第34話~異星人との遭遇~

トカゲ人間達の人数が10名との報告を受けたギャラは空から片目の大鷲セマに美由紀とギャラと猿軍団は陸から西の山に向かった。


道の無い山登りなどした事の無い美由紀はついて行けなかったが、それを見たギャラが美由紀を軽々持ち上げ肩に乗せて移動してくれた。


トカゲ人間が目視出来る地点に近づくとセマの部下が降りて来てギャラに報告をしてまた飛び去った。


「美由紀はここで見ていてくれ」


そう言うとギャラは美由紀の知らない言葉を発すると頭の羽飾りが淡く光り全身を包み込む、そして光が収まると全身に赤鎧を纏ったギャラがいた。


ギャラは雄叫びを上げてトカゲ人間達へ向かってゴリラとは思えない程の速さで突進し始め、それを追うように猿軍団も突進し始めた。


トカゲ人間達もギャラ達の突進に気づいて防御魔法を使ったが、ギャラは気にもせず防御魔法ごと数人を弾き飛ばしてしまう。


ギャラの初撃が決まったのと同時に今度は空にいたセマが大きな羽から竜巻を起こしそれがトカゲ人間に当たり同じく弾き飛ばしてしまう。


トカゲ人間達は敵わないと何かの機材を残して行ってしまった。


美由紀はトカゲ人間達が残した機材を破壊しようとしているギャラに待つ様に言うと近づいて置いて行った物を見た、そこの中に10円玉位の黒い石が入った袋を見つけた。


これは何だろう?と見ているとジンが


「それは黒霊石だと思う」


「黒霊石?」


「それにある加工を行うとエネルギーを発生させ、量があれば戦艦を動かしたり兵器なんかも製造できる代物だ」


「これが目的でこの星を?」


「多分、奴らの目的はそれで間違いないだろう」


戻ってから美由紀はその事を説明するとトレートは


「我々にとってはただの石ころだが、この星のいたるところを穿り返されたら困る」


「黒霊石の採れる所にあいつらの基地か何かがありそうね、1箇所づつ潰していくしかないか」


美由紀は少し考えながら言うとトレートがため息をつきながら


「今までもやっていたがあいつらに対抗できる人員が不足していて」


「この星の他の獣族グループはいないの?」


そう美由紀が問うと


「まだ我々と同じく戦ってるグループもあるが、殆どがこの長い戦いで数が減り、戦闘放棄したグループや諦めて辺境で暮らしている獣族がいる」


「もう一度一緒に戦う事は不可能なのかな?」


トレートは少し間を空けて


「交渉しているグループもあるが、消極的で何か戦うきっかけがあればいいのだが」


「その交渉しているグループと私は話はできるのかな?」


「可能だが、何故?」


「私が話してみたい」


トレートは少し考えてから了解した。



翌日、美由紀はトレート達と今後の作戦や方向について話合っていた。


「私達が囮役で向こうのグループに基地をやってもらう、どうせ狙うならなるべく大きな基地を叩いて、戦闘意欲をなくした獣族にアピールしたいね」


「確かに交渉材料には効果的ではあるが」


美由紀とトレートの話を聞いていたギャラが


「で、どこのやつと話をするんだ」


トレートはニヤっとしながらギャラに


「ミコースのところだ」


ミコースと聞いたギャラは顔を真っ赤にして怒り口調で


「何であいつのところなんだ」


「この作戦に間に合う人員を確保しようとするとミコースのところしかないしな、今回は諦めろギャラ」


そう言われたギャラは真っ赤な顔のまま部屋を出て行ってしまった。


何が起きたのか分からない美由紀はトレートに


「ミコースとギャラには何か因縁でもあるの?」


「因縁?2人は幼馴染で元恋人同士だ」


トレートは笑いながら美由紀に言った。


美由紀は人間と同じで複雑なんだなと思った。


ギャラ不在のまま話が終わったところで伝令の猿がやってきてミコースからの返事内容をトレートに報告していった。


その報告を聞いたトレートはため息をつきながら美由紀に伝えた。


「2日後に指定した場所に美由紀1人で来るようにと・・ミコースらしいやり方だ」

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