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 楽曲の方はアイドルグループの楽曲だが、いわゆる版権曲の類ではない。

しかし、運営側はリズムゲームに大手事務所の絡む楽曲は不要というSNSの声を聞き入れ、近日中に配信終了を発表している。

その曲をチョイスしたのは、ほかならぬ暗殺者マントが特徴なジャック・ザ・リッパーなのだ。

もしかすると、この曲がチートコードを起動させる為の鍵なのかもしれないが、真相は――。

『まさか、こういう仕組みだったとは』

 実際にプレイしている楽曲のように見えて、実はジャックに踊らされていただけに過ぎない――そう気付いた時には遅かった。

異常なスコア、アーマーの挙動変化、明らかに通常のコースとは異なるようなルート等――挙げだしたらきりがないだろう。

中世騎士のガーディアンが気付いた頃には、ジャックに抜かされていたのである。

まるで、先ほどまで先頭だったプレイヤーをジャックが抜くという演出に利用されたかませ犬のように――。

(気付くのが遅い――)

 ジャックの方は、苦戦している様な表情を含めて演技だった。

そこまで上手く演技を出来たのかと言うと、周囲のギャラリーの一部は見破っており、それ以外にも――。

『そのタイミングを待っていた!』

 特撮ヒーローチックなアーマーのレッドダイバーは、ジャックがチートツールを使うタイミング、それを待っていたかのような状態らしい。

彼がタイミングよく展開した物、それはバックパックユニットである。その大きさはレッドダイバーよりも巨大と言う訳ではないが――。

「そのガジェットは、まさか――お前もチートプレイヤーだというのか?」

『私はチートプレイヤーじゃない。これは――正規のスキルだ!』

 ジャックのチートであるという一言さえも、あっさりと一蹴したレッドダイバー。

彼に対してチートと言う単語を使ってしまったのは、ジャックにとって負けフラグを立てた事に変わりない。



 その後、ジャックは大幅に失速。演奏失敗にはならなかったが、スコアは最下位になっていたという。

トップで通過したのはレッドダイバーだという事にガーディアンは驚くしかない。

(レッドダイバー、やはり警戒すべきは彼と言う事か)

 中世騎士のガーディアンは、レッドダイバーが使用したガジェットの出所を含め、疑問に思っている個所がある。

(しかし、彼の正体は――?)

 SFヒーローのガーディアンもレッドダイバーの存在は疑問に思う。

疑問はそれだけではない。あのレッドダイバーのデザインは特撮版であり、リズムゲームプラスパルクールのコラボで行われていたのはアニメ版のはず。

アニメ版アバターを再現するプレイヤーはいるかもしれないが、特撮版をここまで再現するとは――。



 プレイ映像を見て、ため息ばかりが出るような人物も多い中で、レッドダイバーの動きを一刀両断した人物もいる。

それは、言うまでもなく中世騎士たちの所属しているガーディアンだ。

【このプレイヤーがレッドダイバー?】

【アニメ版とは若干デザインが違うように見える。コスプレイヤーかもしれない】

【しかし、コスプレイヤーであれほどのレベルのプレイヤーだとは思えないが】

【便乗プレイヤーでは?】

【ジャックの方がかませ犬かマッチポンプに利用されたとは、あまり考えたくないが】

【彼の存在はガーディアンの行動にも障害を引き起こしかねない】

 他のメンバーで、こう言う意見を出す者がいた。当然、他のカーディアンメンバーの実力を知った上での発言である。

しかし、レッドダイバーはガーディアンに所属していない。そのような人物が勝手に動かれては都合が悪いと考えているのだろう。

「相変わらずガーディアン絡みのSNSは炎上しているのか」

 草加駅よりは若干遠いコンビニで先ほどのライブ映像を見ていたのは、フードのあるコートにサングラス、マスクと言う不審者に見える女性だ。

フードは被らず、髪型が黒髪のセミショートだとはっきり分かる。中継映像を見終わった後に、実況をしていたSNSを少し見た結果が、今回のミニ炎上だった。

「こう言う民度の低い連中って、いつの時代にもどのコンテンツにもいるのが問題なんだけど、どうするべきかなぁ」

 この状況に困惑している女性、彼女の名はクー・フー・リン、ゲーマーネームではあるが一種のバーチャル動画投稿者等ではない。

地方局のイースポーツ番組では解説も行う様な実力者であり、それこそ発言力も一定以上あると言ってもいいだろう。

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