非常はつねに日常から
「何だったんだ今のは…?」
今日程に夢を鮮明に覚えていたことがあるだろうか。それになんだ、心に
──
「優汰ー?」
「んー、起きた起きた。」
「なら早く下に来なさいよー。」
ふぅ。どうやら今回は現実らしい。そういえば、姉さんが起こしに来てくれるのは母さんが亡くなってからだな…そりゃそうか。父さんは単身赴任でほとんど帰って来ないし。この際自分で起きればいいという意見は受け付けない。スマホの目覚まし機能を利用するようになってからマシにはなったものの、まだ3日に1回くらいの頻度で寝坊する。
そういえば今日の日時を確認しなくては。
夢の中でそうしたように、手を伸ばs─
…普通に取れた。現在5月12日6時48分(金)。
夢でのことを追体験するみたいに同じことをしてみる。しかし─否、幸いと言うべきか。空はなんの変哲もない曇り空。快晴部分と雲との比率が3対7くらいだから、正確には晴天か。ドアノブに手をかける。よく考えたら嫌なん感じがするなんてそんな、漫画じゃあるまいし、いちいち疑心暗鬼になっていられない。
姉さんが待つ階下へと向かった。
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「おはよ」
「おっはー」
流れるように洗面所へ向かう。はたから見たら怒っているとも取れる無駄に重い足取りで。
鏡を見ると、泣き跡があった。目尻の下あたりを触ってみるとザラザラした感触が伝わってくる。夢で、夢の中で僕は泣いていた…?
顔を洗い、泣き跡の部分をとりわけよく
食卓では既に朝食の準備が済んでいた。ご飯と綺麗に盛り付けられたベーコンエッグが並んでいる。真ん中には塩、醤油、ケチャップが置かれている。ちなみに僕は塩派で姉は醤油派だ。なんでケチャップが置かれているのかなんて気にするな。作ってくれたんだからそれでいいじゃないか。
軽く身支度を整える。
「優汰ー!これ、お弁当」
「さんきゅ、いってきまーす」
「いってらっしゃい」
「行ってくるね、母さん。」
仏壇に立てかけられた母の写真。母は今日も笑顔である。よかった─というか変わってたら困るのだが…
普段は歩いて学校へ向かうが、今日はいつもより遅めなので最寄りのバス停まで歩いてバスで学校へ行くことにした。
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時間だけが過ぎていく。いつもは割と真面目に聞くふりをしている授業にも全く身が入らない(まぁそれはいつもだが)。気持ちが今朝の夢へと向かう。確かに不思議な夢だったが、こんな夢の1つや2つ誰だって見るだろう。
「次、柊ー。」
「おい、柊ー?」
「柊ー!」
「─ッ、ハイッ!」
「ーったく、話聞いてろよ。25ページの音読だよ。」
「す、すみませn」
「やる気ねーなら帰れよなー。」
──なんだそうか。
教師からの許可が降りたのだ。学校に来てから1度も開けていないカバンを携えて席を立った。教室が少しどよめいていた気がするがそんなのは知らない。
優汰は帰路の途中で近くの公園に立ち寄り、姉が作ってくれた弁当を食べて帰った。
家に着いたのは正午過ぎであった。当然姉さんもいない。今日は大学に行った後友達と遊ぶと言っていたから、帰ってくるのは恐らく夜だろう。
自室のベッドに座りながら、スマホでニュースをチェックする。さっき食べた弁当で腹八分目程満たされた。春の陽気に包まれた生暖かい部屋。なんだか眠くなってくる。昼寝しようかな。
優汰はベッドに横になり、本格的に寝に入った。
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「優汰ー?起きなさーい」
なんだか聞き覚えのある
ゆめものがたり 夜桜咲人 @pe_104
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