第4話 自己紹介タイム
(……なんだ? この人形、GM的な立ち位置なのか?)
俺は頭だけを回転させ続ける執事を見てそう思った。
「なんだてめぇ、頭回しまくりやがって、バカじゃねぇのか!?」
トサカ頭が、執事に怒号を浴びせる。
だが、執事もただの人形なので、全く動じることはなかった。
『会議の時間です。代表を決めてください。時間は30分です』
執事が機械のような声でそう言った。
30分、て長いな……。
「じゃあ、ここにいる皆でまずは自己紹介をしよう」
一人の男性が、落ち着いた口調でそう切り出した。
「僕は
和也という男はその話を笑って済ませた。
確かに、コンビニ店員の服装をしている。
「次は私、ですかね……」
眼鏡をして、三編みの陰気そうな女性が続けた。
「
「あ、はい」と、皆で察して答えた。
「じゃあ、次は私かな」
活発そうなショートカットの女の子が始めた。
「
……この子はまだ何にも知らないんだなと、少し哀れむような感情になった。
「あー、めんどくせぇ」
トサカ頭が、他所に目をやりながらだるそうに心ない声で言った。
「
やる気のないやつだな……。しかも、全然死を悲しむ心が見えないんだが。
死んだあの人が報われないな。関係ないけど。
「と言うわけで、俺の番っすね!」
次は、雨戸や俺と同じくらいの、ヘッドフォンを首に掛けた男が自己紹介を始めた。
「俺は
「うっさい、発狂マン」
雨戸が真野を睨み付けて言った。
(あれ? さっきまで元気一杯のキャラだった筈なのに、どうしちゃった?)
「あ、麗那ちゃん結構暴言吐きますけど、俺だけなんで気にしないでくださいね!」
あ、成る程。俺はそれで納得したが、お前は気にしろよとも思った。
じゃあ次は……。
俺は次の席に視線を移した。
「………」
その子は猫耳のフードを被った女の子の様だったが、ゲームをして一向に喋ろうとしなかった。
「えっと、君にも自己紹介してほしいんだけど……」
和也が呼び掛けると、女の子は一言だけ発した。
「
それだけで、ゲームに夢中なのかそれ以上のことは話そうともしなかった。
「よし、名前だけでも聞けたんですし、もういいんじゃないんすかね?」
真野は次の人へと切り替えるように言った。
じゃあ次は……。
「次は俺か……」
俺は皆と目線が合うようにして始めた。
「
それだけ言って、俺は次の人の方を見た。
「「じゃあ二人で行かせてもらいます」」
堅い口調で、一気に男性二人が自己紹介を始めた。
「僕は
「
二人が俯いてしまった。
「それは、早くこのゲームを終わらせないといけないね」
和也が慰めるように微笑んで言った。
「はい」、そう答えて二人も顔を上げた。
「だが、自己紹介なんかして良かったのか?」
鳥飼が、その円満な空気の中、そう言った。
「? 鳥飼、何言ってるんだよ?」
俺は鳥飼に質問するが、鳥飼は執事に言った。
「なぁ執事! 今日は誰か死ぬのか?」
執事は鳥飼の方に首を向けて言った。
『はい。今日から代表を決め、一人を殺害します』
「うんうん、そうかそうか」
鳥飼は納得したように腕を組んで、首を小刻みに縦に振った。
「じゃあ今日、この中で一人は死なないといけないという訳だな」
鳥飼がそう言うと、部屋の中は不穏の空気で満たされた。
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