第18話 パーティ〈物見遊山〉
本日の予定は、午前中に、買い物と、クリスタを加えてのパーティ登録。ダンジョン探索は午後から。
それは、リエル、レト、クリスタ――女性陣にもちゃんと伝えておいたのだが、どうやら、双方の理解に
それが判明したのは、アレンが、修理屋[バーンハード]で店主のカイトからクラン《群竜騎士団》の動向に注意するよう忠告された後、
アレンは、衣類や日用品より、錬金術・錬丹術関連の器具や道具、素材のほうが買い物の本命だと考えていて、合流するまでに[タリスアムレ]での用事を済ませてもらうつもりだったのだが、女性陣、特にリエルとレトは、午前中一杯[タリスアムレ]で買い物を楽しんで良い、と解釈していたようなのだ。
自分が既に到着しているのに、いっこうに急ごうとする様子が見られない。その時点で、おかしいとは思ったのだが……
それと、自分の言葉が足りなかったようだと思い知った件が、もう一つ。
それが発覚したのは――
「ねぇ、アレン。……どう、かな?」
クリスタが、身に付けている防具一式をわざわざ見せにきた時の事。
職種は【錬丹術師】で
確かに、彼女は、荷物持ちでも何でもやる、とも言っていたが、アレンは時空魔法の【異空間収納】が使え、リエルとレトには〔
なので、ダンジョンではなく工房で、探索や戦闘ではなくアイテム制作で、パーティを支援してもらうつもりだったのだが……
「リエルとレトが一緒に選んでくれたんだよ」
黒を基調として赤と青が彩るクリスタの装備は、金属製の装甲は一切ないものの、二人と同じ、様々なバリエーションの中から自分に合ったものを選択して装備する〔
その姿を見たら、工房でアイテム制作に専念するなら防具はいらないんじゃないか、と直前まで考えていた事を言う気は綺麗さっぱり消え
すると、クリスタは、
「ずっと男のフリをしてたから、なんか変な感じっ!」
照れ隠しに白い歯を見せて、にっ、と少年のように笑って見せた。
その後、それでも、それとなく探りを入れてみたのだが、クリスタは本気でダンジョン探索に意欲を見せており、リエルとレトも、そんなクリスタを歓迎していた。
どうやら二人は、戦えない人物を
クリスタの意思は尊重する。だが、アレンとしては、自分が最も得意とする事で仲間に貢献するほうが良いように思えるのだが……
「
アレンは、女性陣の買い物が終わるのを壁際に置かれているベンチに腰掛けて待ちながら、膝の上で丸くなっている以心伝心の
結局、錬金術・錬丹術関連の器具や道具、素材のほうが買い物の本命だと考えていたという事は告げず、そちらはまた別の日に行けば良いさと頭を切り替え、まさに予定通りだという
そして、それは、ギルド本館から賢者の塔の地下1階に存在する儀式場、通称『円卓の間』へ向かう道中での事。
「ねぇ、アレン。なんでそんなコソコソしてるの?」
そう訊いたのは、〔戦乙女の鎧〕の上に、以前
「前に、『命が惜しくば二度と我らの前に姿を現すな』って言われたんだけど、その『我ら』っていうのが、それを言った人とその仲間達に限った事なのか、それとも全てのエルフって意味なのか分からないから、一応な」
並んで立っているリエルと肩の上にリルを乗せたレト――その後ろに隠れてエルフをやり過ごしたアレンは、答えてから重いため息をつき、それを聞いたクリスタは、そんな人間族の少年とは対照的に、
「え? じゃあ、今後も
嬉しそうに言って笑みを浮かべた。
「『白いの』?」
疑問の声を上げたのはリエルで、レトとリルもそっくりな
アレンも気になったので
「さっきの奴みたいな森エルフの事だよ」
そうつまらなそうに答えてから、
「なんかね、ボク、
『黒エルフ』または『山エルフ』とは、銀髪に褐色の肌のエルフの事。種族的には『エルフ』と呼ばれている金髪に白い肌の『森エルフ』と同じ妖精族なのだが、自然を尊ぶ森エルフ達は、火と鉄に親しみ金属を加工するために多くの木を切り倒して
そして、エルフと、火と鉄に親しみ細工や
それを聞いて、アレンは、自分と両親に関する事なのに伝聞の形だという事が引っ掛かり、ふと以前に聞いた、
「じゃあ、クリスタの適性属性は、【火】とか【地】なのか?」
それに対して、クリスタは、あれ? 言ってなかったっけ? ときょとんとしてから、
「ボクの適性属性は、生産職
そう言って、アレンに女だという事がバレていると知るまで
【冷熱】とは、火を
「【冷熱】、か……」
振り返ったリエル、レトと
そして、一つ所有してしまえば、あとはもう三つも四つも大差はなく、この先ダンジョン探索を進めていけば、モンスターは強くなり、罠は種類も数も増え、難易度はどんどん上がって行く。
ならば、無くて困る事はあっても、有って困る事はない。
アレンは、その
「ねぇ、パーティ名は何て言うの?」
クリスタがそんな質問を発したのは、『円卓の間』で無事にパーティ登録が完了し、エメラルドタブレットを左手に戻して紋章化した直後の事。
それに対して、リエルとレトは顔を見合わせ、
「パーティ名か……」
それは、リエルとレトにも訊かれた事がある質問で、アドバイザーさんからも決まったら教えてほしいと言われている。
だが、いろいろな人達とパーティを組んで冒険をしてみたいと思っていたアレンは、臨時でパーティを組んだり、人数が足りていないパーティに加えてもらったりするつもりでいたので、自分が
それに、そもそもパーティ名の良し悪しの基準が分からない。
それでも、問われたからにはと考え、
「『物見遊山』――なんてどうかな?」
アレンは、仲間達の反応を
「『
そうパーティ名としてこの言葉を選んだ理由を説明し、
「〝なまくら〟のアレン率いるパーティ〈物見遊山〉――どうかな?」
自分では、
はてさて、採用か、再考か、――仲間達の反応は?
「いいと思います」
リエルはそう言ってくれたが、ちょっと苦笑気味。
レトは、こくこく頷いて賛成してくれている。
そして、クリスタは、
「いいんじゃない? ただの、観光して遊び歩く、じゃどうかと思うけど、
レトの肩から、ぴょんっ、とこちらの肩の上に飛び移ってきたリルも、頬に頭をすり寄せて賛意を示してくれた。
そんな訳でパーティ名も決まり、アドバイザーさんへの報告を、前にするか、
新メンバーであるクリスタを
何故、アレンは一人で探索を済ませたのか?
それは、着実に到達階層を更新して行き、最下層に到達した時には、このダンジョンに通っていない道はない、と言えるぐらい探索し尽くそう――そう決めたからであり、自分とレトはもちろん、リエルの修行にもならないから。
害虫駆除は冒険者の仕事ではない、という考えが
特に、第5階層のボス部屋攻略が冒険者養成学校の卒業試験になっており、在校生はその先へ進む事が許されていないため、そこの生徒達が、第4と第5階層で実技訓練や自主練を行なっているのが混雑に拍車をかけている。
そして、人口密度が上がる事で起きるのが、モンスターの奪い合いと出現待ち。
モンスターはいくら倒しても、〔
実力が足りていないためボス部屋を攻略できない新人冒険者や、禁じられていて
そんな訳で、アレン達は第5階層のボス部屋へ。
時空魔法の【空間探査】で既に構造を把握しているため、モンスターではなく、
余談になるが、第4階層に出現するモンスターは、
だが、出現頻度が一番多いのはやはりゴブリンで、1体から3体ほどで行動し、ほとんどがボロボロの布を腰に巻いて棍棒を手にしており、中には先端が
ボス部屋に出現したのは、『ゴブリン・メイジ』に率いられた『ゴブリン・リーダー』とゴブリン達。
そして、第5階層に出現するモンスターは、ほぼゴブリンで、
この階層のゴブリンは、リーダーを含めて5体前後で行動し、ボロボロとはいえ革の鎧を身に付け、粗雑級に分類されるであろう
アレン達が遭遇したゴブリンの群れは、リーダーが1体、アーチャーが2体、ソルジャーが3体の計5体というありふれた構成。
アレンは、常駐型の時空魔法【早期索敵警戒網】で、レトは高い感知能力で、まだ見えていない、10メートル以上先にある通路の突当り、曲がり角の向こうから近付いてくるモンスターの存在を察知し、先制攻撃を仕掛けるべく準備する。
「もうすぐ見える。見えたら自分のタイミングで撃って良いぞ」
アレンにそう話し掛けられて、
「うん、分かった」
そう返したのは、預けられたボルトアクションライフル型の魔法銃――〔力晶銃〕を、立射姿勢で構えているクリスタ。
ライフルを
「――――っ」
通路の突当り、曲がり角の向こうから姿を現したのは、錆びた剣を
クリスタは、その全身が視界に入ってから
1発目から当てて見せた事に、アレン、リエル、レト、それにリルまで目を
「器用に使うもんだなぁ」
アレンがそう声をかけても、興奮の面持ちで〔力晶銃〕を見詰めるクリスタには届かなかったようで、リエル、レトと顔を見合わせて苦笑してからもう一度声をかける――直前、
「アレンッ! これ凄いよッ! これがあればボクも一緒にモンスターと戦えるよッ!」
唐突に振り返って
共にダンジョンへ潜るのなら、無手は論外。なら護身用の武器は何が良いかという話になり、戦闘はおろか狩りをした事もないというので
当人も相当気に入ったらしく、〔力晶銃〕を抱き締めるようにして持っているので、そのまま預けておく事に。
その〔力晶銃〕から発射される光弾は、威力、速度共に、無属性の初級攻撃魔法【
【異空間収納】でゴブリン共の魔石を回収し、その後は、モンスターにも、冒険者にも遭遇する事なくボス部屋の前に到着した。
そして、アレンは、ボス部屋へと進もうとしたその時、ふと〔力晶銃〕を携えているクリスタが撃ちたそうにうずうずしているのに気付いて足を止め、ふと思案し……
「アレン様?」
リエル、レト、クリスタ、足元から見上げてくるリル――仲間達の視線が自分に集まったところで、
「俺もちょうど試し撃ちをしたいと思ってたんだ。そこでどうだろう? 射撃の腕を競ってみるっていうのは」
ニヤリと笑い、【異空間収納】で収納用の異空間から魔法銃〔
探索中、〔超魔導重甲冑〕を装着しないのは、所有している事を隠すためで、ボス部屋は、一度扉が閉まってしまうと戦闘が終了するまで開かない。つまり、アレンのような浄眼持ちでもなければ、他人に見られる事はまずない。
そこで、第1形態にも慣れていったほうが良いという事もあり、ボス部屋では〔超魔導重甲冑〕とその武装を解禁し、積極的に使う事にしている。
なので、リエルとレトもまた笑みを返し、気兼ねなく、それぞれ【格納庫】から、〔
第5階層のボス部屋で行なわれた惨劇の後、クリスタは初
相手が
それは、アレンがカイトから託された魔法銃〔
それを一言で言ってしまうと、とても
重厚な長銃身から弾丸が超音速で発射される際、【
威力も過剰で、肉体的強度が最も高そうだったゴブリン・チャンピオンは、着弾の衝撃で木っ端微塵に砕けて跡形もなく飛び散り、標的を貫通、というか爆散させて直進した超重質量弾が壁に当たると、小さな隕石が直撃したようなクレーターができる。
そんな弾丸を、本当に再装填する手間もなく、無反動
カイトには、音速の約7倍の速度で発射される弾丸の1発目が標的に着弾する前に4発目を発射すると、魔法銃〔無限〕の特性
とてもカイトが言っていたような『仲間を守るための道具』だとは思えなかったものの、中層中盤以降の探索を見越して渡された物なので、アレンは、とりあえずそれまで封印しておく事にした。
――何はともあれ。
アレン達、パーティ〈物見遊山〉は、第6階層へ進出した。
そして、リエル、レト、クリスタは、キングを頂点とするゴブリン軍団を一蹴した勢いそのままに
屍肉の悪臭が酷くて
不浄や
だが、問題なく撃破できるはずのリエルとクリスタまでが完全に戦意を喪失しているのが、アレンにはどうにも
結局、アレンは、リエル、レト、クリスタを一足先に【
三人
そして、時は流れ……
それは、本日の探索を切り上げ、アドバイザーさんに、第6階層へ進出した事、メンバーが増えた事、パーティ名が決定した事などを報告するため、ぐったりしているリルを抱っこして、ダンジョンからギルドへ向かった時の事。
「――――っ」
いつもなら窓口へ行って彼女を呼び出してもらうのだが、脳裏に光景が浮かび上がるような事はなかったものの超直感が働き、ふと足を止め……
(こっち、か……?)
そこからいつものルートを
すると、程なくして、自分の担当アドバイザーであるサテラさんが、白を基調とした甲冑とマントを装備して帯剣している、まるで騎士のような
(いつも通りにしていたら、あっちで待たされて、この場面に出くわす事はなかった、か……)
超直感が働いた理由について思案したのも束の間、
「――サテラさん」
はっきりと呼びかけ、堂々とそちらへ歩を進めるアレン。
振り返ったサテラは驚いて目を見開き、振り向いた金髪碧眼の美丈夫は不快そうに眉根を寄せ、
「何だ貴様――」
「――私が担当している冒険者様です」
サテラが、美丈夫の視線からアレンを守ろうとするかのように間へ割って入り、言葉を
「私には仕事があります。他に御用がないようでしたら、どうかお引き取り下さい」
「…………なるほど。そういう事ですか」
美丈夫は、アレンを
「貴女を困らせたくはない。ですので、日を改める事にします。――が、これだけは覚えておいて下さい」
美丈夫は、そう言って真剣な表情でサテラを見詰め、
「貴女が冒険者の運を吸い取っている……、などというのは、
「ですからそのお話はもう何度も――」
「――では、失礼」
今度は美丈夫がサテラの言葉を遮るように告げ、一瞬、暗い殺意の炎が燃える瞳でアレンを一瞥してから身を
アレンと抱っこされているリル、そして、
「大丈夫ですか?」
アレンが声をかけると、サテラは、はい、と頷き、ありがとうございました、と会話中に声をかけてもらった事について感謝の言葉を述べてから、不快な思いをさせてしまって申し訳ありません、と謝罪し、
「アレン様は、どうしてこんな所へ?」
「今日の報告をしようと思って、サテラさんを捜していてここへ。それでお邪魔しちゃった訳なんですけど…………さっきの人って、《群竜騎士団》の白竜隊の人ですよね?」
あの美丈夫が纏っていた『白』という色から、早ければ今日中にも……、というカイトの言葉と忠告を思い出し、確信を持って訊くアレン。
すると、サテラは目を伏せ、泣きたいのを堪えているような表情で頷いた。
――その日の夜。
皆で食卓を囲み、美味しい夕食を頂いた後、全員で話し合った結果、やはり、明日から
三人共、一足先に送り返されてから覚悟を決めたらしく、決死の表情で同行を申し出てくれたのだが――
今、
生と死と眠りの属性である【生命】を適性属性とするレトには、死者を本来あるべき
【錬丹術師】のクリスタには、今こそ、ダンジョンで無理をしてゾンビや嫌悪感と戦う以外に、工房という真に実力を発揮できる場所でパーティに貢献する事ができるはずだと話し、
結果、皆、
それは、三人に、安全な
(一度は考え過ぎだと思った、けど……)
多くは訊かなかったが、しつこくサテラに言い寄っているという美丈夫――クラン《群竜騎士団》白竜隊の副隊長だという男のあの陰湿な目を見た瞬間、彼女が担当した冒険者全員が一ヶ月以内に命を落としている、その原因の最有力候補になった。
(『悪意を
自分が襲撃を受けなかったのは、この三ヶ月間、彼がラビュリントスを留守にしていたから。また、新人冒険者の担当に
もしこの推測が的を射ていた場合、十中八九、近日中に何か仕掛けてくる。それもおそらく、ダンジョン内で。
だとしても、仲間を守りながら、気にしながらでは不安だが、自分とリルだけならどうとでも切り抜けられる。その自信がある。
それ故に、このタイミングで進出したのが女性に忌避されるらしいアンデッドが出現する階層だった事、単独での探索を認めてもらえた事は、非常に都合が良い。
(襲って来ないならそれに越した事はない。でも、来るのなら、はてさて、いったいどんな手で……)
自分の手を汚すタイプには見えなかったので、おそらくは配下、命令に逆らえない奴隷で構成された黒竜隊、その中でも、暗殺に特化した技能構成の少数精鋭を差し向けるというのがもっともあり得そうに思うが……
「――アレン様」
そう
そこは、湯気が立ち込める自宅の広々とした浴場。
いつもなら、お風呂に
そして、アレン自身も、頭はシャンプーの、躰は
(……今日もまた、全身
そっとため息をついた。
アレンの夜稽古は、日に日に厳しさを増し、現在は通常の21倍という高重力環境下で、無限流気功法を
そして、そんな無茶をすれば当然、筋肉は断裂し、靱帯は損傷し、軟骨は潰れ、骨にはひびが入り…………鍛錬が終わる頃には全身がボロボロになる。
始めは、リエルとレトが汗を流し終わった後、鍛錬を終えたアレンが一人で浴室に入り、疲労と痛みで両腕が上がらないので、天井から雨のように降り注ぐシャワー――『レインシャワー』にしばらくただ打たれ、汗だけ流して上がっていた。
しかし、数日後には、浴室へ向かうそんな状態のご主人様を見かねたリエルとレトが、お背中をお流しします、と言い出し、そんな事しなくて良い、と断ったのだが、二人があーだこーだ言い始め、今にも倒れそうなほど
その結果が、この有り様。
ちなみに、始めの頃は二人とも全裸ではなく、それぞれ〔戦乙女の鎧〕の
レインシャワーでシャンプーと石鹸を洗い流した後、リエルとレトはそのまま残って湯船に浸かり、アレンとリルは寝室へ。
余談になるが、浴室と脱衣所の境には一種の結界が展開されており、そこを通過する際に余分な水分が除去されるため、身体を拭かずに上がっても脱衣所の床が水浸しになる事はなく、【異空間収納】で収納用異空間から部屋着を取り出す際、直接身に着ける事ができるので、アレンは両腕が使えなくても着替える事ができる。
そして、今日、クリスタが〔力晶銃〕を撃ちまくって
「…………はぁ~」
翌朝、空が白み始めた日の出前に目覚めると、両脇には当然のようにぴったり寄り
これも、始めは、自分の部屋で眠るように言って、寝室の
クリスタが、トイレでバカな事をしたり言い出した原因は、間違いなく、このどちらか、あるいは両方だろう。
「まったく……」
思わずそう呟くアレン。だが、その顔に浮かんでいるのは、優しい微笑みで……
始めの頃は、触れ合う躰の柔らかさや、ふと香る女の子達の匂い、浄眼のせいで見え過ぎる程あちこち見えてしまう魅力的な乙女達の肢体に心を乱された――が、今ではもう、この心底安心しきっている
何とはなしに、このまま衝動に身を任せ、欲望のままに行動しても、二人は
だが、朝っぱらからそんな事をしてはいられない。
実益と友達探し、そして、何よりも趣味――修行のために
「《
【再起】によって完治し超回復した躰の調子を確かめ、仲間を守るために鍛錬した力を把握し、万難を排し万魔を討ち滅ぼす技を錬磨するため、愛刀を手に取ったアレンは、不思議な虹色の光沢を
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