第4部 理想郷の夏祭り《1》
「ふぉ! かりぇー、にゃの!」
お姉さんのお家の台所から、カレーの匂いがします!
今日は “ぽち” の日。今夜から、ネット通販の会社のセールが始まるんですよ。頑張って “ぽち” して買うぞー! おー!! と、玄関で両手を
私とキャメリアとぺルルは、“ぽち” のお手伝いをするため、今日はお姉さんのお家にお泊まりなのですよ。
今世初のお泊まり、気分はルンルンです♪
そんなルンルン気分を、さらに高めるカレーの匂い! 思わず台所まで、クンクンしちゃいました。
「おねえしゃん、おじゃま、しましゅ!」
「あらグーちゃん、いらっしゃい」
「かりぇーの、においー」
「うふふ、今日の晩御飯はカレーよ。グーちゃんはこれね」
そう言ってお姉さんが見せてくれたのは、子供用のレトルトカレー。
わぁーい♪ 私もカレーが食べれます! 前世ぶりのカレーですよ、ワクワクしちゃいます!
“うれちぃー♪” とカレーを両手で握り締め、お姉さんの周りをグルグル回ったのは、言うまでもありません!
お姉さんは、キャメリアとぺルルと一緒に食べるカレーを作っています。
「キャメリアちゃんとぺルルちゃんは、カレー大丈夫かな。甘口にしてみたんだけど」
「あまくち、たぶん、たいちょーぶ♪」
キャメリアとぺルルを見上げ、レトルトカレーの箱を持ったままコクンと頷く。
キャメリアとぺルルは、“カレーって何ですか?” と、首を傾けてますよ。そーでしょう、そーでしょう。カレー、未知との
お姉さんの話によると、お屋敷の方も今日はカレーらしい。
実は料理長、ダンジョンマスターから日本語が読める眼鏡を貰ったの。まぁ、100均の眼鏡をダンジョンマスターがチートな能力で、日本語が読めるように改造してくれたんだけど。ほんと、ちーとー。
実は料理長、簡単な料理用語の日本語は読めるようになったんだよ。スゴいよね! 料理長は勉強家なの。えっへん! 思わず、私が胸を張っちゃうのよ。でも、読んだだけじゃわからないこともあるから、時々お姉さんの所に聞きにきてるの。
お姉さんのお家にきて、夜の “ぽち” の準備をして、お昼を食べてから夜に備えて、いつもより遅い時間にお昼寝をしましたよ。
いつもなら夕食を食べ終わっているくらいの時間に起きて、それから待ちに待ったカレーをニンマリしながら “うまうま〜♪” と食べて、湯船に使ってからお姉さんのお家の居間でマスカット味の乳酸菌飲料を飲んで、歯を磨いてから皆でパソコンの前で待機〜!
のはずが……。
「むみゅ……」
右にコロコロ、左にコロコロ、そして “はっ” と思い出して飛び起きましたとも!
辺りを見渡せば、窓の外は薄明かるくなっていて、お姉さんもキャメリアもぺルルも、ローテーブルの近くのお布団で寝ていました。
「にゃんで、おひゆね、しちゃのに」
そう、夜中に起きているために、遅い時間にお昼寝したのにー。セールが始まる時間の記憶もないよ!
「うむぅー」
私は一人、唇を尖らせる。むくっと両手をついて起き上がり、ローテーブルにとてとて歩いて行くと、テーブルの上に置かれたリストを手にとりました。
買えた物には丸印がついている。買えなかった物は無印だ。
「ふみゅ」
買えなかった物もあるけど、まぁ予想の範囲内の成果です。私はパソコンのスイッチを入れると、色々と見て回る。
「あっちゃ!」
やったー! と、画面をガン見です。昨日のお姉さんとの会話。
「グーちゃん、来月花火大会があるの。
「みゆ!」
私は嬉しくて、ぴょんぴょん跳んだ。花火だよ! あの日本の風物詩、花火大会が見れるんだよ!
「はにゃび、たのちみ!」
「そう言えば、来月には下の神社で夏祭りもあるよ」
「にゃちゅまちゅり!」
「屋台もでるよ」
「やちゃい! いきましゅ!」
行きます、行きますとも! 行くしかないでしょう! 私はお姉さんを、キラキラした瞳で見つめました。
で、その時思ったの。“あっちの世界の領民の皆にも、夏祭りを見せてあげたい” って。“貧しく、苦しく辛いばかりの生活の中でも、夏祭りの日と言う楽しい時間があってもいいじゃないか” って。
だからね、色々買いそろえたいの。色々な所で価格を確認しつつ
「きんきょ、ちゅくい。わにゃげ。ちゃてき。みちゅ、よーよー……」
金魚すくい一式、輪投げセット、射的セット、水ヨーヨーセット、シャボン玉に、ベビーカステラメーカーにベビーカステラミックス、わたあめメーカーにカラーザラメ等々。
スーパーボールとか水鉄砲とか光る○○みたいな、あまり現代的な物は買わない。あっちでも作れそうな物だけ買う。
電気は無いけど、そのへんはダンジョンマスターのチートで何とかしてもらおう。うん、ダンジョンマスターの手腕に期待なの!
これで、夏祭りできるかなぁー。
色々 “ぽち” して数日。
「お嬢様、何してるんですか?」
「ぷーゆ、でしゅ!」
私は、ビシッと指差し言った。
一番早く届いた物の中に、ファミリープールと浮き輪のユニコーンとエアーポンプがあたったのです。そして水着も。だからさっそくプールを作って、水を入れてもらっているのですよ! お母様とお祖母様も椅子を持ってきてもらって、足だけプールにつかるようです。
「出来ましたよ、お嬢様」
「わぁー、ありあと!」
「お嬢様が着ているそれは?」
「みちゅぎ」
この水着、可愛くてお気に入りなの! “えっへん” と胸を張ると、左側の絵柄の可愛い感じの恐竜が “がぉー” って言ってる感じがする。するだけ、だけど。長袖だし、足も半分くらい隠れてて、日焼けもしなさそうなの。
“いいでしょう♪” と、マージェさんに見せる。どうせ一枚は、錬金術の箱行きですからね。それはそうと、マージェさん。
「らいちゅう、むこーのおみちぇ、いきましゅ。いっちょ、いく?」
「いいんですか! お嬢様!!」
“向こう世界のお店に連れてくれー” って、それはそれは言ってたからね。
今週は、お祖母様と料理長とノワイエと行って、料理に必要な物を買うんだ。だから、来週どうかな? で、お願いがあるの!
「らいげちゅ、いってほちぃとこ、ありましゅ」
「来月、ですか」
「あい! らいちゅう、おみちぇ。らいげちゅ、ゆーえんち、いきましゅ!」
「ゆーえんちって、何ですか?」
「いくと、わかりましゅ。いくまえ、たんじょん、まちゅたーの、とこいきましゅ。ちょこで、ゆーえんち、ぺんきょーちて、いきましゅ」
「勉強して行くような所なんですか?」
「ゆーえんち、たのちぃ♪ りゅんりゅん、にゃの!」
マージェさんの頭の上に、??? が見える。でもね、マージェさん。私は、遊園地に遊びに行きたいわけじゃーないんだよ! 私が、遊園地に行きたいのはね
「いどー、ゆーえんち、つくりましゅ!!」
そう、移動遊園地が作りたいからなんだよ!
新年とか夏祭りとか収穫祭とか、そんなお祭りの時に出せて、皆が楽しめそうな遊園地が欲しいのです。
メリーゴーランドとか、コーヒーカップとか、小さくていいから観覧車とか、ローラーコースターも作って欲しいんだ。
屋台を出して、美味しいものを食べながら楽しく遊べる、あの移動遊園地。
そのためには、実物を見てもらわないと。
まず、ダンジョンマスターの所で遊園地のDVDを見てもらって、それから遊園地で実物を見てもらうんだ。マージェさん、よろしくお願いしますね!
********
次回投稿は14日か15日が目標です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます