第31話~終わる時、始まる刻 後編~
非常灯だけの明かりがある部屋に3人はいた。
「予定通りだな、ここからの道順は記憶に伝えた通りだ」
そう言ったのはジンだった。
3人はジンから教わった通りの道順で進んで行った。
途中、トカゲ人間と何度か交戦をしたが特に問題なく目的の司令室に辿り着いた。
「この扉の向こうに・・」そう美由紀が言おうとした時に扉がゆっくり開き始めた。
扉が開き終わると中にはダークソードと新浜の姿があった。
「随分早いお出ましだな」
そう言ったのはダークソード
「いや、予定通りだ」
続けて言ったのは新浜だった。
3人が部屋の中に入るとダークソード両手を広げながら全面のいくつかの都市を映し出すモニターを見ながら。
「いい景色だと思わないか?我々の支配する星になる瞬間に・・」
そう言った後に新浜が3人の方を見ながら。
「いい景色とは思わないけど、君たちはどうするのかな?」
「この状況からすると私たちを討伐ってところかな?」
「なんで?」そう美由紀が新浜に言おうとする前に新浜が淡々と
「裏切りとかじゃなくて、元々こう言うシナリオだったんだよ」
「正義と悪の組織がいて常に5分5分の状態に保ちながらルナの絶対数を減らし、そこに圧倒的な数で侵略する・・・随分、大掛かりなシナリオだったけどね」
「ちなみに西谷君と会うのもシナリオの内だったんだよ」
美由紀は皆が利用されていた事と普通の生活を奪われた事に腹が立っていた。
「新浜さん、私は従わない・・その為にここに来たのだから」
美由紀はそう言うと、破壊魔法を新浜に向けて放った。
新浜は避ける様子もなく、魔法を受けその場に倒れこんだ。
「ダメじゃないか、それが無くなると会話が出来なくなるじゃないか」
新浜がSK支部で飼っていたブルドックが現れルナ間通信で3人に話しかけてきた。
今まで新浜にルナがいると思っていた3人は衝撃を受けその瞬間に隙が生まれた。
「犬じゃ喋る事ができないし、腹話術みたいなものだよ」
そう言った犬が3人の視界から消え片山と法亢の前に現れ次々にネコパンチならぬ犬パンチをしてノックバックさせて気絶させてしまう。
「私は次の準備があるから西谷はダークソードに任せる」
そう言うとブルドックは司令室を出て行ってしまう。
動揺と一瞬の事で動けなかった美由紀がブルドックを追いかけようとしあが、その前にダークソードが立ち塞がる。
「君の相手は、この私だ」
ダークソードはそう言うと細身の剣を具現化させ同時に魔法を放って襲いかかってきた。
美由紀は魔法と魔具で応戦するのが精一杯だった。
ダークソードは攻撃をしながら嬉しそうに
「橋本の報告では融合したんだろ?早く見せてくれ、遊んでる時間もそんなに無いんでね」
ダークソードはそう言い終わると美由紀から少し離れて魔法を唱えた。
美由紀は魔法に備えて構え直したが、その魔法は美由紀に向けた物では無かった。
美由紀の後ろでピキピキ音がして、振り向くと片山と法亢が徐々に氷の塊に包まれていた。
「数分で綺麗なオブジェの完成だ」
ダークソードはそう言うと凍りかけの2人に別々の火球の魔法を放った。
美由紀は2人に前に立ち塞がり片方の火球に破壊魔法を放ち、もう一方の火球を魔具の盾で防いだ。
防いだ?と美由紀が思った次の瞬間、胸に何かが刺さる痛みが走った。
美由紀は痛みのする方を見ると、細身の剣が刺さっている事に気づき、そして全身の力が抜けていき床に倒れてしまった。
「せっかくここまで来たのに・・ごめんね・・雪ちゃん・・希望ちゃん・・みんな・・」
薄れゆく意識の中で微かな声が聞こえた。
「私の名はオーグ失われし魔具意思を継ぐもの・・私を助けてくれればお前を助けてやろう」
「・・助けて」とだけ美由紀は答えた。
「失われし魔具の意思を継ぐ者と承認した」
「また会う日を楽しみにしている」
オーグと名乗った声はそこで終わった。
ダークソードは横たわる美由紀の胸に刺さった剣を抜き取ると笑みを浮かべながら。
「魔具は頂いておくとするか」
ダークソードは美由紀の腕にある魔具に手を伸ばそうとした瞬間だった、魔具から眩しい光が放たれた。
光が収まるとそこには倒したはずの西谷が漆黒の鎧を纏って立っていた。
元々ポニーテールで茶髪だった髪は白銀に染まり結びが解けキラキラと漂っていた。
「これが融合か・・・」
ダークソードはバックステップで美由紀から離れると薄笑いを浮かべながらそう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます