイー! ってなった魚は擬人化したり、過去を思い出したりする。まだ断定はできないけど、大筋はこんなところだろう。

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