第2話:再始動-ジャック・ザ・リッパー登場-
埼玉県草加市、かつてはARゲームで聖地巡礼を勧めようという勢力が存在し、彼らによって町の光景が変化した事もあった。
それらも全てはWEB小説や特撮番組、ゲームにおけるフィクションだと言われている。
本当に、今回の件をフィクションとして片づけてよいのだろうか? 本当はノンフィクションとしての事実を――。
あくまでも一連の事件はARゲームと言う内部で起こった事であり、他のジャンルに拡散した訳ではない。
しかし、本当に簡単な一言でなかった事にしても良い物なのか? そうではないはずだ。
一連の事件は日本で起きている。海外の出来事ではないし、ニュースで報道されるような大規模事件でもないだろう。
だからと言って興味がないとスルー出来るのか? ゲームに興味がない人間でも、今回の件をスルー出来る案件なのかと言うと、そうとは言えない。
【レッドダイバーは、もはやフィクションだけの存在ではない】
【小説等を参考にして犯罪を起こすような便乗勢力もいる以上、アレも同類だ】
【日本が誇るコンテンツは、アイドルに限る。それも三次元の――】
その他にも無数のコメントがあるが、特定アイドルを支持する様なコメントが大量に切り取られている印象だ。
それに加えて、このサイトには芸能事務所が運営している様な事が分かる書き方も存在していて――。
彼がチェックしていたのは一種のまとめサイトだった。悪質なものであれば即削除なので、それから逃れている部類と言うべきか?
一連の記事内容に同意できる箇所はあるかもしれないが、内容に関しては――全く信じようとはしなかった。
この記事をスマホ経由で知ったのは、レッドダイバーが現れた一件とほぼ同時と言ってもいい。
(これは明らかに――)
自分がフィールドとしているゲームは、あくまでもパルクールであってこのゲームではないだろう。
それは百も承知なのに、どうしても彼は――この事件が一連の大事件に発展する可能性があると考えていた。
SNS炎上自体、今の時代では息をするようなレベルで目撃するものであり、それこそ『自分のジャンルは無関係だから』の一言で切り捨ては出来ない。
他のサイトをチェックしても、文面を若干変えただけのコピペ記事が目立ち、真実かどうかを確かめる為にも現地へ訪れる必要性があると感じる。
コンビニ前でスマホを片手にサイトを閲覧する姿は、他の通行人にも見られているがそちらに視線を向ける事はない。
身長が一六五センチ前後、それ位の男性が草加駅近辺のコンビニ入り口近くに立っていれば、不良等と勘違いする人物もいるだろう。
交番も近くにある事はあるのだが、ARゲーム絡みの事件に関与する気配はない。警察官さえもARゲーム関係の事件は下手な対応をすれば炎上すると感じているのだ。
「飛び火する前に、真実を確かめなくては――」
黒髪のショートヘアにメガネと言う男性、彼は一部の業界では有名なパルクールプレイヤーでもあった。
名前は
その後、七瀬は何か別の目的を見つけたらしく、スマホでマップを表示し、それから上着の胸ポケットにスマホを入れて歩きだす。
歩きスマホをすれば罰金と言うのもあるが、それ以上にSNS上で炎上するのを避けたのかもしれない。
七瀬がコンビニを離れた頃、そのコンビニに姿を見せたのは
シオンはSNS上の情報で七瀬が草加市入りしたという情報を掴み、そこから彼を探していたのだが一足遅かったようである。
(あのパルクールプレイヤーも、目的は――ひとつしかない)
シオンは七瀬の目的もレッドダイバーと予測していた。実際、草加市内でレッドダイバーが話題に上がらない事はないという位には話題となっている。
つぶやきサイトのトレンドでも草加市に限ってレッドダイバーの上昇率が異常に高い。リメイクアニメ版もあったはずだが、それも本放送は終わっており、視聴手段はCSや地方局等での再放送位だ。
シオンが七瀬を探していた理由は、レッドダイバー以外にも尋ねたい事があっての事。当然の話だが――。
その状況下でシオンが視線を向けたコンビニの宣伝用小型モニター、そこに映し出されていたのは『リズムゲームプラスパルクール』の映像である。
さすがにコンビニ内で足を止めて視聴できる様なスペースもないので、音に関しては意図的に切られているようだが――。
(あのコスチュームは、まさか?)
残念ながら、映像に映っていたのはレッドダイバーではない。しかし、シオンには若干の見覚えがある。
そのプレイヤーの名前はジャック・ザ・リッパー。名前だけ有名所の物を拝借し、目立とうという悪目立ちプレイヤーの典型例だ。
ジャックの名前は既に何人かの使用例があって、その内の一人と言う認識をシオンはしている。
(間違いない。チートプレイヤーだ)
シオンの手は若干震えている。それに加えて、彼女の眼は動揺して視線がずれているかもしれないが――。
悪質なチートプレイヤーであれば、運営側も対策はしていておかしくはないだろう。しかし、今回のケースはあまりにも同名プレイヤーが多くて特定できていない為、すり抜けてしまったというべきか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます