続報五 晴明

 年も明け、俺は宰相室勤務になった。俺達の婚約も成立し、カトリーヌは宿舎を引き払い弟の家に引っ越してきた。


 これでもう寮母のオバチャンの目を気にせず、カトリーヌの部屋で思う存分彼女を抱きしめてキスが出来る。グフフ……


 ある日の朝、弟の屋敷にカトリーヌを迎えに行った。いつものように彼女の唇を激しく奪い、唇だけでなく耳たぶや首筋にもキスの雨を降らしていた。人間というものは何かを手に入れると更に貪欲になるものである。彼女をもっと味わいたくなった。勇気を出して言ってみることにする。


「カトリーヌ、お願いがある」


「ええ、何でしょうか?」


 上気して頬の赤いカトリーヌが聞いてくる。カワイイな。


「えっとその……君の胸に顔を埋めたい」


「何だ、そんなことですか。お好きなだけどうぞ」


 結婚前なのに何を考えているのですか、破廉恥ですね、ティエリー! と言われるかとビクビクしていた。


 オスキナダケドーゾ……パフパフし放題、時間制限なしの魅惑に俺の理性は吹っ飛んだ。


「ああ、カトリーヌ……」


 カトリーヌが腕を広げて差し出してくれているその魅惑的な双丘に俺は無我夢中で頬ずりした。


「グッ……」


「い、痛いわ、ティエリー」


 そうしたらそこには何と先客が居やがった。あの憎き魔法の笛だった。その金属片が俺の目に突き刺さるかと思ったぞ。


「カトリーヌ、ごめん。君の肌を傷つけたくないから……この笛はとりあえず外しておくよ」


 さあ邪魔者も取り払った。気を取り直して、もう一度……




***



「カトリーヌゥー……」


 念願のパフパフが叶い、我〇汁だけでなく涙まで出てきてしまった。そして図に乗ってパフパフ以上のあれやこれやまでしてしまった。


 それもこの弾力に温かい触り心地にカトリーヌの色っぽいあえぎ声のせいだ。


 はっと我に返ると俺は長椅子の上で衣服の乱れたカトリーヌを組み敷いていた。恐る恐る彼女を見上げると涙目で真っ赤になって俺を見つめている。


 ああそんな顔なんかされると……俺はもっと色々シたくなってしまう……


「あ、ああ……ティエリー……」


「ご、ごめんカトリーヌ、い、嫌だった? 俺、嬉しすぎて歯止めがきかなかった」


「嫌ではないですけど……私、はしたない声を出してしまって……恥ずかしいわ……」


 蚊の鳴くような声だったが、はっきりと嫌ではないと聞こえたぞ。


「最愛の君が嫌がることは絶対にしないけど、恥ずかしくて気持ちイイことは大いにするに決まっている。それにはしたないだなんて……俺を感じて乱れる君は最高に官能的で美しいよ」


「な、な、……ティエリーのえっち!」


 言われてしまった。


 彼女の信心深い両親に会った後、式を挙げるまでは一線は越えないと自分に誓ったが……艶麗な婚約者を目の前にしてこれはかなりの苦行だ。


 そこで扉を叩く音がした。


「カトリーヌさん、ティエリーさん、もうそろそろ出ないと……」


 控えめなローズの声だった。クソッ、そう言えばうちの両親と食事をする予定だった。時間制限はあったのだった。


「あっ、ハイ! ローズさん今参ります! いやだわ、もう……どんな顔して出て行けば……」


 カトリーヌは今度は青くなりながらドレスを直している。


「ごめん。でも君はどんな顔をしていても可愛いよ」


「で、でもだって……わ、私もその、あまりに……」


 今度は鏡の前で髪の毛を直し、口紅を塗っている彼女は泣きそうになっている。


「何だか出かけたくなくなったな、俺」


「えっ? あっ……うう……」


 そっと後ろから抱きしめて再び真っ赤になった彼女のうなじにキスを落としていたら今度は扉をドンドン叩く音にマキシムの声まで聞こえてきた。


「兄上ー、いい加減出てこないと俺入りますよー」


「マックス、ちょっと止めてよ! いくらなんでもそれは……」


「そうですよ、旦那さま!」


「そんなこと言ったってさ、部屋に籠って出てこない方が悪いんだよ! 何してるんだかなぁ?」


「ちょ、ちょっと!」


 扉の前でローズとマキシムと侍女のモードが三人で言い合っているのが聞こえてきた。


「しょうがない、出るとするか……ねえカトリーヌ、またさせてくれる? 式を挙げるまでお預けとか言わないよね? 次はもっと気持ちヨクしてあげるから」


「ティ、ティエリーのえっち!」


 顔を真っ赤にしたカトリーヌに再び言われてしまった。




***ひとこと***

聞き耳大女王?のモードさんは健在です。マキシムとローズまで仲間に加わっています。

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