第10話 ゴーストちゃんの出会い その1

 いつからだろうか、気づいたらこの教室に一人で立っていました。周りには椅子と机が二つずつ置いてあるだけで、何もありません。


 廊下に出ようと扉を開き、足を一歩踏み出そうとすると、見えない壁と言いますか、何かに遮られて廊下に出る事が出来ませんでした。


「どうなっているのでしょうか?」


 私は、廊下から出る事を諦め、窓の方に向かいます。窓の外には、部活でしょうか? サッカーをしている生徒がいました。ここからなら助けを呼べるはずと窓を開け、出せる限りの声で叫びます。


「あのー! 誰か来てもらえませんかー!」


 しかし、うまくはいきません。どんなに声を出しても、誰もこちらを向いてくれませんでした。


「どうして……」


 落ち込んでいると、廊下の方に先生らしき人がこちらを見ています。助かりました……。私は、その人に話しかけようと、口を開こうとすると……。


「まったく誰だ! ここの扉を開けっぱなしにした生徒は、窓まで空いてるじゃないか。ここの教室は誰も入っては行けないというのに」


 先生らしきその人はブツブツ言いながら、私に気づく事なく、扉を閉めて行ってしまいました。


 そこで私は、自分が他人から見えていない事を悟り、教室の隅に移動して座ります。膝に顔を埋め、この現実から逃げるように……。


 



 


 


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