第37話~基地攻略作戦~
基地攻略当日、美由紀達は作戦の確認をしていた。
「事前の情報で魔具持ちが2名、トカゲ人間40人前後、その他を含めたら60人前後常駐している、これを陽動でどれだけ引っ張りだせるかが重要でアリス、ギャラ、セマのグループで派手に暴れて欲しい」
基地の間取りの外にある広いエリアを指差しながら美由紀は言った。
「派手に暴れるだけなら任しておけ」
ギャラがそう言うとアリスが楽しそうに
「派手なのは得意だから・・」
そこまで言ったところで美由紀が
「アリス、仲間に当てちゃ駄目だからね」
「うん、頑張る、間違ってもギャラには当てないから」
ギャラの方をアリスはクスクス笑いながら見て答える、見られたギャラは顔面蒼白になっていた。
「私とトレートはカシーと水路経由で中に進入する、魔具持ちを抑えれば勝ち目はある」
美由紀がそう言うと解散して、各自準備を始めた。
その日の晩にアリスの隕石落としを合図に作戦が開始された。
遠距離からアリスとセマ達、近距離をギャラ率いる猿軍団で出てきたトカゲ人間をそれぞれ手分けをして攻撃した。
一方、爆音と同時に水路に侵入した美由紀達は障害もなく基地内の潜入に成功していた。
「司令室はここから3ブロック先だったな、カシーは外の連中の手伝いに行ってくれ」
トレートが体に付いた水を払いながら言うとカシーはまた静かに水路に消えて行った。
「美由紀、時間が無いから背中に乗れ」
美由紀は頷きトレートの背中に乗った。
「では」とトレートがそう言うと黄金に輝く鎧を纏い覚醒状態になり走りだした。
今までトレートの覚醒を見た事のなかった美由紀はとても勇ましい姿に感動した。
目的の場所まで数匹のトカゲ人間と遭遇したが、トレートの爪の前に何も出来ずに倒れていった。
「この扉の向こうだな」
トレートはそう言うと軽く息を吸い、その後口から炎を吐いてドアを溶かしてしまった。
中に入るとそこには兵士らしき数人がいて、美由紀達を見ると別のドアから逃げて行ってしまい誰もいなくなってしまった。。
「魔具持ちがいない」
美由紀がそう言った直後外から爆音が聞こえてきた。
美由紀とトレートが爆音のする方の窓から外を見ると、息の合った魔具持ち2人に対し喧嘩しながら戦ってるギャラとアリスの姿が見えた。
「魔法だって直ぐ唱えられるわけじゃないんだから時間稼ぎくらいしてよ」
と言いながら魔法を連射するアリスと
「こっちだって忙しいんだ、自分の事は自分で守りやがれ」
と魔具持ちを守るトカゲ人間を次々倒すギャラ。
美由紀とトレートは同時に深いため息をついた。
周回軌道上に浮ぶ戦艦の司令室。
「艦長、エリアAの基地が襲撃に合ってるって?」
艦長らしき男に近づきながら、その女はとても面倒臭そうに言った。
「先ほど襲撃有りと緊急通信が入ってきたんだが、ライラさん査察は延期しますか?」
艦長と呼ばれた男も面倒臭そうに言った。
「うーん、この後も予定があるし5分したら戻して」
そう言われた艦長は指示を出してライラを転送させた。
「あれはあれでいいんじゃない」
美由紀はギャラとアリスを見ながら言うとトレートは頷いた、加勢しようと振り向いた時に女は現れた。
「あれ、誰もいないじゃない・・お迎えは小娘とライオン?」
目の前に現れた女に構えるとその女が面倒くさそうに
「ちょっと邪魔だから」
女はそう言うと魔法を唱えて美由紀とトレートを機械のコード類で束縛してしまった。
「うーん、ここの2人は何処にいるのかしら、外?」
そう言うと女は外の様子が見える窓まで行って
「何やってんだか、査察の時間は過ぎてるんだよ」
女がそう言うと魔法で窓ごと破壊して外に出て行ってしまった。
一方外にいた魔具持ち2人は急に現れた上官に焦りながら。
「ライラさんこれは・・」
ライラと呼ばれた女は戦闘状態を無視して2人に近づきながら
「査察の時間は過ぎてるし、迎えは無いし、評価無しかな」
そう言われた魔具持ち2人は戦闘を続けながら言い訳をするかの様に
「しかし、この状態では」
この状態と言われライラは面倒臭そうに
「私この後予定があるから」
ライラがそう言うと魔法を唱えた、アリスとギャラと猿軍団は地面から生えてきた蔓に束縛され、空にいたセマは打ち落とされた。
「これで文句ないでしょ?後始末と報告と言い訳は」
ライラはそこまで言ったところでそこから消えてしまった。
残された魔具持ち2人は動けなくなった襲撃者達にお返しとばかりに魔法を唱えようとしたが崖の上に現れた別の軍団が目に入り詠唱を中断した。
「まったく、変なのが現れなければかっこいい勝利だったんだけどね」
聞いた事のある声の主はミコースだった。
「終わるまで手出しするつもりじゃなかったけど」
ミコースがそう言うと突撃の合図を出した。
新たに現れた敵にあっという間に基地は制圧されてしまった。
その後トレートとミコース達の同盟軍は各地にある小中規模の基地を次々と攻略する快進撃をしていた、そしてその事を聞いたいくつかのグループも加わり頭数はそれなりになっていた。
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