第35話~特訓そして再会~

交渉前日ミコースから1人で来いと言われて何となく力勝負になる予感がした美由紀は野営地の広場で瞬間移動の特訓をしていた。



とめさんからの難題に苦戦している美由紀が


「自分が行きたい場所に自分の姿を想い描いて転写する、うまく移動できないな・・なんでだろう?」


「美由紀、私の方もうまく能力が伝わっていないようだ」


「そっか私だけじゃなくてジンの方にも難題ってわけだ」


「とめさん難しすぎるよ」


頭をかきながら美由紀が言った所で美由紀の部屋の方から爆炎と敵襲の声が上がった。


「美由紀、気をつけろルナがいる」


ジンにそう言われた美由紀が声の上がった方へ行こうとした時に突然目の前に人が現れ、ぶつかってしまい尻餅をついてしまった。


そして優しい女性の声で


「あ、美由紀発見」


尻餅をついた美由紀は声の主の方を見上げた、そこにはいつぞやの研究所で会ったWD-SAS No1のアリスが立っていた。


美由紀はもう会えないだろう仲間とたとえ1人であっても会えて嬉しくなって思わずアリスに抱きつき。


「もうアリス来るなら来ると連絡くらい頂戴よー」


抱きつかれたアリスは冷静な口調で優しく。


「連絡って・・無理。ここに来るまで2年後の地球に飛ばされたり知らない星に飛ばされたり猿の軍団に囲まれたり・・ここはかの有名な何とか江戸村か?まぁ美由紀に会えたからいいか」


そんな事をしていると猿達が周りを囲いながら威嚇を始め、そこにトレート、ギャラ、セマが姿を現した。


それを見た美由紀はトレート達に自分がここに来た時と同じ様な説明をした。


その光景を見たアリスは美由紀に冷たい眼差しを送りながら。


「ライオン、ゴリラ、ワシ・・美由紀、いつから放し飼いサーカスの団長を始めたんだ」


美由紀はずっこけそうになったが、ここの事情をアリスに説明しそれを聞いたアリスは


「ふむふむ、これから嫌がらせをするトカゲ率いるサーカス団相手に他のサーカス団と連合を組みトカゲ団の公演を邪魔するのだな」


続けてアリスは今度は楽しそうに


「美由紀・・楽しそうだな、アリスも参加させてもらってもいいか?」


そのやり取りを見ていたギャラが


「そんな小さな体で何ができるんだ」


美由紀に何かがぷっちっと切れる音が聞こえた様な気がした。


そして恐る恐る音の聞こえた方を見ると笑顔で額に#の文字が浮んでるアリスがいて、200m先にある岩山を指指しながらアリスが優しい声で言った。


「小さい言ったなゴリラ・・美由紀あの山無くても問題ない?」


美由紀はこれはやばそうと思いながら。


「た、たぶん」


「次、小さい言ったらあの山と同じにするからね」


アリスはギャラにそう言いながら短い呪文を唱え、少しすると空から真っ赤に燃えた隕石が指差した岩山に次々と落ちていき山が砕けて無くなってしまった。


その光景を見たギャラは目が点になり顎が外れた様な顔をして声もでなかった。


「アリスとか言ったな、凄い力を見せてもらった、手伝ってくれると言うなら歓迎する」


トレートはそう言いながら2人に近づいてきた。


アリスは近づいてきたトレートを見ると目をキラキラさせ


「このライオン・・かっこいい、私の幻獣もこれにしよう」


そう言うと少し離れて呪文を唱え、美由紀が以前見た幻獣とは違いトレートにそっくりのライオン幻獣を召喚してみせた。


「アリスはそんな事もできるのか」


トレートはアリスに興味津々の様子だった。


「アリスは色々できるよ」


アリスはそう言うと今度は動かなくなったギャラの前に瞬間移動をして


「いつまで、寝てるの」


そう言って魔法を唱えギャラを宙に浮かせお手玉をする様に始めた。


浮かされたギャラが正気に戻ると宙でジタバタし始めた。


それを見ていたトレートが笑いながら


「アリスそれくらいにしてあげてくれ、やつも懲りただろう」


アリスはギャラをおろしてまたトレートの前に瞬間移動して戻ってきた。


そしてそれを見た美由紀が思い出したかの様に


「アリス、それどうやるの?教えて」


そして瞬間移動の特訓が始まりアリスが気が付いた。


「美由紀、自分のサイズが認識できてない、少し太ったんじゃない?」


前と同じだよと否定したが美由紀が自分の体重アップを認識すると短距離ではあるが瞬間移動が出来る様になった。


「ここ体重計ないし、食べ物美味しいし、気をつけないと」


そう思った美由紀だった。

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