第31話 そういうのも、あるんだあ

 雑務は午前中に片付け、俺は異世界へと向かった。

「丁度良いトラックは…?」


 交差点で辺りを見回し、手頃なトラックを見つけた。

運転手は乗っていない。

これは、野生の転生トラックだな。

「まあ、コレで良いか」


 転生に向け飛び込もうと、身構えたその瞬間。

目の前で、二台のトラックが正面衝突をした。


 と思いきや、衝突したはずのトラックは二台とも消えていた。

「??!」

俺は目の前で起きた事の意味がわからず、周囲を見回す。

トラックは欠片も残っては、いなかった。

「俺…じゃないよな。ぶつかってないしな?」


 その後は手頃なトラックも見つからず、俺は仕方なしに会社へと戻った。

一体あれはなんだったのか。


 そして退社時。

俺は缶コーヒーを口にしていた。

トラックが消えた交差点に差し掛かったが。

「???!」


 何もない空中から、二台のトラックが現れた。

それも、ピッカピカのベッカベカにデコられた姿で。


 俺はコーヒーを吹いた。

思わずトラックのステータスを覗いたところ、二台とも『転生車』となっていた。


 あぁ、そういうのも、あるんだあ。

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