はじめての御神託!

 調子に乗った俺は、光龍様におねだり。


「では、ご利益をお願いします!」


(それはまだなのじゃ。7人の巫女を揃えてからなのじゃ)


 7人の巫女? 小人じゃあるまいし。けど仕事熱心なら大歓迎。って言っても、俺にとっては酷な『御神託』だ。だって俺、女は無理! 光龍様は俺の体質のこと、ご存知なんだろうか。知ってて試練をお与えになるのだろうか……。おねだりを却下されて俺は急に不安になる。そんな俺を光龍様が慰めてくださる。


(そなたはもっと、自信を持たねばならぬのじゃ)


 言霊なんていうけど、初対面の神様に慰められて元気になるほど俺は単純じゃない。巫女の採用面接なんて、荷が重過ぎ。けどこの後30分もすれば、応募者が訪ねてくる。何とかしないと!


 光龍様が仰るには、採用者はくじ引きで決めるらしい。俺は説明会をして、適当に面接すれば良いらしい。けど、それが俺にとってはどんなに辛いことか……。60人余りの女子を前に説明会をする。面接で1人1人と言葉を交わす。そんなことをして俺の身体がもつはずがない。だって、俺、発光体質なんだ。女子に囲まれて緊張したり興奮したりすると、つい光っちゃうんだよね、俺の身体。お蔭で気持ち悪がられて、友達さえできない。あぁ、憂鬱だ……。


 説明会を目前にして、俺の脳裏に金切声が響く。相変わらずお姿は見えないけど。


(1・7・34・35・36・37・58が採用なのじゃ)


 まだ参加者の顔も見ていないのに決めてしまうだなんて光龍様ったら大胆。俺自身で選ばなくって良いのは楽なんだけど。既に定められてるなんて参加者が知ったら怒るだろうな。


 説明会が終わると席を立つ人もいた。仕事の内容や待遇に納得できなかったみたい。仕方がない。けど、置いていった木札を見て驚いた。34番から37番までの4人なのだ。茶髪でパーマかけてたから、巫女は無理だって思ったみたい。『御神託』によって合格が約束されていたのに。木札は棚の上段へと片付けておこう。


「はぁ、お前達が巫女になってくれれば良いのになぁ……。」


 俺は無意識に、棚の下段の水槽にいる4匹の金魚に話しかける。金魚達と話ができる『御神力』でも身につけられれば良いんだけど。光龍様の姿さえ見れないような霊験のない俺氏では厳しかろう。

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