第32話~果てしなき時と刻の中に・・ 地球章最終話~

漆黒の鎧には機械的な羽が2枚と蠍の尻尾の様な物が2本生えていて、右手には鎧と同じ色の剣と左手の腕には備え付けの盾があった。



前回の融合とは違い美由紀には意識と強い意思があった。


「元の世界に戻す」



ダークソードは焦っていた、楽勝ムードから一転し苦戦していたからであった。


「融合の力がここまでだとは・・」


「止めた方がいいよって言ったじゃない、無理に融合させちゃうから」


ブルドックからのルナ間通信が入る


「ゾーハの方はどうなってる」


「味方で無い融合体の存在のお陰で、こっちは大もめでーそっちもそろそろやばいんじゃない?」


「やばいどころか、く・・苦戦している」


ダークソードは苦虫を噛んだ様な表情で答える。


「こっちは宿主変えたんでーとりあえず脱出させてもらうわー生きてたらどこかでー」


「な!」


一方的にルナ間通信を切られ、目の前からは融合体となった西谷が徐々に近づいてきていた。


ダークソードは知りうる魔法を放ったが西谷の剣でかき消されてしまった。


ダークソードは西谷に背を向けて、制御コンピューターをいじり始めた。


西谷は背を向けたダークソードに近づき容赦なく剣を振り下ろした。


ダークソードの頭から切られた勢いで床に仰向けに転がった。


「もう終わりだ・・」


そう言い残すとダークソードは動かなくなった。


少しすると照明が非常灯に変わり艦内放送が入る


「本艦の自爆装置が作動しました・・・」


美由紀は急いで転送装置へ片山と法亢を魔法で運び脱出をした。



数分後衛星軌道上に現れた戦艦は爆発を起こし跡形もなく消えてしまい、根のコントロールを失ったトカゲ人間達は根の暴走により各地で消滅していった、後日UDS所属の柳と橋本は死体で発見されたがルナは既に別の宿主に移動していた。



脱出の翌日、西谷、片山、法亢の3人は約束のネズミーランドで楽しんでいた。



「本当に言わなくていいのか」


「うん・・」


「契約とはいえ、地球を離れるのは寂しい事だ」


「戻る場所があるんだから・・いつかきっと・・また会えるよ・・」


ジンと会話を終わらすと美由紀は涙が溢れてきた。


「美由紀ちゃん?何で泣いてるの?」


「皆でネズミーランド来れて、嬉しくて」


片山に泣き顔を見られ、ついそう答えてしまった。



楽しい時間を過ごした美由紀は片山と法亢と別れた後に岸田に報告とこれからの事について話をしていた。


「それで、その星にこれから行くって事かい?」


「はい、契約してしまったし、もうじき迎えが来るそうなので・・」


「皆には言ったのかい?」


「いえ・・」


「そうかい・・皆には新しい任務でと、わしの方から言っておく」


「とめさん・・ありがとう」


そう言うと美由紀はまた涙が溢れてきた、岸田は美由紀の頭に手を置きながら。


「必ずここに帰ってくるんだよ、わしはもう生きてないかもしれないかもだけどな」


そう岸田が言うと、美由紀の記憶に瞬間移動についての情報が流れてきた。


「これはわしからの宿題だ、ちゃんと習得するんだぞ」


美由紀は岸田と別れ自分の部屋の戻って出かける準備をしていた。


「ごめんねジン・・変な事に付き合わせて・・」


「何かと新しい事が多くて私は退屈しなくていい、前任者もそうであったが戦い以外の事を多く学んだし美由紀と言う存在が私にはとてもユニークだから」


「何それ、それって私が変?ってこと」


「はっきり言って今までの宿主の中では2番目に変だ」


「2番目って・・1番は前任者?」


「酒、タバコ、ギャンブル、自由人と言えば聞こえがいいが・・」


そうジンが言ったところで目の前がブラックアウトして、次の瞬間にとある部屋の中にいた。



WD-SASは改めて地球外生命体ルナの存在を世界に公表し人類は共存の道を選んだ。


そして新しい時と刻が始まって行った。



【あとがき】


地球章の最後まで見ていただいた方々に感謝しています。


地球章がここで終了となり、次話から「とある部屋」から始まる「なろう」では「時と刻の交差点2」をこのまま続けてアップしていきます。


ではでは「アニマル編」でお会いしましょう。

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