ソシテレイワガハジマル

 旅に出ると行って、五日で帰ってきた僕を見て、シェアハウスをしている友人は大爆笑した。

 目的を果たしたのだから、いつ帰っても良いだろうと言いながら土産を渡すと、彼は黙ってくれた。

 「それで、目的って何だったんだ」

 彼が聞くので一言、「勇気」とだけ答える。

 すると彼は、やっぱり笑いながら言う。

 「俺にそれを言える奴が、勇気が無いとは思えないけどな」

 「うるせぇ」

 「でもよ、前より良い顔してるじゃんか」

 彼がらしくない事を言うので、少し照れくさくなった。

 「飯、買って来るわ」

 「後にしろよ、ほら」

 そう言って時計を指差すので、見ると『23:58』を示している。

 「あぁ、そうか」

 僕は彼の隣、テレビの前に腰掛ける。

 しばらくして、カウントダウンが始まる。

 3…2……1!


 平成が終わり、令和が訪れる。


 「令和もよろしくな」

 「おう、こちらこそ」


 窓から入った涼しい風が、新たな時代を感じさせた。

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