私はミリタリーや軍事関係とSFの融合が好きな人間として、この作品の素晴らしさをお伝えしたい。
まず戦争の歴史を一度でも遡った事のある人にとっては、この分野に於ける広範さがどれだけの物かをご理解頂けるはずだ。
本作では「加賀」や「扶桑」と言った、日本の過去に存在した船舶の名前が登場する。そして「かが」の様に今でも連綿と続く歴史は、作者の手により未来へと繋がっているのだ。
軍事関係の歴史や知識をテキストとして書き起こすには、どうしても硬派な文体にならざるを得ない。その難関を乗り越えた上にSF、未来へと昇華させたこの作品。
かつての海を駆けた「舟」を宙に翔ける「夢」へと変え送り出す本作では、単に船舶を飛行させている訳では無い。過去に舟であった存在を、概念と歴史を継いだ機体やプログラムへと再翻訳した。
さぁ諸君、私達も「空の英雄」を追って作品の宙へ翔けよ。