第4部 理想郷の夏祭り《2》
少し改行を入れました。以前ご意見をいただいていたのですが、今まで投稿したぶんも、ぼちぼちと改行を入れていきたいと思います。m(__)m
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「わぁー、しゅごい! しゅごい!」
私は
見た目、スカイツリーと東京タワーが見える、都心の高級マンションの高層階にあるこのお部屋。その部屋に、ど〜んと4K液晶50インチのテレビが
もちろん、ホームシアターシステム完備。そこに映し出される映像の美しいことといったら!
一緒にきているマージェさん達のお口が、あんぐりと開いてるからね!
画面には、某テーマパークのクリスマスイベント、少年合唱団とプロジェクションマッピングによるクリスマスの奇跡の一部が上映されている。去年の冬にTVで特集された時の映像らしい。
あぁ、こんなこともできるようになりたい、無理だけど。
移動遊園地を作る時に “何か季節ごとのイベントができないかなぁ” と思って、映像を探してもらったの。
私的にはここまでのものじゃなくて、ヨーロッパのクリスマスマーケットの時期に某国の市庁舎のバルコニーや窓辺で行われる、天使に
だから、こう言う映像も参考までに見て欲しいけど、これがやりたいわけじゃないからね! 今日皆に見て欲しいのは、遊園地の映像だよ!
天使達がすっごいガン見してるから、最後までみるけれども。
ダンジョンマスターいわく、天使達がこの映像を気にいってるらしくて、本日五回目の上映らしいよ! そこまでか? まぁ、同じ天使だけど。
今日、一緒にダンジョンマスターのお部屋にきたのは、錬金術の箱の研究所のマージェさん。同じく、研究所所属の設計担当メティイストさんと、建築担当のチャルペンティストさん。明後日、お姉さんに遊園地と夏祭りに連れてってもらうんだけど、その前に映像で勉強してもらいたくて、きてもらったの。
某遊園地やテーマパークの映像を見ながら、メリーゴーランドやコーヒーカップに、キッズコースターや回転ブランコ、バイキング海賊船や観覧車なんかを見てもう。この他に遊具の書籍も買ったからね。
一通り映像を見て勉強したあと、皆でハリウッドの特撮映画を見たんだけど、
「うぉーー!!」
「すげぇーー!!」
「ぎょーー!!」
と大声を出して
ちなみに、魔獣さん達も、目からビームが出たり、手から炎が出るたびに “ガウー!!” “ガオー!!” と叫びながら仰け反ってたけど、これ特撮だから!
魔獣の皆さん、普通に口から炎とか氷とか出るよね! みんなの方がすごいから!! ツッコミどころ満載だよ!!
さて、今日は遊園地に行く日ですよ! 遊園地、楽しみ〜♪
今日一緒に行くのは、今後のことを考えて、お祖父様とお母様と私とトルキーソ、そして研究所のマージェさんとメティイストさんとチャルペンティストさん。
こんなに大勢で行けるのかって? それはね、お姉さんが8人乗りのミニバンのレンタカーを借りてくれたから大丈夫なの。お姉さん、ありがとー!!
早朝に皆で集合して、いざ出発でしゅ。
「すご…い…」
「こんな乗り物があるなんて」
お祖父様やお母様、トルキーソや先月向こうお店に行ったマージェさんは車になれてるけど、メティイストさんやチャルペンティストさんは衝撃的だったよう。まぁ、最初はそうなるよね。
ワクワクしているうちにつきました! 遊園地です♪ 車から降りて見ると、大きな観覧車やジェットコースターが見えて、それだけで気分はアゲアゲですー♪ パタパタと、お祖父様とお母様の周りをスキップしたのは言うまでもありません!
お姉さんいわく、この遊園地は天空の城に行く整備された道の近くにできた、最新式の大きな遊園地にお客さんを奪われ、夏休みのこの時期にしては人が少なく待たずに遊べるんだって。
その話を聞いた時、両手をあげて “わぁ〜い♪” と、喜びましたとも!
あちらの世界で移動遊園地を作りたいだけだもん、最新式である必要はまったくなし! 待たずに乗れれば言うことないし、ここにはプールもあるんだよ! あちらの世界にも、プール作れるかな?
「あの、ちろい、おうみゃしゃんに、のりゅ!」
私は、真っ白な馬体に金色の
綺麗なお馬さんを指差して言えば、お祖父様やお母様達が先に乗ってくれて、私はちゃんと希望のお馬さんに乗せてもらいましたよ。“わぁ〜い♪”
手回しオルガンのような曲が流れるなか、上下に動くメリーゴーランド。お姉さんが外でビデオを回してくれているので、お姉さんに向かって手を振ります。
「もっかい、のりゅ」
ルンルン気分の私がもう一度乗る間、今度はマージェさんがビデオを回す。メリーゴーランドの設計に必要な資料のための撮影で、人は映ってない。たぶん。
「うぉーー!!」
「回るーー!!」
「おとなけにゃい」
そう、大人げないよ! 回せばいいって言うもんじゃないよ!
隣で、ぐるぐると音がしそうなほどコーヒーカップを回すメティイストさん達を横目に見ながら、私はお母様とお姉さんと一緒に普通にのる。コーヒーカップ、乗ってるだけで楽しー♪
「かぁいい」
目の前のキッズコースター、普通のジェットコースターと違って、小さい子供も乗れるやつ。乗り物の形が、てんとう虫さんで可愛いですー♪
速度もジェットコースターに比べると遅いし、
でも、皆には初コースターです! こんなゆるい感じのコースターなのに、後ろでギャーギャー言ってるのがちょっと恥ずかしいよ!
あちらの世界ではね、こう言う感じのコースターがいいと思うの。
その後、普通のジェットコースターに乗る皆をお姉さんと見て、様々なアトラクションに乗った。マージェさん達は、時には気絶しそうになりながらも、どれも一度目は乗り次は撮影するを繰り返している。
並ばずに乗れるって、素晴らしい! お昼ご飯を食べて、次はプールへ。
「うぉぉーーー!!」
「ぐぉぉーーー!!」
「ぎゃぁーーー!!」
隣の大人用のプールの中にある、ウォータースライダーから聞こえてくる叫び声は、きっとマージェさんとメティイストさんとチャルペンティストさん。
いいもん、いいもん。私は幼児用の浅い浅いプールに入る。
ぽてぽてと歩いて見つめれば、それは幼児も滑れるウォータースライダー。もはや、ウォータースライダーと言うよりは、角度のない滑り台だよ! 私も大人用のウォータースライダーを滑りたいー!!
プールとプールの間の通路から、こちらをニコニコ見ているお母様に見守られながら
「よいちょ」
私は一応上に行って、角度のない滑り台に座って、そこから滑りおりてみる。
“おっ、これはこれで……”、私はまたぽてぽてと歩いて滑り台の上へ。
「よいちょ」
と、滑り台の上に座ると、今度は両手をあげて滑ってみる。
「わぁ〜い♪」
あれ、何気に楽しー♪ 2歳の私の身体には、ちょうどいいかも!
私はまた後ろを振り返り、ぽてぽてと歩いて行く。心の中ははルンルンでしゅ♪ さぁ、滑り台に座って、両手をあげて、わぁ〜い♪
今度は、水のカーテンに行ってみるの。さぁ、両手を横に広げて、水のカーテンに突撃! あっ、これ楽しー♪
キャッキャッ言いながら、今度は水のカーテンの中から外に向かって、ゴー! 面白いー♪
お母様から呼ばれるまで、一人で元気に遊んだよ。さすがにお母様は、現代日本の水着は着れなかったの。あちらには、まだ水着がないからね。お祖父様達は、普通に着て遊んでるけど。
一人でもいいんだ、私には水着の左側の絵柄の可愛い感じの恐竜、 “がぉーくん” が一緒だから。
プールのあとは、先月スーパーで買っておいた甚平を着るのです。ちなみに、お祖父様とマージェさんも、先月スーパーで一緒に甚平を買ったのよ。
日本の夏は蒸し暑いから、カラッとした暑さのあちらの世界の夏と比べると、暑くて大変なの。だから今日は、麦茶のペットボトルとスポーツ飲料と経口補水液も持ってきてるんだ。
ミニバンに乗って、次は夏祭りの神社へ。お姉さんのお話だと、ここ数年は天空の城の観光客もこの神社の夏祭りを見に来るそうで、私達が行っても違和感はないんだって。
うん、確かに違和感なし。普通に外国の方もけっこういる。駐車場に車を置いて、神社に向かう階段をのぼると、長い道の両端にたくさんの屋台。
わぁ〜屋台だぁー。奥の方に神社が見えて、今日は神話を題材にした人形劇が行われるんだって。素敵!
まだ時間的に夕方と言うことで、そう混んではいない。今のうちに、皆で屋台見学だよ!
「息子達も、連れてきてやりたいよ」
「たくさんの屋台にゲーム、あちらにはないものばかりだ」
「さらいちゅう、なちゅまちゅり、しましゅ。かちょく、ちゅれてくゆ」
再来週、あちらの世界でも夏祭りをするからね! 家族の皆を連れてきて。息子さん達も喜ぶよ。メティイストさんとチャルペンティストさんに、私はビシッと言った。
「そのためにも、よく見学しておかないと。」
マージェさんの言葉に、頷く。
「あっ、やきもろこち。いゆ」
焼きモロコシだよ、買って行こう。お祖父様の手を引いて屋台へ。
ダンジョンマスターに、お姉さんに渡したコンクパールのディアドロップ型のペンダントと同じ物をもう一つもらった。何かと、言葉が通じた方がいいからね。
今度のは、
できたてを買って、こっそりトルキーソの手提げ袋の中に潜ませたマジックバッグの中に入れる。そうすれば、お屋敷に帰ってからも、皆熱々が食べられるからね。
皆で屋台を見て買って、金魚すくいや水ヨーヨー、輪投げや射的をして、屋台の奥にある休憩所で夕飯タイム。
「おねえしゃん、ちゅかれ、ない」
「うん、大丈夫。これ、飲んだし」
そう言って、お姉さんは栄養ドリンクの空き瓶を見せてくれた。なれないミニバンを運転してもらって、しかも早朝からだ。
本当に申し訳ないないけど、車の運転はお姉さんしかできないし。お姉さんに、いっぱいお礼をしないと。
私は靴を脱がせてもらい椅子の上に立つと、小さな両手でお姉さんの肩をトントンした。お姉さんは、“うふふ” と笑って
「私もね、再来週の夏祭り、楽しみにしてるの。初めて街の広場まで行くし、グーちゃんのお家にお泊まりもするし、たこ焼き作り、腕が鳴るわ。今日のことが再来週の夏祭りに繋がると思うと、何だかワクワクするの」
と、言った。
そう、再来週のあちらの世界の夏祭り、お姉さんもお手伝いをしにきてくれるのです! そしてそのままお泊まりですよ。
お姉さんはたこ焼き作りが得意らしく、私も楽しみです♪
あっ、人形劇の時間です。人形劇を見て、皆でお家に帰りましょう!
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一口メモ
エスペラント語 → 日本語
メティイスト → 職人
チャルペンティスト → 大工
次回投稿は18日か19日が目標です。
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