第9話 ゴーストちゃんはお祝いする

「ゴーストちゃん見て見て、数学のテスト百点取ったよ。他の教科も八十点以上いってるし、これもゴーストちゃんのおかげだ」


「ほ、本当に百点取ったんだ。すごいよ泉くん」


 心の底から喜んでくれているゴーストちゃんを見ていると、百点取れて良かったと思う。喜んでいる顔を見れるなら、テストのたびに百点取るのもいいかもしれないな。まぁ努力は必要だけどね。


「さて、今日は何やる? ゴーストちゃん」


「何もやりませんよ……。帰ってください」


「よし、成績最下位の俺がこんないい点取れたからそのお祝いしよう。ゴーストちゃんお菓子の予備まだ残ってたよね?」


「私の願いは聞き届けてくれないんですね……。お菓子ならそこの棚に入ってます……」


 さっきまでの喜んでくれていた顔と裏腹に、今は出て行けオーラを漂わせていた。

 そんな事、御構い無しに俺は準備をしていく。なにせ、今日は大事な日でもあるから。


「さて、こんなもんかな」


 机にはたくさんの量のお菓子を並べた。


「こんなにお菓子、出したんですか?」


 ゴーストちゃんが、こんなに食べられるのって顔で声をかけてくる。


「うん。だって今日は、テストで高得点取ったことともう一つ、ゴーストちゃんと出会って今日で一年目だから、盛大に祝おうって思って」


「あ……そうでした。去年の今頃、泉くんがこの教室に入ってきて私に告白してきた事を今でもよく覚えています。あれからもう、一年経ったんですね……」


 俺の告白シーンを思い出しているのか、もぞもぞと身体を動かし、頬を染め上げ始めている。


「もしかしてゴーストちゃん、あの時の事を思い出してる?」


「思い出してません!!」


 照れ隠しか、机に置いてあったお菓子を片っ端から食べていく。

 俺も早く食べないとゴーストちゃんに全部食べられちゃうな。


 彼女と始めて会った頃を、頭に浮かべながら泉くんはゴーストちゃんとお祝いした。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る