第30話~終わる時、始まる刻 前編~

薄暗い部屋の中に新浜がいていつものモニターとの会話。


「ゲートの準備の方は大丈夫かね新浜君」


「後2日もあれば開くと」


「では予定通りに」


「お待ちしております」


そう言うとモニター自体が消え、いつもの長官室では無く別の部屋に戻る。


「これで全てが終わる」



美由紀は目を覚ますとそこはまた病院だった。


後で聞いたが埋もれた瓦礫から救出されて3ヶ月間の期間意識不明だった。



美由紀が現場復帰最初のSK会議で事件を知った。


新浜が1ヶ月前に支部のシステムを破壊して行方不明になっていて、岸田が中部と関東支部の兼任の支部長になっていた。


そして新浜がいなくなった日からUDSの動きも止まり平和な日々が続いていた。


それから2日後事件は起きた。


地球の北半球のから膨大なエネルギーが放出され北極の上の軌道上に集まりゲートが生成されそこから幅2km全長4kmの機動戦艦が現れた。日本からは山梨の湖から放出された。



戦艦が現れてから1時間後全世界に向けてゾーハを名乗り宣戦布告放送が流れた。


そしてその映像に表れたのが新浜とダークソードの2人だった。


宣戦布告から1時間後戦艦から多数の小型艦が放出され世界各地に降り立った。


小型戦艦からは美由紀の夢に出てきたトカゲ人間が現れ各主要都市とSAS支部を次々と占領して行った。


唯一対抗できたSKではあったが多勢に無勢だった。



宣戦布告から5時間後、とある地下にある部屋に美由紀を含む各地から集まったSKら数十人がいた。


全員に書類を配った岸田が大きな声で


「では作戦を伝える」


「装置及び転送メンバー防衛は長谷川を含むメンバー」


「バックアップは中神と情報系のメンバー」


「転送メンバーは西谷、片山、法亢、荒川、ジェニ」


「転送はわしが行う」


「開始時刻は今から1時間後、それまで各自準備を行うこと」


「それと転送メンバーは会議終了後ここに残るように、以上」


そう岸田が言うと会議は終了した。


作戦はゲートに使用された山梨のエネルギー装置を利用して直接戦艦内にSKを送り込み新浜とダークソードを倒すと言う内容だった。


残った転送メンバーに詳しい詳細が話される。


「転送先は最深部にある格納庫内で」


「戦艦の内部構造はジンが知っている」


「そして、帰りは艦内にある転送装置を使い帰還する事になる」


「戦艦にはゾーハ幹部共はいないと思うが決して油断しないように」


「以上だが、何か質問は?」


その場にいた全員が「はい」と答え各自準備の為に部屋を後にした。


これで終わればいいのだが・・そう考えた岸田だった。



転送装置付近に作戦にかかわるSK全員が揃っていて、辺りは薄暗く気味が悪いくらい静まり返っていた。


装置周辺の水は干上がっていて、何の問題も無くたどり着いた。


たどり着いて少しすると上空に小型艦が数十隻姿を現した。


「ちと、多いな」


舌打ちしながら岸田が言うと同時に小型艦からトカゲ人間が降下し始めた。


「とめさんここは私達が」


そう長谷川が言うと岸田は頷き装置を動かし始め、転送組みに動かないように指示した。


長谷川の号令と共に装置を中心にSKとトカゲ人間との戦闘が始まった。


小型艦からの攻撃と圧倒的な数のトカゲ人間で徐々に押して来た。


「とめさん、これじゃ転送する前に」


そう言ったのは荒川だった。


「まいったのー転送組みは万全の状態で・・」


そこまで言いかけた時には荒川はトカゲ人間に突撃し、ジェニは魔法を唱え始めた。


やれやれとした顔をしながら岸田は残った3人に「始めるよ」と言った。


その時だった、上空にいた小型艦が数隻爆発し煙を上げながら墜落して行った。


見上げると煙の中にアリスの姿があり、アリスは装置の方に一礼し残っている小型艦に向け魔法を唱え次々に撃墜していった。


岸田はこの時を逃すまいと魔法の詠唱を始め、西谷、片山、法亢の3人の転送に成功させた。

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