第6話 ゴーストちゃんは妹に会う
今日は泉くんの妹に会える日です。少しドキドキして落ち着きません。もう心臓は止まっているはずなのに、鼓動が激しく波打っている感じがしますぅ……。
「深呼吸……深呼吸……」
すーはー、すーはー。
少し深呼吸をして、落ち着いたような気がします。
私はぬいぐるみを抱きしめつつ、扉に集中する事にしました。
そして時は来ます。扉がスライドされ、そこには泉くんの他に天使だと思えるぐらい可愛らしい女の子が立っていました……。
「ゴーストちゃんお待たせ、妹を連れて来たよ」
「初めまして、ゴーストさん。私、
礼儀正しく頭をぺこりと下げる蜜ちゃん。私もペンを持ち、紙に書き込みます。
『確かに泉くんには、もう来ないでって行ってるのにね毎回来るし迷惑してるけど、多少? は助けて貰った事もあるし大丈夫だよ』
「本当に兄がすみません……」
しゅんとしている蜜ちゃんの姿を見て『大丈夫、大丈夫』と紙に書き綴り更に一文、書き加えて蜜ちゃんの手に受け渡しました。
『可愛いクマのぬいぐるみをありがとう。大事にするね』
「私の雑な作りで、そんな言葉を言ってもらえるなんて嬉しいです」
「雑なんかじゃないよ!! ものすごく丁寧に作られてて可愛いぬいぐるみだよ!!」
私は紙に書く事を忘れて、声に出して言ってしまいました。これじゃ、蜜ちゃんに聞こえません。紙にさっきの気持ちを書こうとしたら、泉くんが妹の頭に手を乗せて、私の代弁をしてくれています。
「ゴーストちゃんは、蜜の作ったぬいぐるみは雑どころか、丁寧に作られてて可愛いって言ってるよ。もっと自信もって」
「お兄ちゃん……」
蜜ちゃんは私の事が見えているかのように、私の前まで来て満遍な笑顔で、言葉を発します。
「ゴーストさん、そう言っていただきありがとうございます。もしよければ、私とも友達になってくれませんか?」
私は考える間もなく紙に書き表していました。
『もちろん。こちらこそよろしくね、蜜ちゃん』
こうして私は、泉くんの妹の蜜ちゃんと友達になり、ぬいぐるみ同盟が結成される事になりましたが、その事は泉くんには内緒です。
昨日の約束があるゴーストちゃんは今日も追い出せなかった。
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