おまけ ふくじゅ と フォーア

 とある日のこと──

《木霊》である福寿ふくじゅと全身義体の少年フォーアがたまたま縁側で出会った。


「ござる♪」


「……いや、自分は、君の言葉を理解できない」


「ござる?」と小首を傾げて福寿は頭にクエッションマークを浮かべた。だが、フォーアは視覚を遮断しているので、声のニュアンスだけでそう察する。


(なぜ常に《ござる》しかいわない? いや、そもそも、なぜあれだけで意思疎通ができている? 理解不能……。意味不明……)


「ござござるる♪」


 小躍りしているのか、ぴょんぴょん跳ねまわっている。


「すまない。理解できない」


「ござるぅ」としょんぼりした声がした。だが「ござるるる!」と明るい声が次いでフォーアの耳に届く。


 それは意味など分からなかったが、「大丈夫、いつかわかると思う」と言われたようだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る