面接

 いよいよ面接が始まる。結果は『御神託』によって定まってるけど、真剣に話をしないと参加者に失礼だから、俺はなるべくフレンドリーに対応することを心がける。これが試練なら、努力しないと! 1番も7番も58番も何故か金魚達のことを話題にする。俺と話が合いそう。他に金魚に触れた応募者はいないのに気付いたのは後になってから。このときは、後4人を欠員にするか、『御神託』に関係なく選ぶかで迷っていた。光龍様に相談しても返事がない。



「まぁ、かわいらしい金魚さん達ですね!」

「1番の古株はまりえといって、もう15年も飼ってるんですよ」


 木札番号1番、アイリスさん。あろうことか金髪ロングストレートの爆乳娘。金髪も爆乳も、巫女には向いていない。ロングストレートが髪を染めているギャルとは違い、そこはかとない気高さが感じられる。



「4匹、仲が良いんですね!」

「蝶尾の優姫が群れを上手くまとめてるんですよ」


 7番、あゆみさん。ちゃんと日本人、だけど巨乳。アイリスさんほどではないんだけど、普通だったら不採用になるレベルの巨乳。俺的にも緊張しちゃうから遠ざけておきたいんだけど、御神託なら仕方がない。



「ゆったりと泳ぐ姿、ヤバイ!」

「混泳は気を使うんですよ!」


 58番、あおいさん。日本人にして貧乳、低身長。やっとど真ん中の巫女といった感じがする。一方で顔面偏差値は俺調べで100を超えている。つまりは、俺の好みってこと。かわいすぎて緊張しちゃうのはマズイ。どこかで見た気もするけど、こんなにかわいい知り合いはいるはずがない。面接はこれで最後。



 会場が静まり返る。光龍大社の巫女装束は、猪目というハートみたいなマークがデザインされている。それがかわいいと、知る人ぞ知る人気なんだ。これだけの人が応募してくれたのは、そういう訳がある。


「それでは、合格者を発表します。1番のアイリスさん!」

「はい、やったぁ!」


 アイリスさん、身体を大きく振って喜びを表現している。そんなに嬉しいのかなぁ。巫女装束が着たくて日本に留学したっていうから、そんなもんかな。ぷるんぷるんと胸を揺らさなければ良い子なんだけど……。あぁ、興奮しちゃう! 挨拶って国によってこんなにも違うものなんだって、思い知らされた。あんなことになるんだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る