9-3

 ガレスの一件はSNSのまとめサイトにもアップされたが、大きな話題にはならなかった。PV数稼ぎとしては失敗と断言出来るだろう。

この話題をピックアップした投稿者としては閲覧数が伸びてアフィリエイト収益も――という狙いがあったのかもしれない。

 失敗した理由の一つにガレスの都市伝説もあったのだが、投稿者は全く気付かなかった様子。一歩間違えればまとめサイトが複数消えるという噂まで拡散している程に、ガレスの話題はタブーと言う認識があった。

 この噂自体がどう考えても何かの話題に尾びれが付いたような物に見えるだろう。

【あれは一種のネタであり、真実ではない。何故、閲覧数が伸びないのか】

【しかし、明らかなヘイト記事では――炎上以前にガーディアンが摘発して終わりだ】

【一体、何が彼らをここまで駆り立てるのか?】

【それを知っていたら、こちらが聞きたい位だ】

【芸能事務所との密約でもあるのか? 明らかにガーディアン絡みのニュースと一緒に出てくる事はないぞ】

【ガーディアンの存在こそ、SNSユーザーによる創作では?】

【つまり、ガーディアンではなく実際は警察が圧力をかけていると?】

【それこそ、なおさらを疑うな】

 様々な憶測コメントも飛び交うが、この件に関してはノータッチの方がいいというのが結論らしい。

実際、真田さなだシオンを初めとした人物も、ガレスに関してのコメントをする事はなかった。むしろ、質問されても答えないというべきか。

ゲーマー同盟も同じような反応であり、こうしたSNS上のつぶやきに反応しているような余裕はないだろう。



 一方でミカサの動画は瞬く間に拡散し、こちらの方が話題になっている傾向さえある。彼女に続くかのようにバーチャルアバターでARゲームをプレイするプレイ動画等も拡散していくが、これにはARなのかVRなのか区別がつかないという声もあった。

【バーチャル動画投稿者がプレイするARゲーム動画――ややこしいな】

【普通に生身の人間がプレイすれば、確かにARには見えるだろう。しかし、バーチャルアバターでは――】

【その線引きは難しいだろうな】

【今後は、夢小説絡みで炎上する要素のないバーチャル動画投稿者が注目されそうだ】

【炎上要素が全くないというのは違うだろう。金目当てで炎上依頼があれば、それを安易に実行するパリピSNSユーザーはいくらでもいる】

【そうした印象操作が、過去の戦争を連想させる――と言うのか?】

【もしくはで――だが】

【フィクション? レッドダイバーの一件もフィクションの延長と言いたいのか?】

【もしくは、特撮版をベースに何者かがバーチャルアバター化したとか】

 様々な意見も飛び交う中、妙なつぶやきを発見したシオンは、該当するキーワードを検索サイトの窓に入力するのだが――。

器用にタブレット端末を操作しつつ、不要キーワードをマイナス検索する等の対応は忘れない。莫大な量の関連記事をチェックしているような余裕が現在はないからである。

(これは――!? どういう事なの)

 関連キーワードに紐付けられていた物、それはレッドダイバーだった。明らかにレッドダイバーとは無縁の事件にも紐付けられている。

その光景を見て、シオンはまとめサイトでレッドダイバーを取り上げている場所を探すのだが、大抵が凍結されていたり、ガーディアンが摘発した後で情報が入手出来ない。

 仕方がなく、シオンは最終手段としてアーカイブサイトを検索し、そこでレッドダイバーを取り上げているまとめサイトを探す。

彼女が今いる場所はインターネットカフェのような場所ではなく、ARゲームのアンテナショップなので特に入場料等がかかる事はない。

数時間もタダで長居するような事がなければ、スタッフから出入り禁止と警告される事はないだろう。



(何もヒットしない? 関連ワードを間違えたのかな)

 しかし、シオンのあては外れていた。ガーディアンが摘発したサイトは大抵がガレスの風評被害を拡散する目的、特定コンテンツを炎上させる目的のサイト―ーそれこそ、印象操作を目的としているような迷惑サイトばかりと言えるだろうか。

その中にシオンが目当てとしている様なサイトは全くない。それでも、彼女は別のワードを含めて検索を試みる。

「やっぱり、そう言う関連だったのね」

 検索結果に出てきた物、それは特撮番組としてのレッドダイバーを扱う考察サイトだ。

それに加えて、一連の事件に姿を見せるレッドダイバーの正体が実は特撮版レッドダイバーが実体化したという様な説まで拡散する始末。

明らかにアレな考察は放置し、シオンはあるサイトの考察をチェックしているのだが――。

(ヤルダバオト? まさか、SNS上で拡散しているヤルダバオトって――)

 シオンが気付いた時には、センターモニターである映像が表示されている。どうやらライブ中継らしい。外見は、先ほどの考察サイトで発見した画像とほぼ類似しており、デザインとしては未来的と言うよりは現代にありえそうなデザインであり、人昔の特撮と言えなくもないような物と思うだろう。

(それに、レッドダイバーも?)

その映像に映し出されていた人物、それはレッドダイバーだった。しかも、特撮版――先ほどまで検索をしていた方である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます