4-3
ライブ配信はARゲームの動画を配信しているセンターモニターでも視聴が可能で、草加市内のコンビニやアンテナショップでも見られる。
さすがに市役所等では設置されていないが、近くにアンテナショップがあるのでそちらで代用されているようだ。
(どういう事だ? 真田シオンが――リズムゲームに参戦だと!?)
その中で、これを見て驚いていたのは別所へ向かうはずだった赤髪の女性、ゲーマー同盟のユーウェインである。
シオンが別のゲーム出身であることは彼女も知っているので、その話題は有名と言えるだろう。
しかし、それが何故にリズムゲームをプレイする事になったのかは――誰にもわからない。
「まさか、あの真田が?」
「FPSの方でも活躍しているのに、別ジャンルへの進出か?」
「しかし、リズムゲームプラスパルクールは難易度が高いと聞く」
「あの場合は難易度ではなく、プレイするハードルって意味では?」
ユーウェインとは別の場所でモニターを見ているギャラリーから声が聞こえる。確かに彼らの言う通り、別ジャンル進出であれば類似ゲームやプレイするハードルが高くない物を選ぶだろう。
下手に稿難易度のゲームを選び、ARゲームが稿難易度だらけと誤認識した事で炎上させるプレイヤーだっているかもしれない。
(あのファフニールってプレイヤー、もしかすると――)
草加駅近くのコンビニでモニターを見ていたマスクが特徴な女性、クー・フー・リンはシオンではなくファフニールを気にしている様子だった。
彼女はシオンとファフニールがマッチングしている場所にも近いので、直接見に行くことは可能だろう。しかし、あえてそれはしない。
「さすがに考え過ぎかな。まずは、シオンのお手並み拝見っと」
気になる事はあっても、もしかするとフェイクニュースやまとめサイトがSNS炎上目的で拡散している可能性もある。
それを踏まえて、彼女は手を出さない事にしたのだ。チートプレイの様な不正手段を用いているような様子もファフニールにはない。下手に第三者が介入して炎上させる方が逆に問題視され、自分の立ち位置も危うくなるだろう。
ゲームフィールド近くのアンテナショップ、そこでセンターモニターを見ている人物がいた。
厳密には、歩いて移動している際に発見したというべきか。その人物が映し出されたと同時に、彼は足を止める。
(真田シオン――どういう経緯で、このゲームを?)
赤いパーカーのフードを深く被り、モニターの方を見ていたのは
彼は下手に面倒事へ発展しそうな案件にはスルーを決め込むはずなのに、最近になってシオンが気になる様子を見せている。
リメイク版のレッドダイバーでは、レッドダイバー以外にも彼を支える仲間たちが存在していた。
もちろん、それは特撮版にも存在しているのだが、シオンはどちらかと言うとリメイク版に出てくるパートナーと言う立ち位置に近い。
(むしろ、警戒するべきはファフニールの方か。あの手のプレイヤーには見覚えがあるような)
ヒビキはレッドダイバーの第四話か第五話辺りで見覚えがあった。エピソードが前後している可能性もある。
有名プレイヤーを潰すのにSNS上のフェイクニュースを利用して次々と乱入していく――という話だったかもしれない。
話数はどうであれ、ファフニールが実行しようとしている事は見過ごすわけにはいかないだろう。そこで、ヒビキは近くに端末が見えたのでマッチングを試みる。
丁度いい場所に端末が設置されており、番号を見る限りはここで間違いない様子。そこからシオンのいるフィールドで開始されるゲームに乱入出来るだろう。
《このバトルに乱入する事は出来ません》
端末に表示されたインフォメーションは、ヒビキが驚くようなメッセージだった。見た限りでは四人フルメンバーではない様子なのに、マッチングに加わる事が出来ないのである。
(定員オーバーか? それにしては、ライブ映像では二人しか映っていないように見えたし)
ライブ映像では、シオンとファフニール以外の姿が見えない。別の場所にいるのだろうか?
その後、気になったのでヒビキはマッチングリストをチェックする。そこで、ようやく乱入出来ない理由に気付いた。
「マッチングロック? どちらかが初プレイと言う事なのか」
初心者狩り防止の関係上、初プレイのプレイヤーが混ざっている場合にはマッチングにロックがかかる。これはリズムゲームと言うジャンルではあるが、あくまでもスコア以上に別の要素がリズムゲームプラスパルクールには求められていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます